真冬のクリスマスミステリーでございます。
狸の「たぬ子」さんは、
水路とか側溝というよりも、溝と言ったほうが、
寧ろ、相応しいのでありますが、
その冷たい人家の、入口のすぐ側の水路の中で、
かすかな流れに、身をまかせ、
しかし、絶対に流れて行ったりはしない状態で、
静かに、寂しそうに、
横たわっていたのでした。
父の目は、節穴なのでございます、
私の鼻も、只の飾りでございます。
しかし本当に、昨日はなかったのです。
間違いなく昨日一日、
法面にあった「たぬ子」さんは、いなくなっていたのです。
三日月の、お月様の下にもなかったのです。
それが厳然と、今はあるのです。
また、消えたとしたなら、
それは、ミステリーです。
取って付けたみたいで、極めて、恐縮ではありますが、
クリスマスですし、
成仏してください。