昔は大晦日の日はとても忙しかったのだと、
父は言います、
お得意さんからいただいた銀行渡りの小切手、
線引き小切手を各地の銀行へ行って、
送金や換金の手続きをするのでございます、
銀行渡りでなければ良かったのですが、
そのほうが少しでも換金されるのが遅くなるのでした、
だれもが年末の資金が必要だったのです、
その後振込というあつかましい方式に変わったり、
合併統合を重ねて規模も随分大きくなって、
資金繰りも楽になったのでしょう、
そんな業務はすぐになくなったのではありますが、
その頃は暖房もきかないオンボロ車で100キロぐらいは、
走っていたのだろと思います、
今では自動引き落としのお得意さまもあるらしいので、
もう笑ってしまうというか、
お気の毒で悲しくなってしまいます、
その頃は過剰入金も喜んでお預かりをしていて、
今では考えられないような高い金利を、
お支払いしていたような記憶があるそうです、
それでもありがたかったのでございます、
勿論そういうことができるお得意先も少なかったのではあります、
それが今では欧州ではマイナス金利のようですし、
信じられないくらいの超低金利の時代ではあります、
ですがいつまた何がどう変わっても、
不思議はないのかもしれません、
だから国の莫大なというか超天文学的な借金は怖いのです、
ただ一つだけ変わらないものもあります、
不公平税制だけはいつの時代も同じです、
そう申しております。