朝日新聞の土曜版に「悩みのるつぼ」という、
人生相談のコーナーがあります、
今は他の方が担当していますが、
以前は車谷長吉(ちょうきつ)さんが担当をされておりました、
その人生相談をまとめた、
「人生の救い」という文庫本が届きました、
新聞でも読んではおりましたが、
長吉さんの訃報を知って、
注文をした本のうちの一冊です、
人間の生き死にの価値を認めていない、
長吉さんの回答は決して質問者に迎合するものではなく、
質問者を破綻まで追い込みかねないものであります、
それでも限りなく優しさにあふれた、
含蓄のある回答なのでございます、
これは「破綻してはじめて人生が始まる」という、
長吉さんの経験に裏打ちされた、
独特の人生観から来るものと思われます、
質問に「教え子の女子高校生が恋しい」という、
40代の男性高校教師からの質問がありましたが、
長吉さんは「恐れずに仕事も家庭も失ってしまえ」と言うのです、
たぶんこの質問者はそうはしなかった、
そう私は思うのです。