AKB48 チームBのファンより

鈴木紫帆里さんを中心にAKB48 チームB について語るサイトです。

乃木坂46『裸足でSummer』カップリング曲を聴く。(ときめき研究家)

2016-09-26 23:00:00 | ときめき研究家
『裸足でSummer』の良さに気づき、繰り返し聴いている(記事はこちら)。それどころか、仕事中も、運転中も、ゴルフ中も、気がつけば頭の中でメロディーが流れていることがある。前の記事にも書いたが、「(1番)A+B+サビ (2番)B+サビ (3番)A+サビ」という曲の構成が珍しくて引き付けられる。こんな構成の曲は、今まで聴いたことがない。

カップリング曲にも個性的な曲が揃っている。

『オフショアガール』(白石麻衣)。
白石麻衣のソロ曲。
須藤凛々花の『ショートカットの夏』と双璧、甲乙つけがたい、この夏のゴキゲンなアイドルポップだ。
歌詞の内容は単純で「サーフィンをする美人のきみに首ったけ」ということをただひたすら歌っているだけだ。それが潔い。
白石の声はそれほど個性的なわけではないが、伸び伸びと歌っている。須藤凛々花と比べれば大人びてややハスキーな声だが、曲調に合わせて、弾けた歌いっぷりをしているのが好ましい。

『命の真実「ミュージカル 林檎売りとカメムシ」』(生田絵梨花、坂元健児)。
実際に生田絵梨花が出演したミュージカルの中の1曲かと思った。しかし調べてみるとそうではなく、今回のCDのために作られた、架空のミュージカル『林檎売りとカメムシ』の中の1曲『命の真実』という曲なのだった。さらに、ミュージックビデオのために、オリジナルのセットも作り、本職のミュージカル俳優坂元健児氏をゲストに招き、生田と2人で1シーンを演じてもらっている。非常に贅沢なカップリング曲だ。
そういうお膳立ての上で、生田も素晴らしいパフォーマンスを見せている。歌もセリフも堂々としていて、本当のミュージカルの舞台上のような雰囲気だ。思わず『林檎売りとカメムシ』とはどんなストーリーのミュージカルなのか想像してしまう。それくらいしっかり作られた作品である。
思い出すのは2009年の『AKB歌劇団』だ。その舞台でも1人だけミュージカル俳優を招いていたが、AKBメンバーの稚拙なパフォーマンスの中で、上手すぎる彼は完全に浮いていた。それを思うと生田は互角に演じられており、立派だ。

『白米様』。
8月2日に、大阪府が「炭水化物の重ね食い」が肥満を招くという調査結果を発表し、話題を呼んだ。そのニュースにインスパイアされてできた曲に違いない。「お好み焼きをおかずにできるか 聞くだけ野暮でしょう」と大阪府を一蹴し、白米の魅力をひたすら歌っている。
曲調は正統的なロックンロールで、イントロのエレキギターからノリノリだ。聴いていて楽しくなる。「さゆりんご軍団」の4人が歌っているが、それぞれ特徴的な声だ。
ところで、かつてTHEポッシボー『主食=GOHANの唄』という全く同じコンセプトの曲があった。これらの曲は、農協とかコメ農家連合会とかいう団体のキャンペーンソングなのではないかと勘ぐったが、どうもそうではなさそうだ。純粋に「白米の魅力をアイドルに歌わせたい」と、つんく、秋元康の両名が思い立ったのだ。白米おそるべし。

『シークレットグラフィティー』。
オールディーズ風ののどかな曲だ。間奏などはチェッカーズ『涙のリクエスト』のようだ。
町はずれのレストランのウエイレスに皆が夢中だが、実は僕の恋人なんだというステレオタイプな歌詞。秘密にしておきたいけど自慢もしたい。店からの出ぎわに、皆に見せつけるように彼女にキスをする。そんなことをしたら秘密が台無しだと思うのだが、キスくらい挨拶代わりだとでもいうのだろうか。そう言えば、彼らが店に乗って来た車は「Tバード」。『チューインガムの味がなくなるまで』にも出てきたが、歌の舞台がアメリカだと示しているのだろう。だったらキスぐらい構わない?
「坂道46SHOW」で歌っているのを見たが、初々しいパフォーマンスだった。

『行くあてのない僕たち』(伊藤万理華、井上小百合)。
いわゆる駆け落ちソングだ。しかし周到な計画を立ててのものではなく、衝動的に2人で深夜バスに飛び乗ったようだ。途中立ち寄った高速のサービスエリアで、眠っている彼女を置いて、外に出て「頭を冷やして」いる男の心情を描いた歌詞だ。しでかしたことの重大さに改めて気づき、怖くなっている。今帰れば遅刻で済むが、このまま乗っていけば無断欠席になるなど、やけに弱気なことを思っているのが証拠だ。そこに、眠っていたはずの彼女が不意に近づきコーヒーを差し出す。この場面描写は秀逸だ。女性のほうが肚が座っているということも暗示している。
しかし、こういう駆け落ちはまずうまくいかない。『黄昏のタンデム』『ひと夏の反抗期』『動機』『禁じられた二人』『なんて素敵なあひるのボート』など。AKBグループ以外では、南野陽子『海のステーション』が寂しくも美しいワルツの、駆け落ちソングの名曲がある。どの曲も幸福な結末が待っているとは言い難い。
『行くあてのない僕たち』も、そういう行き止まり感がにじみ出ている曲ではある。曲調はドラマティックで迫力がある。2人の歌唱もしっかりしていて、聴かせる。

『僕だけの光』。
観念的で説教くさい歌詞だ。太陽みたいに輝くために近道はなく、自分自身を磨いて、内面から輝くしかないと説く。人称が「僕は」と「君は」とが混在しており、自分で気づいた歌なのか、「君」に説教する歌なのか、混乱する。
曲調も単調で、この曲はあまり好きになれなかった。


乃木坂46のシングル曲に関する過去記事は以下。

『ぐるぐるカーテン』から『何度目の青空か』まで。
『命は美しい』
『太陽ノック』。
『今、話したい誰からいる』。
『ハルジオンが咲く頃』。


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乃木坂46のシングル10曲を改めて鑑賞。(ときめき研究家)(再掲載)

2016-09-26 22:59:30 | ときめき研究家
(2014年11月11日の記事を再掲載。)


これまで乃木坂46のシングルも一通り聴いてはいたが、ほとんど記事にはして来なかった。シングル10曲目ということで、1曲目からまとめて聴いてみる。どの曲も水準以上で、聴き応えがあった。

『ぐるぐるカーテン』。
デビューシングルに相応しい初々しさに溢れている。行進曲風の2拍子のテンポで、どこまでも元気に歩いて行けそうな曲だ。AKB48の『Partyが始まるよ』ともどこか雰囲気が似ている。
教室のカーテンにくるまって、女友達と内緒話をするという歌詞。いまどきの女子高生が実際にそんなことをするのかどうかは分からないが、するのかもしれないと思わせる創作上のリアリティがある。男子目線で、女子の秘密をのぞき見するような感覚。乃木坂46の楽曲の1つの特徴である。

『おいでシャンプー』。
初夏にプール掃除をする状況は、秋元康の得意技だ。『High School Days』や、SKE48の『水のないプール』にも出て来た。『君のことが好きだから』のミュージックビデオでもプール掃除をしていた。ホースの水で虹を作るのも『High School Days』と同じだ。
タイトルから、シャンプーをしてあげる歌かと誤解するが、実は彼女のシャンプーの匂いにときめいているだけだ。一緒にプール掃除をして、急に親密になったように錯覚している男子の歌だ。
イントロから、バイオリンの上品で軽快な音色がウキウキした気分にさせてくれる。

『走れ!Bicycle』。
告白するために彼女の乗るバスを追いかけて、自転車を全力で漕いで追いかける歌。AKB48の『大声ダイアモンド』『会いたかった』『スカートひらり』や、NMB48『青春のラップタイム』などとも似たような状況の歌だ。最後に「両思い」とハッピーエンドにしているのは珍しい。
この曲は、乃木坂46と言うより、まさにAKBグループの楽曲という感じだ。このまま他のグループが歌っても全く違和感がない。

『制服のマネキン』。
この曲はAKBグループの「制服シリーズ」に連なる1曲だ。『制服が邪魔をする』『制服レジスタンス』『制服アイデンティティ』などと共通で、制服に守られ、制服に縛られている女子高生のジレンマ、葛藤を歌っている。タイトルに「制服」こそつかないが、『女子高生はやめられない』『JK眠り姫』も同じシリーズだろう。これらの源流を辿れば、ご存知『セーラー服を脱がさないで』に行きつく。
『制服のマネキン』は、男の立場から、「好きならば制服を着たマネキンから脱却しろ」と激しく責め立てる歌だ。スタイリッシュなサウンドに乗せて、稚拙な原則論で彼女を悩ませる、困った男だ。
河川敷で草野球を見る2人(CoCo『はんぶん不思議』)、缶コーヒー(『Only today』)など、印象的な状況、小道具を配置しているのはオールドファンへのサービスだ。

『君の名は希望』。
私がこの曲を初めて聴いたのは、去年の3月、春のコートに着替えた頃。衝撃を受けて、記事も書いた。
試行錯誤の末に辿り着いた乃木坂46の独自の世界だ。
静かに始まるピアノのイントロが印象的。「僕が君を初めて意識したのは 去年の6月夏の服に着替えた頃」という歌い出しも、簡潔だが自然に歌の世界に引き込んでいく。Aメロ-Bメロの後再びAメロ、そしてサビという重層的な構成は珍しいが、自然に展開する。
「ミュージックフェア」で披露されたようにピアノ伴奏だけの合唱曲としても鑑賞に耐えうる。昨年の紅白対抗歌合戦で渡辺麻友が披露したように、ソロ曲としても味わい深い。深みのある曲だ。もちろんCDバージョンのアレンジの、曲後半での高揚感も素晴らしい。
こういう曲はフルコーラスでじっくり味わいたい。

『ガールズルール』。
一転して、夏らしく、突き抜けたノリのいい曲。サンバホイッスルを久しぶりに聞いた。シングル10曲の中で、今一番好きかもしれない。
バスの中で「バスタオルを巻きつけて 10秒で水着に着替えよう」というのは、いかにも大胆な歌詞だ。小泉今日子の「停めた車の陰で着替えた」(『渚のはいから人魚』)と比べても上を行く。バスの運転手さんは気が散って危ないのではないか。
もう1つ気になる歌詞は「マーメイドからサンダルが脱げちゃった」という部分。かつて松田聖子『小麦色のマーメイド』で、人魚には足がないのに「裸足のマーメイド」という歌詞はおかしいという指摘があったが、それを踏まえた歌詞だろう。更に「サンダル」はAKBグループの夏の海の歌(『ビーチサンダル』『そばかすのキス』など)にはつきものの小道具だ。しかもサンダルが波に流されていくのを「待って もう少し」と歌っているが、それは女の子同士の楽しい季節に対しての呼びかけにもなっていて、実に巧みな歌詞だ。『ギンガムチェック』の「この道をいつまでも歩ける訳じゃないけど」が、実際の海岸通りと、曖昧な2人の関係の両方のことを歌っているのと同じ技法だ。
そういう遊び心を盛り込みつつ、歌詞の主題は「ガールズルール」だ。「女の子は嫌な所を見せ合って楽な関係になる」「可愛い自分だけ演じていたら無理だね」など、女の子同士の心理戦を描いている。『ぐるぐるカーテン』にもあったような、女子の秘密を垣間見るような歌詞だ。ノリのいい曲調に油断したら、結構面倒くさい曲なのだ。

『バレッタ』。
シュシュ、カチューシャに続き、髪飾り三部作は乃木坂46のこの曲で完結した。片思いの彼女の一挙手一投足に翻弄される気弱な男子の歌だ。
彼女の髪のバレッタを大きな蝶に見立てているのは、HKT48『初恋バタフライ』に通じる趣向。「昆虫図鑑」は初出だと思うが、「植物図鑑」は『前人未到』やフレンチキス『思い出せない花』で使われている。ヘミングウェイは、かつて紘川淳『失恋ライブラリー』に出て来た。
何より、女子がひそひそ男子の品評会をしているという状況は、『恋愛総選挙』の裏返し。フルートが目立つイントロ、シックなメロディーとは裏腹に、意外に子供っぽい男子の内面を歌ったアンバランスな曲だ。

『気づいたら片思い』。
前の恋の痛手に懲りていても、また恋に落ちてしまう女心を歌っている古風なテーマの歌だ。曲調もアンニュイで、バイオリンが上品なアレンジや、早口の歌詞など聴きどころはあるが、若干退屈にも感じる。
「クリスマスも誕生日もバレンタインも一人で過ごせる」というフレーズは、SKE48『1・2・3・4ヨロシク』で3大きっかけデーとされた日を踏まえている。

『夏のFree & Easy』。
夏だから大胆になって、いつもはできないことをやっちゃおうというありがちなテーマの曲だ。それ以上の内容はない。「水着より開放的に」とはどういう比喩なのか考えさせられるが、何ひとつ身に着けずに、つまり何も心を隠さずにぶつけようという意味だろう。Hな意図はなさそうだ。
サビ前のギターのフレーズが印象的だが、曲全体としては平凡な印象だ。

『何度目の青空か?』。
この曲については、最近記事にしたので重ねて書くこともあまりないが、聴けば聴くほど良さが分かって来る。『君の名は希望』の二番煎じと書いたが、『君の名は希望』に匹敵する名曲だと思うようになった。『君の名は希望』の歌詞の最後が「希望とは明日の空」だったから、続編とも言えるだろう。
緊張感のあるイントロからAメロ、Bメロを経て、サビでの突き抜ける感じは見事だ。まさに雲の切れ間から太陽の光がまぶしく差し込むような力強さだ。加えて、サビ終わりにカットインして来るピアノのメロディーが二段階ロケットのような突き抜け感だ。
歌詞の中に「君」と「僕」が出て来る。この「君」と「僕」の関係をどう解釈するか、人により異なるだろう。青春に悩む「君」と「僕」は同世代か、あるいは「僕」はかつて青春を過ごした年長者か。「君」と「僕」は同一人で、自問自答しているという解釈もあり得るだろう。
いろんな解釈を考えながら聴ける、味わいの深い曲だ。

こうして聴いてくると、概ねAKBグループの他グループの曲と大きな違いはないと言える。
衣装や振り付けが比較的おとなしいとか、水着のミュージックビデオがないとか、美形揃いだとか、楽曲以外の面では若干の差別化が図られているようだが、楽曲面ではむしろ同じ世界観の中で競合していると思う。男性人称(僕)で歌われている曲が10曲中5曲と多いのも、AKBグループと共通する特徴だ。
強いて言うなら、『ぐるぐるカーテン』『ガールズルール』に見られるような、女子同士の秘密を垣間見るような歌詞は、乃木坂46の特徴だ。それからクラシカルな楽器を多用したアレンジか。
カップリング曲までは網羅できていないが、徐々に聴いて行きたいと思う。
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