『最終の地下鉄に乗って』。
曲調と歌詞の内容が一致しない曲だ。
アコースティックギターで始まり、鼓舞するようなイントロは私の好きなパターンだ。最終の地下鉄で、生きる意欲を静かに燃やしているような歌詞を予感した。ところが実際の歌詞には全く希望がない虚無的な言葉が続いている。
「人はどうして我慢しながら生きているんだろう」「ドキドキする何かなんてないとわかってしまった」「これからの人生期待なんかしてない」等々。これでもかというくらいネガティブな歌詞が続く。地下鉄のトンネルのように周りに何も見えない人生を重ねている。同じ車両の乗客にも冷ややかな視線しか向けられない。
よく分からないのは「誰もいない世界へ行きたいと思っていた あの頃の僕って病んでいたのかな」という部分だ。今の彼も充分「病んで」いるように思えるが、その彼から見てももっと悪い状態だったのだろうか。誰もいない世界とは死後の世界のことなのか。それと比べれば、「どうせいつか死ぬんだから今すぐ死んだりはしない」という認識は「病んで」はいないのだろう。
希望は何もないけど、とりあえず生きて行くというニヒルぶった言い方で、実は小さな希望の種だけは隠し持っている、そういう歌詞だと解釈しようか。
『Plastic regret』
この曲も曲調と歌詞の内容が一致しない曲だ。
ピコピコした可愛らしいサウンドなのに、歌詞の内容はシビアな失恋の歌だ。彼の心変わりを知らされて、動揺しつつも強がっているという内容だ。プラスチックのように、思ったより弱くないと自分のことを歌っている。
可愛らしい曲調からは『バスルームトラベル』を思い出した。
『半信半疑』。
この曲も曲調と歌詞の内容が一致しない曲だ。
シリアスなサウンドで、深い苦悩などを歌った曲かのようだが、実はそんな深刻な歌ではない。突然告白されたが、彼が本気なのか、打算があるのではないか、半信半疑になっている奥手女子の歌だ。嬉しいことは嬉しいのだろうが、自分に自信がないのか、彼の気持ちを疑ってしまう。誰でもよかったのではないか、計算通りに自分の心を弄んでいるのではないか、そういう防衛本能で自縄自縛になっている。その挙句の総括が「恋愛って面倒」というのもとても残念だ。この固いバリアーを、彼は果たして突破できたのだろうか。
『なぜ恋をして来なかったんだろう』。
この曲は曲調と歌詞が一致している。
これまで恋など馬鹿にして来たが、実際に恋してしまったらその素晴らしさに舞い上がってしまっているという女子の歌だ。とりとめなく取っ散らかった早口の歌詞、自由奔放なメロディーが舞い上がった感じをよく表している。「さーかりのついた猫」とか、はちゃめちゃだ。
『半信半疑』の彼女が、半分の疑いを払拭できたら、こんな風になってしまうのかもしれない。
「誕生日、クリスマス、バレンタインデー」という3大イベントデーが久しぶりに登場している。(『1・2・3・4ヨロシク』『気づいたら片思い』にも登場。)
『Buddies』。
嵐が去ったこの世界は美しく希望に満ちている、仲間よ一緒に歩いて行こう、と語りかける歌だ。
欅坂時代の2枚目のシングル『世界には愛しかない』を、すぐに連想した。
色々あって、1年以上シングルが出せず、平手友梨奈が脱退し、グループ名を変えて再出発。そんなグループ自身のことを歌っているとも解釈できる。
1番は「We are buddies 仲間だ」と呼びかけているが、2番では「We are friends 友よ」と歌っている。仲間と友はニュアンスが違うはずだが、なぜわざわざ違う言葉を使っているのか。こじつけるなら、buddiesは現在の櫻坂のメンバーのこと、friendsは平手友梨奈をはじめグループを去ったメンバーを指しているのでは。彼女たちは共に戦う「仲間」ではないが、今も「友達」なのだというメルヘンを深読みした。
過去記事
櫻坂46『Nobody’s fault』とカップリング曲を聴く。その1。(ときめき研究家)
櫻坂46『Nobody’s fault』を聴く。(ときめき研究家)
曲調と歌詞の内容が一致しない曲だ。
アコースティックギターで始まり、鼓舞するようなイントロは私の好きなパターンだ。最終の地下鉄で、生きる意欲を静かに燃やしているような歌詞を予感した。ところが実際の歌詞には全く希望がない虚無的な言葉が続いている。
「人はどうして我慢しながら生きているんだろう」「ドキドキする何かなんてないとわかってしまった」「これからの人生期待なんかしてない」等々。これでもかというくらいネガティブな歌詞が続く。地下鉄のトンネルのように周りに何も見えない人生を重ねている。同じ車両の乗客にも冷ややかな視線しか向けられない。
よく分からないのは「誰もいない世界へ行きたいと思っていた あの頃の僕って病んでいたのかな」という部分だ。今の彼も充分「病んで」いるように思えるが、その彼から見てももっと悪い状態だったのだろうか。誰もいない世界とは死後の世界のことなのか。それと比べれば、「どうせいつか死ぬんだから今すぐ死んだりはしない」という認識は「病んで」はいないのだろう。
希望は何もないけど、とりあえず生きて行くというニヒルぶった言い方で、実は小さな希望の種だけは隠し持っている、そういう歌詞だと解釈しようか。
『Plastic regret』
この曲も曲調と歌詞の内容が一致しない曲だ。
ピコピコした可愛らしいサウンドなのに、歌詞の内容はシビアな失恋の歌だ。彼の心変わりを知らされて、動揺しつつも強がっているという内容だ。プラスチックのように、思ったより弱くないと自分のことを歌っている。
可愛らしい曲調からは『バスルームトラベル』を思い出した。
『半信半疑』。
この曲も曲調と歌詞の内容が一致しない曲だ。
シリアスなサウンドで、深い苦悩などを歌った曲かのようだが、実はそんな深刻な歌ではない。突然告白されたが、彼が本気なのか、打算があるのではないか、半信半疑になっている奥手女子の歌だ。嬉しいことは嬉しいのだろうが、自分に自信がないのか、彼の気持ちを疑ってしまう。誰でもよかったのではないか、計算通りに自分の心を弄んでいるのではないか、そういう防衛本能で自縄自縛になっている。その挙句の総括が「恋愛って面倒」というのもとても残念だ。この固いバリアーを、彼は果たして突破できたのだろうか。
『なぜ恋をして来なかったんだろう』。
この曲は曲調と歌詞が一致している。
これまで恋など馬鹿にして来たが、実際に恋してしまったらその素晴らしさに舞い上がってしまっているという女子の歌だ。とりとめなく取っ散らかった早口の歌詞、自由奔放なメロディーが舞い上がった感じをよく表している。「さーかりのついた猫」とか、はちゃめちゃだ。
『半信半疑』の彼女が、半分の疑いを払拭できたら、こんな風になってしまうのかもしれない。
「誕生日、クリスマス、バレンタインデー」という3大イベントデーが久しぶりに登場している。(『1・2・3・4ヨロシク』『気づいたら片思い』にも登場。)
『Buddies』。
嵐が去ったこの世界は美しく希望に満ちている、仲間よ一緒に歩いて行こう、と語りかける歌だ。
欅坂時代の2枚目のシングル『世界には愛しかない』を、すぐに連想した。
色々あって、1年以上シングルが出せず、平手友梨奈が脱退し、グループ名を変えて再出発。そんなグループ自身のことを歌っているとも解釈できる。
1番は「We are buddies 仲間だ」と呼びかけているが、2番では「We are friends 友よ」と歌っている。仲間と友はニュアンスが違うはずだが、なぜわざわざ違う言葉を使っているのか。こじつけるなら、buddiesは現在の櫻坂のメンバーのこと、friendsは平手友梨奈をはじめグループを去ったメンバーを指しているのでは。彼女たちは共に戦う「仲間」ではないが、今も「友達」なのだというメルヘンを深読みした。
過去記事
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