AKB48 チームBのファンより

鈴木紫帆里さんを中心にAKB48 チームB について語るサイトです。

HKT48『最高かよ』カップリング曲を聴く。(ときめき研究家)

2016-09-21 22:15:45 | ときめき研究家
『空耳ロック』(チームTⅡ)。
今回のカップリング曲の中では一番気に入っている。最初は印象の薄い曲だと思ったが、数回聴くうちに耳になじんできた。
人は誰も本来的に孤独なもの、でもどこかで誰かと繋がっている、そういう抽象的な観念を歌っている曲だ。
「振り向いたら風が吹くだけ」というフレーズは、AKB48『前しか向かねえ』にも使われていた。出典はフォークソングの名曲『風』だろう。その歌も若者の深い孤独を歌っていた。
「雑草が生えている心の空き地」というイメージが秀逸だ。これは『やさしさの地図』で「ぽつんと鉄塔が立っている野原」と同じものを象徴しているのだと思う。満たされない心の裡、孤独感、そしてそれに耐えて生きていくという意思だ。そんな中、「拾う神を信じている」というフレーズには、他力本願的なニュアンスがして少し違和感があるのが残念。
曲調は「ロック」というほど激しくないが、淡々とした中に力強さを秘めた歌唱だ。アレンジでは2番のAメロに男性コーラスが入るのもお洒落な感じだ。

『夜空の月を飲み込もう』(チームH)。
ハードな曲調の失恋ソングだ。SKE48『思い出以上』、AKB48『細雪リグレット』『君の嘘を知っていた』など、名曲も多いジャンルだ。『夜空の月を飲み込もう』も、朗々と歌うメロディーが印象的な曲だ。
月を飲み込むという比喩がこの曲の眼目だが、私には少し理屈っぽく感じる。恋人と別れを切り出され、『上を向いて歩こう』よろしく涙をこらえるために見上げた空にスーパームーン。失った恋のように美しく輝いている。その月が欠けてしまわぬうちに、つまり恋の思い出が美しいうちに、失恋を自分の中で受け止めて「消化」しようと歌っているのだ。
難解な比喩はさておき、ハードな曲調にやや似合わぬ幼い声で懸命に歌っている。それはそれで味わいがあっていいものだ。悲しい歌でも深刻ぶって歌わなくてもいいのだ。
「4つの文字 頭の中グルグル回った」→「サヨナラ」。こういう歌詞の中の「なぞなぞ」は、私は好きだ。
「焦って探した辞書の1ページ目に載ってる言葉」→「愛」(田中陽子『陽春のパッセージ』)
「甘いものでKで始まる 答えはあなたが頬にくれたわ」→「KISS」(中森明菜『哀愁魔術』)
など、収集しているがあまり見かけない。AKBグループにも1つや2つはあったと思うが。

『女の子だもん、走らなきゃ』(松岡はな)。
目下売り出し中の松岡はなのソロ曲。抜擢だが、その記念すべき初ソロ曲として、この曲には1つ不満がある。
それは、声をかなり加工したテクノポップ調の楽曲だということで、これでは松岡はなが本来どういう声をしているのか分からないし、実年齢以上に幼い印象を受ける。NMB48須藤凛々花の初ソロ曲『ショートカットの夏』が、彼女の声の魅力を100%引き出していたのと対照的だ。
声を加工するのが全て悪いと言っているのではない。渡辺麻友のサードシングル『ヒカルものたち』は、思い切り加工された声の実験的な作品だが、渡辺麻友の本来の声や歌い方がどんなものか充分周知された後で発売された作品だ。そういう場合は、冒険というか、表現の幅を広げる意味があっていいと思う。
ところで、『女の子だもん、走らなきゃ』は、AKB48のセカンドシングル『スカートひらり』を完全リメイクした曲だ。タイトルからして、『スカートひらり』の「女の子には スカートひらり翻し 走りたくなる時がある」を踏まえている。2番の歌詞には「スカート翻し」というフレーズもある。「弾む息 滲む汗」という歌詞もある。これは『スカートひらり』の「弾む息 落ちる汗」とほぼ同じ。(同フレーズはSKE48『前のめり』でも「弾む息も 落ちる汗も」と引用されている。)
そういう初期の名作のモチーフをリメイクした力作だと言える。映画『シン・ゴジラ』が、『ゴジラ』第1作のテーマを踏襲しているようなものだ。そういう重要な作品を与えられているわけで、松岡はなへの期待は大きい。それだけに声の加工は残念でならない。

『夢ひとつ』(穴井千尋と仲間たち)。
チームHキャプテン穴井千尋の卒業ソング。1期生の仲間たちとしみじみと歌っている。HKT48主要メンバーの卒業は初めてではなかろうか。デビュー当時、下手なギターで弾き語りしていた彼女を思い出す。
しっとりした曲調で、過去を振り返り未来に踏み出す決意を歌う、正統的な卒業ソングだ。気持ちよく歌っているようなので、それでいいと思う。

『Go Bananas!』(チームKⅣ)。
「Go Bananas」とは俗語で、「何てことだ」「気が変になりそう」といった意味らしい。意訳すれば「そんなバナナ」でもいいだろう。
どうせハチャメチャな世界、朝までどんちゃん騒ぎをしようぜ、といった内容の歌だ。「社会のゴミを排除するのなら大人を先に片付けろ」など、反抗的な歌詞もあるが、深い思想性があるわけではない。歌詞の内容よりも、リズムと歌詞の語感を楽しむための曲だろう。こういう複雑なリズムのノリにはちょっとついて行けない。「踊りたい 騒ぎたい」「海老で鯛鯛 釣ってみたい」「タイに行きたい」という韻を踏んだラップ部分も、ちょっと無理している感じがする。でもこんな曲もあっていい。

『最高かよ』については、既に記事を書いた。合いの手部分がなければ、たぶん結構好きになったと思う。CDには合いの手なしバージョンが収録されていると教えてもらったので、早く入手して聴いてみたい。

HKT48のシングルCDとカップリング曲の感想記事は以下。久々にデビューシングルまで遡って読んだが、自分でもかなり面白かった。

『74億分の1の君へ』。
『しぇからしか!』。
『12秒』。
『控えめI Love You!』。
『桜、みんなで食べた』。
『メロンジュース』。
『スキ!スキ!スキップ!』。
『スキ!スキ!スキップ!』カップリング。
(オマケ)『初恋バタフライ』。

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『初恋バタフライ』は奇跡のパフォーマンス。HKT48デビュー曲はこれを超えられるのか?(ときめき研究家)(再掲載)

2016-09-21 22:15:40 | ときめき研究家
(2012年12月16日の記事を再掲載)

『永遠プレッシャー』タイプCを購入。
このCDには、AKB48の『永遠プレッシャー』『とっておきクリスマス』に加え、HKT48『初恋バタフライ』の3曲が収録されている。付属のDVDには、その3曲のミュージックビデオのほか、ファン投票3位になり製作された『桜の花びら(前田敦子ソロバージョン)』のミュージックビデオ、じゃんけん大会実況の後編が収録されている。非常に豪華なオマケだ。
タイプAにはSKE48『強がり時計』、タイプBにはNMB48『HA!』が収録されているほか、付属DVDの内容もそれぞれ異なっている。その他にも、タイプD、劇場盤もある。
タイプA、タイプB、タイプCは、3枚とも購入するのが当たり前と言わんばかりの構成だが、異議ありだ。オマケで釣って何枚も買わせようとするのは、まだわかる。それを買うか買わないか、何枚買うかは自分の判断だ。しかし、収録曲が異なるタイプを何種類も発売する商法は、結局楽曲をすらオマケ扱いにしており、クリエーターとしての自負に欠けていると思う。
更に、今回、タイプA収録のSKE48『強がり時計』、タイプB収録のNMB48『HA!』は音楽配信すらされていない。これは、聴きたいならどうしてもCDを3枚買えということなのか。

と、いつもの批判をしたところで、一転して『初恋バタフライ』を絶賛する。
この曲は、HKT48の初オリジナル曲となる。HKT48としての初CDが来年出るようだが、それに先立ち、AKB48のCDの「オマケ」として発売された。これが、現在のHKT48というグループの勢いを感じさせる、アイドルらしい魅力的なパフォーマンスになっている。

教室に紛れこんだモンシロチョウに自己投影して、「あんな風に君のそばに行きたい」と歌う少年視点の片想いソング。これは秋元康の得意分野なので安心して聴けるし、「幽体離脱」「ポニーテール」「シャンプー」といったお馴染みのワードも出動している。
彼女が花で、自分が蝶というのは、森進一『花と蝶』、郷ひろみ『花とみつばち』のような伝統的な比喩だが、陳腐な印象はしない。「初恋はバタフライ・・・」というサビ部分は、少し愁いを帯びたメロディーとなり、初恋の切なさを暗示するが、「ここにいるのに」の部分が強い意志を感じさせるメロディーで高揚感がある。
振り付けは、チョウをイメージするようなお遊戯然とした動作が印象的。AKB48やSKE48の激しいダンスと比べれば、ゆったりとした動きのように見えるが、若々しさ、フレッシュさを感じさせて、彼女たちには似合っているダンスだと思う。

ミュージックビデオも秀逸だ。
放課後、兒玉の家で一緒に勉強をするために集まった宮脇、村重、本村、田島。兒玉の小学生の弟が、田島にほのかな恋心を抱くというストーリーを軸に、中学生の少女たちの魅力が充分表現されている。姉弟で勉強部屋を共有しているという設定もリアル。活き活きした歌唱・ダンスシーンのほか、教室内のモンシロチョウ視点の映像や、小学生の弟が描くパラパラマンガを織り込み、楽曲の世界観を活かしながらも、独立した完成度の高い映像作品となっている。

2トップの兒玉、宮脇に加え、彗星のように現れた研究生の田島がセンターを務め、存在感を発揮している。その次の4番手、5番手のポジションに、指原、多田の移籍組が座り、安定感を示す。ミュージックビデオ冒頭の2人の会話には、何となくニヤニヤしたくなる。多田は移籍して居場所を得たのは、よかったと思う。

総選挙分析ライターさんの影響で『HaKaTa百貨店』を見はじめて、メンバーの顔と名前も半分ぐらい覚えたところなので、私自身にとって、ちょうど面白い時期なのかもしれない。ただ、それを割り引いても、単純に楽曲としてウォークマンで聴いていて、ワクワクして来る素晴らしい楽曲だ。

「オマケ」でこれだけハイレベルの楽曲を出してしまって、来年の本物のデビューCDがこれを超えられるのか、半分心配で、半分は期待が高まる。
それにしても『永遠プレッシャー』タイプA、タイプBのCDを買った人がこの曲を聴けないことは、返す返すもったいないことだと思う。せめて今からでも音楽配信を開始してもらいたい。
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