AKB48 チームBのファンより

鈴木紫帆里さんを中心にAKB48 チームB について語るサイトです。

バカリズム脚本ドラマ『ブラッシュアップライフ』を観る。ネタバレあり。(ときめき研究家)

2024-01-28 18:39:07 | ときめき研究家
2023年度に放送されて高評価だったドラマ『ブラッシュアップライフ』。当時なぜか見逃してしまったが、年末に一挙放送があったので録画して観た。最初は週に1話ずつじっくり観ようと思ったが、途中から止まらず後半は一気見になった。評判通り、素晴らしい作品だった。一挙再放送があって良かった。これを見逃していたら人生の損失だった。ブログ読者には今更だろうが、感想を記しておきたい。

まず、計算され尽くした脚本が素晴らしい。
主人公の安藤サクラは、人生を何度もやり直して、ブラッシュアップして行く。選ぶ職業は、市役所職員、薬剤師、テレビ局員、研究医、パイロットと毎回違うのだが、それぞれの仕事が丁寧に描かれていてリアルだ。「お仕事ドラマ」を5本書くくらいの労力をかけているのではないか。そして5つの職業の全てに意味がある。随所に数多くの伏線が忍ばされていて、クライマックスに向けてストーリーが収斂し、急加速していく。その「カタルシス」は圧倒的だ。

バカリズムの過去作品『素敵な選TAXY』(竹野内豊主演)も過去に遡ってやり直すというストーリーで、エンタメ性が高く、非常に面白い作品だった。設定に類似点がある『ブラッシュアップライフ』は、前作を更に「ブラッシュアップ」した作品と言えるのではないか。
というのは、エンタメ性が高い一方で、メッセージ性も高い作品になっていると思うのだ。しかも、一面的な押し付けがましいメッセージではなく、観る人によって様々なメッセージを受け取ることができる作品だと思う。
前半は、人生を微修正しながらやり直す主人公の試行錯誤を楽しみながら、自分だったらどうやり直したいかあれこれ考えた。しかし話が進むにつれて、人生は一度きり、やり直しができないからこそ味わい深いのだと感じるようになった。
また同時に、大きな目標を達成するための人生と、友人との何気ない日常を楽しむ人生、両方の人生観があると思うが、どちらも尊いのだというメッセージも受け取った。
それから、人生は「徳を積む」ことが重要ということ。ただ、何が「徳」なのかは非常に難しい。結局、他人のために自分ができることは労を惜しまず実行すること、なのだろう。そこに遠慮や躊躇は不要で、できるのに実行しなかった後悔だけはしないようにしたい。主人公はそのような行動原理で動いていた。
そんなことをあれこれ考えさせられ、後半の回では何回か泣かされた。

そして、演者が全員素晴らしい。
安藤サクラの親しい友人役に、木南晴夏、夏帆、水川あさみを、妹役に志田未来を配していて、実に芸達者ぞろいだ。他の同級生としては、染谷将太、黒木華、市川由衣など。同世代のオールスターキャストというべきその中に、元AKB48の野呂佳代も堂々と名を連ね、自然な演技で貢献していて嬉しかった。
その他にも、臼田あさ美、江口のりこ、松坂桃李、浅野忠信、野間口徹、鈴木浩介、神保悟志、三浦透子など、驚くほど豪華なキャストである。
役の大小にかかわらず、どの演者も実に自然に演じていて、荒唐無稽な設定のドラマなのに、そんなことは忘れて物語に没入できる。想像だが、どの演者もこの作品に関われて嬉しかったのではないか。

最後に、ディテールが素晴らしい。
ドラマの感動を下支えしているのは、ディテールの緻密さだ。毎回展開される主人公たちの会話が、どうでもいいような些細な会話なのだが、非常にリアルに感じる。友人が泊まりに来た時に、3人で床に雑魚寝するか1人はベッドで寝るかとか、買って来たお菓子をいつ披露するのかとか、些細などうでもいいことを、気を遣いながらも真剣に言い合っている。それがまた楽しいのだと伝えているのだろう。
女子小学生のシール交換の駆け引きとか、放課後のドラマクラブとかのディテールも丁寧に描かれている。それが本当に女子小学生のリアルなのかどうか私には分からないが、非常にリアルに見える。バカリズムがどうしてそんなにリアルに描けるのか、不思議でならない。もしかしたら彼の前世は女子小学生、中学生、OLだったのかもしれない。
また、毎回のエンディングには当時のヒット曲が効果的に使われている。それ以外にも、当時のヒット曲が惜しげもなく続々登場する。たまごっち、セーラームーン、ポケベル、エンジェルブルーなどの流行りモノも。私は主人公たちと同世代ではなく父親世代なのだが、毎回懐かしさを感じた。
人生2周目はできないが、ドラマは何回でも鑑賞できる。2回目は結末こそ分かってはいるが、ディテールをより深く味わうことができるし、新たな発見もあるだろう。それもまたバカリズムの狙い通りではないか。
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2023年紅白歌合戦の感想。(ときめき研究家)

2024-01-05 21:50:57 | ときめき研究家
昨年の大晦日も紅白歌合戦を観た。視聴率は過去最低だったそうだが、それでも30%前後の家庭がリアルタイムで観ている。我が家も含め、習慣化しているということで、年末には欠かせない存在だ。

乃木坂46は、久しぶりにその年のヒット曲から『おひとりさま天国』を歌唱した。多様な生き方を肯定する内容で、番組のテーマに沿っていたのも理由ではないか。可愛らしい曲調で、なかなか辛辣な歌詞なのは乃木坂らしい。
櫻坂46『Start over!』は激しいダンスとハードな曲調で、グループの特徴がよく出ていたと思う。私の家族からはなぜグループ名を変えたのか、変えたのになぜ似たような曲を歌っているのかいう質問を受け、上手く説明できなかった。グループ名を変えたのは圧倒的なセンター平手友梨奈が抜けたから、でも連続性も大事にして曲調は踏襲している、という答えで多分当たっているのだろう。個人的には違った曲調の『桜月』の方を歌ってほしかった。

AKBグループから今年も出場なしは寂しかった。旧ジャニーズ事務所不出場も、紅組には関係なかった。
唯一、グループ卒業生からは宮脇咲良がLE SSERAFIMの一員として出場していた。HKT48在籍中からIZ*ONEの活動に参加し、その後現在のLE SSERAFIMとして引き続き韓国で活躍中。私の好みではないが、その活躍ぶりは認めざるを得ない。かつて指原莉乃が注目、激推しした目は確かだったということだろう。

今回の特徴として、上記3グループを含み、日韓、男女、多くのアイドルグループが出場し、各々のパフォーマンスを見せた。ときめき研究家としてはお恥ずかしい限りだが、初見のグループが多く、楽曲も私には難解なものが多かった。それだけ多様化している中、本家AKB48の再出場はなかなか難しいだろうと予想される。それでも良い楽曲を定期的に出し続けていれば、いつかまたスポットライトが当たる日も来るかもしれない。当面は20周年の2025年はチャンスだろう。出場できれば、卒業生の力も借りて盛り上げを見せてほしい。

そんな中、番組のラスト近く、YOASOBIの『アイドル』は見どころがあった。そもそも昨年の最大のヒット曲で、テレビ初歌唱として注目されていた。アイドルの虚実を歌い、曲調が自在に変化する難解な楽曲だが、一切乱れのない完璧な歌唱だったと思う。そのバックで、番組に出演していたアイドルグループが入れ代わり立ち代わり総出演でダンスを披露したのは壮観だった。その最後に登場したのがanoちゃんと橋本環奈。まさに「アイドル」というテーマで一期一会、一夜限りの、刹那で豪華なステージが展開されたのだった。紛れもなく番組のクライマックスだったと思う。
そして興味深いのは、アイドルなのかアイドルではないのか判断に迷う「新しい学校のリーダー」とPerfumeは登場しなかった。これは彼女たちの自己認識が非アイドルだからだろう。また、乃木坂卒業生として初めてソロ歌手として出場し2曲も歌った生田絵梨花も、この曲には参加しなかった。彼女もまた非アイドル認識なのだろう。その判断も興味深かった。

アイドル以外では、演歌歌手の扱いのぞんざいさには同情させられた。
三山ひろし歌唱時の「けん玉ギネスに挑戦」は、もはや恒例行事になっていて、誰も歌など聴いていない。芸能人水泳大会の競技中に流れる新人歌手のワイプ映像のような扱いだ。しかも今年はいったん成功とアナウンスしながら、後になって失敗と訂正される不手際。失敗した人の心中を察するといたたまれなくなる。これは次回リベンジの流れなのか? 三山ひろし出場確定で、本人は案外喜んでいるのだろうか。
水森かおりの歌唱時には「ドミノ倒し」の新趣向が導入され、これも恒例になりそうな予感がした。これもまた、ドミノの成否にばかり注目し、誰も歌を聴いていない。司会の有吉弘行が「誰も歌を聴いてなくて申し訳ない」とフォローする始末。ただ、けん玉と違って、ドミノの絵柄が楽曲「日向岬」のイメージだったので、歌を引き立てる演出の範疇にギリギリ留まっていたという見方もできる。
そのほかに、天童よしみと山内惠介は、それぞれ大阪と浅草からの中継で、お笑い芸人とのカラミの演出。これもまた、ただでさえ屋外で寒い上に、歌に集中できなさそうで気の毒だった。寒い中、裸になる芸人も気の毒だが・・・。

同じ中継でも、自分のコンサート会場からの中継になるアーティスト系は恵まれている。今回だとさだまさしがそうだった。福山雅治もトリでない年は決まって中継だ。自分の番に歌うだけでいいので、拘束時間も短いし、応援などの演出にも付き合う必要がない。何より自分のファンのためのコンサートを優先できる。
本来なら、様々なデメリットがあっても生放送のNHKホールに来られる歌手を選抜すべきだと思うが、そうも言っていられないのだろう。

そのほかに印象に残ったのは、伊藤蘭だ。もちろん年齢相応ではあったが、昔と同じ振り付きでキャンディーズナンバー3曲を披露してくれたのは嬉しかった。また「スーさん、ミキさんにも感謝」というひとことにもグツと来た。応援に駆り出されていたオールドファンの盛り上がりぶりにも胸が熱くなった。
薬師丸ひろ子『セーラー服と機関銃』の美しい歌声が今回も健在だったのも嬉しかった。
一方、浜辺美波の歌唱には別の意味で耳を奪われた。ディズニーメドレーの冒頭、橋本環奈とのデュエットで『いつか王子様が』を歌ったが、あの曲は彼女たちには難しすぎた。一応元アイドルグループの橋本環奈がフォロー役だったと思うが、彼女の歌唱も相当頼りなく、1曲の間非常に不安定なパフォーマンスに終始した。久々に見る「下手の醸し出す良さ」であり、浅田美代子、大場久美子、川田あつ子、中野理恵、守谷香らの殿堂アイドルを彷彿とさせた。そこまで狙って選曲したのだとすれば、制作者のグッドジョブだと思う。


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