大槻雅章税理士事務所

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№32 事業としての不動産貸付けとそれ以外の区分

2011-07-31 | ブログ

2011.06.26 事業としての不動産貸付けとそれ以外の区分

不動産などの貸付けによる所得は、不動産所得になります。不動産所得とは、①土地や建物などの不動産の貸付け、②地上権など不動産の上に存する権利の設定及び貸付け、③船舶や航空機の貸付けによる所得で、事業所得又は譲渡所得以外のものをいいます(所法26)。

不動産所得は、その不動産貸付けが事業として行われているかどうかによって、次の①から④のように計算上の取扱いが異なります。

①賃貸固定資産の損失については、事業的規模の場合は、その全額を必要経費に算入しますが(所法51①)、それ以外の場合は、資産損失を差し引く前の不動産所得の金額を限度とされます(所法51④)。

②賃貸料等の貸倒損失については、事業的規模の場合は、回収不能となった年分の必要経費に算入しますが、それ以外の場合は、収入に計上した年分までさかのぼって所得金額の計算をやり直します(所法64)。

③青色申告の事業専従者給与又は白色申告の事業専従者控除については、事業的規模の場合は適用がありますが(所法57)、それ以外の場合には適用がありません。

④青色申告特別控除については、事業的規模の場合は一定の要件の下最高65万円が控除できますが、それ以外の場合には最高10万円の控除となります(措法25の2)。

不動産の貸付けが事業的規模かどうかについては、原則として社会通念で判断しますが、建物の貸付けについては、次のいずれかの基準に当てはまれば、原則として事業として行われているものとして取り扱われます(所基通26-9)。

①貸間、アパート等については、貸与することのできる独立した室数がおおむね10室以上であること。
②独立家屋の貸付けについては、おおむね5棟以上であること。

但し、この5棟10室の基準は事業的規模かどうかの例示であって、この基準を満たさない場合は認められないという意味ではありません。

(完)


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