2020.01.06
所得税法では、親族に支払う給与は原則として経費に計上できません。その理由は、累進税率が適用される所得課税制度において、親族に給与を支給して所得を分散させれば、世帯全体の税負担が減少するからです。
しかし、実際に納税者の事業に従事している親族の給与が一切認められないのであれば、親族に支払う給与の損金性を認めている法人課税制度との整合性が取れず、実態に即した課税とはいえません。
そこで、青色申告の場合は、親族に対して実際に支払った給与の額について、一定の要件のもとで経費とすることが認められています。
ただし、白色申告の場合は、親族に給与を支払っても経費と認められないので、代わりに「事業専従者控除」の制度があります。
今回は、事業専従者控除のポイントをまとめました。
ポイント1.要件
事業専従者とは、次の要件の全てに該当する人をいいます。
①白色申告者と生計を一にする配偶者その他の親族であること。
②その年の12月31日現在で年齢が15歳以上であること。
③その年を通じて6月超の期間、その白色申告者の営む事業に専ら従事していること。
※青色申告の場合は従事可能期間の2分の1を超える期間その事業に専ら従事すれば良いのに対し、白色申告の場合は6カ月を超えて従事する必要があります。
ポイント2.事業専従者控除の金額
白色申告の事業専従者控除の金額は、次の①と②のどちらか低い金額です。
①専従者が事業主の配偶者の場合86万円、配偶者以外の場合は専従者一人につき50万円
②控除をする前の事業所得等の金額÷(専従者の数+1)
※事業所得等には山林所得と不動産所得が含まれます。
白色申告で認められている事業専従者控除の金額は、実際に支払った給与の金額に関係なく、上記①又は②のどちらか一つの金額だけです。
ポイント3.事業専従者控除を受けるための届出は不要
青色申告の場合は、青色事業専従者給与額を算入しようとする年の3月15日までに「青色事業専従者給与に関する届出書」を納税地の所轄税務署に提出する必要があります。
白色申告場合は、事業専従者控除を受けるために事前の届け出は必要ありません。
ポイント4.事業専従者控除の金額は「専従者の給与所得」となる
事業専従者控除の金額は、専従者にとって「収入」となります。そこで、専従者は事業専従者控除の金額を給与収入として確定申告する必要があります。
ポイント5.専従者にすると配偶者控除や扶養控除は受けられない
青色申告者の青色事業専従者、白色申告者の事業専従者は、給与を支払う納税者の確定申告において、控除対象配偶者や扶養親族にはなれません。
(完)
所得税法では、親族に支払う給与は原則として経費に計上できません。その理由は、累進税率が適用される所得課税制度において、親族に給与を支給して所得を分散させれば、世帯全体の税負担が減少するからです。
しかし、実際に納税者の事業に従事している親族の給与が一切認められないのであれば、親族に支払う給与の損金性を認めている法人課税制度との整合性が取れず、実態に即した課税とはいえません。
そこで、青色申告の場合は、親族に対して実際に支払った給与の額について、一定の要件のもとで経費とすることが認められています。
ただし、白色申告の場合は、親族に給与を支払っても経費と認められないので、代わりに「事業専従者控除」の制度があります。
今回は、事業専従者控除のポイントをまとめました。
ポイント1.要件
事業専従者とは、次の要件の全てに該当する人をいいます。
①白色申告者と生計を一にする配偶者その他の親族であること。
②その年の12月31日現在で年齢が15歳以上であること。
③その年を通じて6月超の期間、その白色申告者の営む事業に専ら従事していること。
※青色申告の場合は従事可能期間の2分の1を超える期間その事業に専ら従事すれば良いのに対し、白色申告の場合は6カ月を超えて従事する必要があります。
ポイント2.事業専従者控除の金額
白色申告の事業専従者控除の金額は、次の①と②のどちらか低い金額です。
①専従者が事業主の配偶者の場合86万円、配偶者以外の場合は専従者一人につき50万円
②控除をする前の事業所得等の金額÷(専従者の数+1)
※事業所得等には山林所得と不動産所得が含まれます。
白色申告で認められている事業専従者控除の金額は、実際に支払った給与の金額に関係なく、上記①又は②のどちらか一つの金額だけです。
ポイント3.事業専従者控除を受けるための届出は不要
青色申告の場合は、青色事業専従者給与額を算入しようとする年の3月15日までに「青色事業専従者給与に関する届出書」を納税地の所轄税務署に提出する必要があります。
白色申告場合は、事業専従者控除を受けるために事前の届け出は必要ありません。
ポイント4.事業専従者控除の金額は「専従者の給与所得」となる
事業専従者控除の金額は、専従者にとって「収入」となります。そこで、専従者は事業専従者控除の金額を給与収入として確定申告する必要があります。
ポイント5.専従者にすると配偶者控除や扶養控除は受けられない
青色申告者の青色事業専従者、白色申告者の事業専従者は、給与を支払う納税者の確定申告において、控除対象配偶者や扶養親族にはなれません。
(完)