探墓巡礼顕彰会-墓碑調査・研究プロジェクト-

「探墓巡礼顕彰会」の公式ブログです。巡墓会企画の告知など活動報告をしています。

謹賀新年 令和三年

2021-01-11 23:04:43 | 日記
会員のカトケンです。あけましておめでたうございます。

昨年は大変な1年になつた。せめて気持ちは前向きに行きたかつたが、職場で日々プレッシャーを感じながら、抱えてゐた仕事の年末の〆切まで心休まる遑が無かつた。

幸ひ通勤中の読書が唯一心が開放される時間となり、『ある市井の徒ー新コ半代記』(長谷川伸自伝)に夢中になつて乗り越えることができた。

幼くして母と生き別れ、一度だけ母らしき人が人力車からパッとお菓子を投げそれを拾つたこと、兄と2人で生き別れた母に会ひに行つたが果たせず人力車に乗せられ泣きながら帰つてきた件の途中には、明治17年生まれの作家が幼いころの横浜の鉄道事情が分かる描写があつて興味をそそられる。

その母とはその後どうなつたかは読んでのお楽しみとして、日ごろ様々な回想録を読んでゐるが、記憶が一部しかなくても、その断片的な手がかりから過去の出来事を組み立てていく自叙伝に読了後、自然再読してゐる自分がゐた。

さすが『相楽総三とその同志』にをいて何百人の草莽の同志たちのみならず、幕府方や鎮撫側諸藩の人たちをも調べ上げた作家である。

これぞと思ふ作家がゐたら、また自伝をめくつてみたいものだ。

さて、年末年始は早めに故郷へ帰り、先考の墓参りやら大掃除やら家の仕事に追われる。こんな状況だから、いろんな人にも会へないが物を届けてくださる親戚や近所の方がをり、寂しい中にも喜びや楽しみがあつた。

大晦日恒例の菩提寺の読経と新年のお祈りでは父の代から交流のある方々と二言三言、現在の消息やら母の状況やらをやりとりするだけでもホッとしたことだつた。

いつもなら篝火を焚いて檀家の皆さんと除夜の鐘を聞きながら火の番をする。昨年は中学の同級生と30年ぶりの再開を果たしたが、今年はそれもなく寂しく散会した。

また、元旦には浅間神社で高校の同級生と落ち合つて周辺の史跡や神社仏閣を回るのが恒例だつたがそれも叶はず。今回相方が帰省を自粛し昨年は予定が合はなかつたため、これで3年会はず仕舞ひとなるなら如何にも口惜しいことだ。

気を取り直して、自転車に乗つて方々を回るうち、2つの出来事が印象に残つたーー1つ目は以前このブログで紹介した葵区大岩の中村正直寓居跡に昨年9月に新しい石碑が建てられてゐたこと(=写真)。しかも、昨年末、12月27日付静岡新聞に記事があると知つて束ねた新聞から慌てて取り出す破目になつた(=写真)。





『西国立志編』執筆から150年記念の建立と分かり、富春院の山門前に「尚志」の碑があることを高校の日本史の先生から教えていただいたことを思ひ出した。

2つ目は葵区大鋸町の西福寺を訪れ、幕臣今堀千五百蔵(ちおらい、頑翁)・登代太郎父子の墓を詣で(=写真)、すでに無くなつたと勘違ひしてゐた登代太郎の実弟速水三郎の墓(=写真)にも再会できたこと。





今堀登代太郎は講武所の剣術教授方出役で伊庭八郎の友人である。養子に行つた三郎も双子の実兄沢次郎とともに剣術に秀でてゐるが、同山に沢の墓は無い。それでも速水家の墓誌には江戸時代からの戒名が刻まれてをり、三郎の諱正直が戒名に入つてゐる。

ここは駿遠に移住した徳川家臣団の泰斗前田匡一郎先生と新選組のみならず鬼平や町奉行など幕臣にも造詣が深い釣洋一先生と小弟の3人で平成21年に静岡市内を回つたとき教はつた場所である。

その時前田先生から教へられた大鋸町の遊郭跡にあつたお宮さんには残念ながらたどり着けなかつた。しかし、生まれた街の史跡を自転車で回ることなど子供のときには経験しなかつたが、これほど快適なものだと今まで感じたことはなかつた。

そろそろ甥つ子姪つ子が実家に来るころと家路に就き、戻つてしばらくぶりに甥つ子に会つたら背は伸びてゐるし、声変わりもしてゐる。果ては今まで使つたのを聞いたことがない敬語で話しかけてくることに、何ヶ月か会はないうちにすつかり大人になつたと感じ、驚くばかりだつた。

久しぶりに母や姉一家と夕食を囲み、いつもならトランプに興じるところ、今回は新しいボードゲームを皆でワイワイ楽しんでゐたら、帰る時間があつといふ間に来てしまつた。

今回は寂しい正月になるだらうと思つてゐたが、かうして振り返つてみると、いつもどおりとは行かなくとも心温まる時間を過ごすことができ、充実したものとなつたーー

新年開始早々、新型コロナウィルスの蔓延による緊急事態宣言が出て掃苔活動もままなりませんが、少しずつ知つてゐる情報を発信して行きますので、本年もよろしくお願ひいたします。
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新年のご挨拶

2021-01-01 00:00:01 | 日記
会員のカネコです。

新年あけましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いいたします。

昨年は新型コロナウイルスの世界的大流行があり、我が国においても緊急事態宣言が発せられ、東京では2ヶ月弱の間、外出自粛を余儀なくされました。その後も人と人との接触をなるべく少なくする行動を意識せざるを得ない状況が続いております。
当会では当初、春先までには幹事メンバーの会合を行う予定でしたが、感染拡大や各人が多忙になってしまったことなどから、会合を見合わせ、会としての活動は行いませんでした。

幹事メンバー個人個人では各自の研究テーマを追い続けています。
コロナ禍にあって、外出の自粛や図書館・文書館など公共機関の使用制限などマイナス面が多かった一方で、インターネット上での調査活動の発展など今後プラスになって行く方向性もみられたと思います。
昨年8月に国立国会図書館が運営するジャパンサーチがリリースされるなど、これからデジタルアーカイブの分野が発展して行くとみられ、今後の展開に期待が持てます。

私個人の研究としてはライフワークである二本松を中心とした福島県中通りの研究に焦点を絞り、墓のみではなく、藩士の名簿類や系譜などの収集をしています。ここ数年の間にだいぶ情報が集まっているので、それをどのように整理してまとめるかということが課題になっています。
今年はしばらくこの二本松方面の研究に全集中したいと思っております。

我々が共通のテーマとしている「お墓」に関しては、残念ながら年々厳しい環境に進んでいる状況です。
都立霊園をはじめとして、無縁墓の撤去が増加している上に、近年では後継者がいない家や墓所が遠方にある家で「墓じまい」をする傾向が増加しており、無縁になっていない墓も急に姿を消すという現象が起きています。
「無縁墓の撤去」と「墓じまい」は本来別個の問題ではありますが、特にこの2、3年はこの点が相まって、消えていく墓が急増していることを肌で感じています。
以前の記事でも書きましたが、著名人・歴史的人物の墓所とはいえ、ご子孫の祭祀の場である以上、ご子孫の事情によって墓所が変化することは仕方のないことだと思います。
墓所の管理維持に縛られ、今を生きる人の生活に支障が出てしまうのであれば、改葬は仕方のないことだと思います。
過去を振り返っても、人々の営みは常に変化し、生活様式・価値観が変わっていくことは決して悪いことではなく、我々もそのような変化に柔軟に対応して、より良い社会になるべきだと思います。
その中で、歴史や伝統とどう向き合い、それに対して何ができるかということを考えるべきなのではないかと思います。
このお墓問題については今の所、撮影等の記録を残し、情報共有して行くことが我々に出来ることではないかと考えております。

お墓の問題以外に憂うべき問題として「個人情報」の問題があります。
個人情報保護法が施行されて以降、「個人情報」の取り扱いに関する意識が高まり、法律で定義されている以上に保護されている傾向があります。
個人情報保護法では個人情報の定義を「生存する個人の情報」としており、故人の情報は含まれません。但し、故人の情報が生存する個人に繋がるもの、例えば相続に関することなどは例外とされています。
この定義でいけば、幕末・明治期を生きた人物の情報というものは本来、法律で保護される範囲外ですが、機関の判断によっては氏名・生年月日・住所・職業等が含まれる文書の閲覧を拒まれることがあります。寺院の過去帳に関しても各宗の本山より非公開の通知が出ています。
現在、先祖調査の必須アイテムともいえる戸籍謄本や旧土地台帳に関してもこのまま運用されるのか、何らかの制限が課せられるのか、今後の動向を注視する必要があります。
個人的な考えとして、これらの制限は歴史学の発展を妨げるものであり、「生存する個人の情報」と一部の例外を除いては原則公開されるべきだと思いますが、制限が課せられるのには理由がありますので、利用者の立場としても依頼は常に謙虚に、そして運用・活用に関しては適切に行うといことを心がけたいと思っております。

当会の命名者であり、我々が師事している釣洋一先生はコロナ拡大までは月1回旧春廼舎である猫廼舎をお借りして勉強会を開いていましたが、昨年は中断せざるを得なく、また、秋には体調を崩され、ご入院されていましたが、11月に退院され、その月の勉強会は開催され、お元気なご様子であったそうです。
本年は勉強会が再開されることを願っております。

ここ数年巡墓会の方はお休みしていた当会メンバーの河内貞芳さんより、昨年末にご連絡を頂き、ご多忙ながらも『侍たちの警視庁』続編に向けて、掃苔活動を続けているというお話を頂きました。仲間がそれぞれの道で活躍している様子は大変嬉しく励みになります。

平成30年(2018)に刊行した『探墓巡礼 谷中編~箱館戦争関係人物を歩く~』もおかげさまで、昨年も複数の方にご購入いただきました。
本年のNHK大河ドラマ「青天を衝け」の主人公渋沢栄一やその主君徳川慶喜など関連人物も取り上げています。
ご興味のある方はお読みいただけますと嬉しく思います。

本年もコロナ禍が続いている状態であり、会としての活動は当面未定となっています。
しばらくは個々の活動に専念したいと思います。
昨年開催できなかった幹事メンバーによる会合は春~夏の間に行いたいと考えておりますので、またその折にはご報告したいと思っております。

本年が皆様にとって良い1年になることを祈念いたします。
また、1日も早いコロナ禍からの脱却、かつての自由な行動ができる日々が戻ることを願っております。
引き続き、当会メンバーへのご支援ご鞭撻のほど、よろしくお願い申し上げます。
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