探墓巡礼顕彰会-墓碑調査・研究プロジェクト-

「探墓巡礼顕彰会」の公式ブログです。巡墓会企画の告知など活動報告をしています。

《平成23年・西行南游日記 1》高知県安芸市 黒岩治部之助直方墓

2012-06-17 15:45:56 | 会員の調査報告
会員のカトケンです。

平成23年8月6日(土)、高知龍馬空港からいろいろ寄り道をして土佐くろしお鉄道「ごめん・なはり線」でいざ東へ。「球場前」で降りて、高知県安芸市にある浄貞寺を訪ねました。

ここには、昨年5月に谷中霊園巡墓会で紹介した土佐郷士 黒岩直方(変名安芸守衛、磯部寛一郎)の墓があります。谷中は黒岩単独の名が刻まれていますが、こちらには妻栄子の名も刻まれています。(=写真)



傍らには父藤之進同妻喜世子の墓、周りには一族の墓が数十基に及び、さらに昭和42年(1967)に一族である黒岩俊行氏による由来碑があり、連綿と続いている血脈について知ることができます。

そもそもこの黒岩家は、戦国時代にこの辺りを治めた安芸国虎の家老を勤めた家柄で、現にこの寺にある国虎の墓の右側にその黒岩越前守が眠っています。(=写真)



対になって国虎を今でも護っている有沢岩見守と対照的に越前守の墓碑は状態がよく、墓碑正面に「永禄十二乙巳年(1569、ユリウス暦)/桂岩芳樹禅定門/八月十七日黒岩越前」と刻まれているのが読みとれました。

これを西暦に直すと1569年9月27日、この日付はあくまで当時西洋諸国が使用していたユリウス暦になります。

今我々が使用しているグレゴリオ暦が採用される13年前ですから、今から何年前と正確に言うためには、当時まだなかったグレゴリオ暦を遡って計算してみる必要があり、計算結果は1569年10月7日ということになるわけです。

話を戻すと、安芸国虎が長宗我部元親に滅ぼされるに際し夫人を今の高知県西部に位置する中村まで届けたのがこの越前守で、その使命を果たすと国虎が自害したこの寺に戻ってきて殉死したとのこと。

幸い血脈はが続き、江戸時代山内氏の治世では郷士に甘んじ、幕末明治に直方・涙香らが息を吹き返したようです。

安芸市など高知県東部には土佐くろしお鉄道ごめん・なはり線ができるまで手頃な交通機関がなかったため、かつてとは比較にならないほど訪ねやすくなりました。

学生時代の小弟は、当時まだなかった「ごめん・なはり線」の終点からやや山側へ入った中岡慎太郎館へ(高知市安芸郡北川村)自転車で往復120kmを日帰りで行きました。出発地は住んでいた高知市朝倉丙で俗に米田地区と云われているところです。

そのときのサイクリングロードが車窓からちらほら見えて懐かしい気持ちになりました。

また、今や高知龍馬空港となった高知空港を通ったとき、辺りは既に暗くなる中、滑走路を示すカラフルなライトがまるで浮かび上がるようで、それはもうきれいな光景だったことをはっきり記憶しています。

そのあと下田川沿いのライトもない道をどのように帰ったのか考えただけでゾッとします。

時間があるときはいろんなことに挑戦してみるものですね。今となっては良い思い出となりました。

なお、高知龍馬空港から土佐くろしお鉄道「ごめん・なはり線」につながる交通手段がないため、利用する場合は気をつけてください。

小弟は空港から橋を越えて川の向こうにある鰻屋さんに寄って、よしかわ駅に向かってとにかくたくさん歩きました。駅舎は見えるのですが、一面田んぼの中を突き進み2,30分はかかったでしょう。

土地勘がなければとてもお勧めできないコースです。訪問から既に10ヶ月ほど経ち、1年になる前にようやく記事にすることができました。
(高知県安芸市西浜556、曹洞宗 元親山 浄貞寺)
コメント (6)
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史遊会谷中霊園巡墓会のゲスト講師をしました

2012-06-14 01:46:27 | イベント
会員のカネコです。

6月10日(日)は史遊会主催のイベント谷中霊園巡墓会にゲスト講師で参加しました。
史遊会は新人物往来舎前社長大出俊幸氏・評論家粕谷一希氏・作家綱淵謙錠氏が発起人となった伝統のある会です。
史遊会で講師を務めるのはこれで3回目となります。

巡墓した人物は以下です。

佐藤尚中 佐藤泰然養子・蘭医・順天堂大学創始者(カネコ)
中村正直 幕府英国留学生・漢学者・洋学者 (カトケン)
石黒忠悳 陸軍軍医総監・男爵 (カネコ)
三間正弘 長岡藩公用人・初代憲兵司令官 (カワチ)
池田徳太郎 浪士組隊 (釣先生)
高橋お伝 毒婦 (カワチ)
ニコライ 日本ハリストス正教会司祭(カトケン)
新井一業 新選組隊士 (釣先生)
高松凌雲 日本赤十字精神の祖(カネコ)
箕作秋坪・菊池大麓 蘭学者・日本最大の学者一族(カネコ)
徳川慶喜 江戸幕府一五代将軍・公爵(カネコ)
松平斉民 津山藩主・子爵 (クロサカ)
渋沢栄一 実業家・幕臣・子爵(カネコ)
阿部正弘 福山藩主・老中(阿部正紘様)
来島恒喜 玄洋社員・大隈重信暗殺者(カトケン)
白根多助 長州藩士・埼玉県令(カトケン)
島田一郎 他 加賀藩士・大久保利通暗殺者 (カワチ)



13:30に五重塔を出発し16:30までの約3時間にわたり行われました。
今回は探墓巡礼顕彰会で過去2回谷中で開催した巡墓会からのダイジェスト版のような形となりましたが、レジュメや参考資料集は今回のために訂正・加筆しました。
終盤、天候が悪くなってきたため予定していた人物3名を残念ながらカットしました。

釣先生による池田徳太郎の解説の際には古写真研究家の森重和雄先生による写真の解説もありました。

講師の一人であるカワチさんはこの度、私家本『侍たちの警視庁 大警視川路利良の時代』を発行され、即売会も行われました。
創成期の警視庁の知られざる人物の墓を訪ね歩いた大作となっています。後半の「川路大警視追っかけ旅行記」は川路大警視マニアとして他の追従を許さないカワチさんの情熱に圧倒されます。
ご興味のある方は下記公式サイトをご覧下さい。

『侍たちの警視庁 大警視川路利良の時代』目次

今回、福山藩主阿部家のご当主阿部正紘様、白河藩主阿部家のご当主阿部正靖様、勝海舟の玄孫高山みな子様もご参加下さいました。特に阿部正紘様には阿部正弘の解説をして頂き、とても貴重な時間を頂きました。



他にも『東京お墓巡り』(NHK出版)の著者である酒井茂之さんも参加されました。

『東京お墓巡り』

今回もとても素晴らしい出会いがあった巡墓会となりました。
貴重な機会を頂き感謝しております。
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