探墓巡礼顕彰会-墓碑調査・研究プロジェクト-

「探墓巡礼顕彰会」の公式ブログです。巡墓会企画の告知など活動報告をしています。

博物館巡りの1日

2018-09-02 23:50:31 | 会員の調査報告
会員のカネコです。
今年は様々な所で明治維新150年・戊辰戦争150年のイベントや博物館・資料館の企画展が行われています。
あいにく仕事等が忙しく、ほとんど行けていないのですが、7月末に1泊2日で二本松少年隊顕彰祭・城フェスタ・二本松少年隊墓前祭へ行ってきました。二本松のことはライフワークなので、今年は必ず行きたいと思っていたので、大変充実した良い2日間を過ごすことができました。

さて、今秋発売予定『探墓巡礼 谷中編~箱館戦争関係人物を歩く~』の編集作業も大詰めを迎えていますが、リフレッシュのため今日1日は見たかったものを見に行こうと思い、横浜市内の博物館等をはしごしてきました。

まず、横浜市歴史博物館で開催されている『明治150年記念企画展 戊辰の横浜 名もなき民の慶応四年』。
横浜市は特に戊辰戦争の戦場になった訳ではないですが、幕末に農兵隊が編成されたことや、西軍が江戸に進軍した際の村々の様子など、民衆との関わり中心とした展示で、今まであまり着目されなかった視点で大変興味深いものがありました。

私も先祖調査をした際に、新潟の新発田藩領にいた先祖が長州報国隊の所属として、物資輸送に従事した事が記されている資料をみつけたことがありました。
また、二本松にいた先祖は西軍が来るという報を受け、阿武隈川の河原の石を集め防塁を作らされたという話が伝わっています。現在、そのような防塁は残っていないので、おそらく間に合わなかったのでしょう。
戊辰の動乱は武士階層だけではなく、一般庶民にも関わっていた訳で、自分の先祖も何らかの形で関わっていたという視点でみると大変身近なものに感じます。

最近、樋口雄彦先生が『幕末の農兵』という本を出しましたが、この分野の研究がこれから進んでいくと非常に面白いのではないかと思います。
今回の『戊辰の横浜 名もなき民の慶応四年』は有名な志士がほとんど登場しない、少々地味な内容ではありますが、むしろ、我々の先祖一人ひとりが関わっていたかも知れない幕末維新のリアルな姿というものが浮かび上がってきたようにも思えます。



次はこの関連企画展である横浜開港資料館『明治150年記念企画展 戊辰の横浜 開港都市の明治元年』。
開港都市横浜の明治元年の一年に焦点を当てた展示でしたが、奥州出張病院に関する資料や、板倉勝静家臣の日記、ストーンウォール号の売買交渉に関する書状など、ちょうど箱館戦争に関わっていたので、タイムリーな内容も見られました。



さらに金沢区の神奈川県立金沢文庫へ行き『特別展 安達一族と鎌倉幕府―御家人が語るもうひとつの鎌倉時代史―』を見ました。
こちらは趣が変わって中世史ですが、二本松と言えば、旧安達郡であり、安達氏は安達郡を本貫地としたことからその苗字を称したという説があり、以前から関心がありました。
実の所、安達氏と安達郡の関係ははっきりせず、『二本松市史』にも論考が載せられていますが、はっきりしないのが現状です。ただ、二本松市内には安達氏との関連を示す伝承や伝承地が残されており、何らかの関連性があったのではないかと思います。

今回初めて知ったのが、私が30年間程住んでいた川崎の南加瀬も安達氏の所領であったということです。現在の横浜市鶴見区寺尾を中心に安達氏の所領が点在していたようで、寺尾のすぐそばの加瀬や綱島のあたりも所領であったようです。
旧安達郡から来た両親が住んだ所が、安達氏の旧領であった南加瀬であったのも不思議な縁です。

安達氏と言えばやはり元寇の時代に活躍した安達泰盛で、元寇関係の史料も展示されていました。「蒙古襲来絵詞」を見ながら、2001年の大河ドラマ『北条時宗』の柳葉敏郎とうじきつよしの竹崎季長の姿ばかりが思い浮かびました。この『北条時宗』は「赤マフラー」こと北条時輔を演じる渡部篤郎や、時輔・時宗兄弟の父時頼を演じる渡辺謙の怪演が印象的でした。北条一門も川崎麻世と羽賀研二が兄弟役だったり、平幹二朗・伊東四朗・石橋蓮司・ピーターといった人たちが演じていて、非常に濃いキャラの北条一門が形成されていて、ストーリーも史実と違いやたら謀殺される人が多く、私の中では名作というより怪作というイメージで強烈な印象を残しています。

中世でしかも霜月騒動で一度滅び、さらに鎌倉幕府滅亡により滅びた一族なので、史料自体は多くはありませんが、姻戚関係のあった金沢北条氏の史料も含め、よく史料を集めたなという印象を受けました。安達氏を主役とした企画展はなかなか貴重だったのではないかと思います。



最後に桜木町の神奈川県立図書館へ行き、調査依頼を受けている案件に関する郷土資料などを閲覧しました。
ここの郷土資料のコーナーは非常に充実していて、神奈川県内のことを調べる時には大変重宝してます。

いろいろと抑制していたので、今日は図録を大人買いしました。
上記の企画展のものの他に金沢文庫で『最後の神奈川奉行依田伊勢守盛克』、横浜開港資料館で『横浜関係人物検索図書目録』を購入しました。『最後の神奈川奉行依田伊勢守盛克』の方は前回の記事で書いた安積艮斎との交流のことも書かれており、400円でこれは買いだなと思いました。



リフレッシュもでき、『探墓巡礼 谷中編~箱館戦争関係人物を歩く~』の完成に向けてもうひと頑張りしたいと思います。
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