探墓巡礼顕彰会-墓碑調査・研究プロジェクト-

「探墓巡礼顕彰会」の公式ブログです。巡墓会企画の告知など活動報告をしています。

5月23日 小川笙船《赤ひげ》の遺歯墓

2010-05-29 19:26:38 | 会員の調査報告
会員のカトケンです。

横浜市の最も南に位置する金沢区は、風光明媚な地として鎌倉時代から多くの人に親しまれてきた場所です。

京急線の金沢文庫駅を降りて能見台方面に戻り、山側へ鉄道をくぐってやや登ったところに太寧寺という小さなお寺があります。

ここに徳川吉宗の時代に無宿人やお金がなくて医者に通えない人のための病院(施薬院)設置を建言した小川笙船の墓があります。

笙船の建言は小石川養生所の開設により実現し、それ以来、小川家は代々院長たる肝煎を務めました。

その初代笙船が晩年3年間を過ごしたのが金沢です。「山にいるときは海を語り、海にいるときは雲を語った」と伝えられ、病を得て再び江戸へ戻りますが、金沢に葬って欲しいと遺言したことから、この太寧寺に「雲語子之墓」と刻まれた墓があるわけです。



正確には、笙船の歯を埋めた墓と言われています。しかしながら、戦争の際にお寺が今の場所に移転して墓がわからなくなっていたところ、最近になって笙船の末裔の方が墓の一部を探し当て、平成13年に再建の運びとなったものです。

また、笙船は山本周五郎『赤ひげ診療譚』の主人公赤ひげのモデルとされています。

笙船は幕府の医官の役職には遂に就かず、結局その子孫もお目見え以下にとどまりました。

そんなところに現代にも笙船を偲ぶ余地があるのかもしれません。

来たる日曜日(5月30日)、当会の催す巡墓会にて雑司ヶ谷霊園にある笙船の本墓を紹介しますので、お楽しみに。

太寧寺の山号は海蔵山。同寺は源頼朝の異母弟で鎌倉時代の武将 源範頼自害の地にして、範頼のものと伝わる墓もあります。
(横浜市金沢区片吹61-5)
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5月12日 善心寺ほか

2010-05-20 02:10:22 | 会員の調査報告
会員のカトケンです。

今月30日の巡墓会の事前探索を兼ねて、護国寺・雑司ヶ谷とその周辺を訪れました。

当日皆さんにご紹介する以外にも見るべき墓がありました。

まずは護国寺の東側に位置する善心寺。

幕臣栗本鋤雲の養子貞治郎の墓がありました。(=写真)残念ながらこの一基のみで、鋤雲や他の関係墓碑はありませんでした。



貞治郎は明治になってから岩倉使節団に加わり渡仏。帰国後は外務省などに出仕したことが墓碑から読み取れます。

宗派は法華宗陣門流。
〔文京区大塚5-2-7〕

次に護国寺へ向かいましたが、同寺西隣の財団法人天風会に立ち寄り、中村天風の墓の場所を尋ねた後、境内へ。

右手の奥に深尾重孝の墓が累代の墓とともにありました。土佐藩家老で佐川城主の家系11代に当たります。その家臣である田中光顕の墓の裏手にあるのも何かゆかりがありそうです。

その周辺には薩摩の田尻稲次郎などの墓碑があります。

本堂裏手右側には、中村天風の墓がありました。きれいな花がいけてありました。(=写真)



若いころは日露役の軍事探偵を勤め、数少ない生き残りとなりました。各地を放浪しエジプトで出会ったヨガの大家にその場で弟子入り。ヒマラヤで修行ののち戦後我が国へいち早くヨガを伝導。

心身統一法で多くの人を成功に導く手伝いをしました。各界の著名人が数多く弟子入りし、今でも心酔する人が後を絶ちません。

護国寺の宗派は真言宗豊山派、山号は神齢山、院号は悉地院。
〔文京区大塚5-40-1〕

次に雑司ヶ谷では大井憲太郎の墓。朝鮮独立支援の口火を切った大阪事件の首謀者。その後衆議院議員。大正11年没(1922)、享年80歳。
(1種16号3側)

次に並河家の墓。(=写真)ここに葬られている並河一という人物は、新撰組隊士で彦根出身の佐々木一であると長らく言われてきましたが、当会会長 釣洋一先生が最近出された論稿で同一人物とするのに否定的な見解を示されました。



墓誌の右から4番目に「正五位勲四等並河一命、大正十五年(1926)五月二十九日、享年七十六歳」とあります。
(1種5号27側)

土佐関係では、戦前代々木にあった山内家史編纂所の所長を務めた沼田頼輔の墓。紋章学の大家でもあります。
(1種10号11側)

さらにそこから道を隔てたところに土佐出身でテレビ開発者の山本忠興の墓がにあります。中に骨壷が納められそうな形状のもので正面に「山本家之墓」と書いてあります。
(1種14号13側)
〔豊島区南池袋4-25-1〕

また、この日は巡墓会で回る予定になっている墓の近くで、知る人ぞ知るとっておきの墓にたどりつくことができました。

誠に勝手ながら、これはぜひ巡墓会に参加していただいた方にだけ紹介させていただきたいと思います。お楽しみに…

最後になりましたが、沼田博士の場所をご教示くださった会員のクロサカさんに感謝申し上げます。
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GW調査

2010-05-15 19:48:24 | 会員の調査報告
皆様、ご無沙汰しておりました。会員のクロサカです。
GWは少し遠出をしていろいろ調査してきました。

5月2日には、茨城県古河市に調査に行って来ました。
正定寺で古河藩主土井家、本成寺で河口信任・土井利益生母、神宮寺で神勢館の乱で切腹させられた水戸藩士などを掃苔しました。
5月5日には、栃木県調査をしました。
まずは、喜連川です。



ここの龍光寺に喜連川家代々の墓所があります。
この喜連川家は、もともと古河公方を務めた足利家で最後の公方足利義氏の娘義姫から
始まる一族です。
石高は5000石でしたが10万石格式を与えられていました。
ここには、江戸期最後の当主足利縄氏以外の歴代当主と夫人、子女墓が現存しています。
縄氏は、東京都台東区下谷正覚寺の高家宮原家の墓に合祀されています。
宮原家は、足利家の一族で縄氏はここから喜連川家に養子として入りましたが、明治後に実家に復籍しています。

次に大田原市黒羽に向かいました。ここには、黒羽藩主だった大関家の菩提寺大雄寺があります。
中野区功雲寺にも墓地がありますが、こちらには3代以降全ての藩主の墓碑が残されています。
初代と2代は良く判りませんでした。



そして最後に歩いては確実に行けない光巌寺にも行きました。
まだ免許を持っていないので祖父の車に乗せられ、向いました。
ここは、黒羽藩家老大沼家の墓地があります。
明治期の当主大沼渉は西南戦争で活躍し、陸軍少将となり、男爵になっています。

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雑司ヶ谷霊園・護国寺巡墓会迫る

2010-05-07 02:00:18 | イベント
探墓巡礼顕彰会では全国歴史研究会墓碑研究部会と昨年11月に共催した「青山霊園巡墓会~龍馬ゆかりの墓碑を訪ねて~」に引き続き、第2回目の巡墓会を5月30日(日)に開催します。
先日、4月25日(日)には会員による下見会も開かれ、着々と準備が進んでいます。
全国歴史研究会員外の方も大歓迎です。





■参加要項
★日時 平成22年5月30日(日)雨天決行
 12:30より受付
 13:00(現地出発)~17:00(現地解散)
★集合場所:護国寺入口
 (交通:地下鉄有楽町線護国寺駅下車、徒歩2分)
★講師:釣洋一先生(探墓巡礼顕彰会会長)・探墓巡礼顕彰会会員
★テーマ:「近代日本の群像」
中浜万次郎・千葉定吉など『龍馬伝』ゆかりの人物や三条実美など明治の元勲、文豪夏目漱石等の墓碑を巡ります。
★参加費用:1,000円
 (定員30名・参加費は当日受付にて)
※解散後、希望者で懇親会を行います。
 (3,000円程度で/場所未定)
★参加ご希望の方は、下記まで、電話、FAXにてお申込み下さい。
全国歴史研究会墓碑研究部会
〒141-0031 東京都品川区西五反田2-14-10-504
TEL 03-3779-3127
FAX 03-3779-5063

全国歴史研究会墓碑研究部会

(文責:カネコ)
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幕末掃苔屋『幕末墓参り紀行(なでしこ編)』

2010-05-07 01:51:01 | イベント
会員のカネコです。
この度、会員のカワチさんが幕末史研究サークル『幕末掃苔屋』を立ち上げました。
先日、5月4日(火)東京ビッグサイトで開催された『コミティア92』で会報創刊号『幕末墓参り紀行(なでしこ編)』が販売されることになり、私も購入して来ました。



この『幕末墓参り紀行(なでしこ編)』は幕末に生きた女性達18名にスポットライトをあて、本文で人物の概要とお墓の所在地やお墓にまつわるエピソードが紹介されています。これらは全てカワチさんが実際に訪れ、写真を撮っており、その活動にはとても敬意を感じます。

幕末に興味を持った初心者の方も史跡巡りの入門編として楽しめる内容だと思います。
今後も続編が出る予定とのことで、カワチさん達の活動がとても楽しみです。
ご購入等の問い合わせは下記の『幕末掃苔屋』ブログの方へお尋ねください。

幕末掃苔屋 公式ブログ
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