探墓巡礼顕彰会-墓碑調査・研究プロジェクト-

「探墓巡礼顕彰会」の公式ブログです。巡墓会企画の告知など活動報告をしています。

第9回平島松尾顕彰会「柳渓忌」に出席しました

2019-08-26 00:02:05 | 会員の調査報告
会員のカネコです。
8月11日(日)に二本松市市民交流センターにて開催された「第9回平島松尾顕彰会「柳渓忌」」に出席してきました。



平島松尾といっても地元二本松の人の間でもあまり知られていませんが、二本松少年隊の生き残りで、維新後は自由民権運動に身を投じ、福島事件で国事犯として逮捕され、出獄後は衆議院議員に数度当選し、現在に続く福島民友・福島民報の創刊にも関わっています。

平島家の親族を中心にして顕彰会が組織され、毎年4月に総会と8月13日の松尾命日近くに「柳渓忌」が開催されています。

私は一昨年に、東京二本松会幹事で平島松尾の弟の孫にあたる藤井様のお誘いで入会し、その年の「柳渓忌」に出席しました。

「柳渓忌」は親族・来賓による献花、平島家ご子孫の平島フク様により献詠などが行われました。
「柳渓忌」の後、例年は講話があるのですが、今年は講話は短めにして出席者による懇談会が行われました。
講話は会長の小島喜一先生による「各地の自由民権研究・顕彰運動の現在」と題して福島県を中心に各地の自由民権運動に関する研究団体や顕彰活動の状況についてお話しがありました。
「三春地方自由民権運動血縁の会」は福島県の自由民権運動の本拠地にも関わらず、ご子孫の高齢化などによりここ数年は活動休止状態になっているとのことでした。
その反面、石川町では「石陽社顕彰会」「石陽史学会」などにより活動が活発に行われているとこのとで、早稲田大学名誉教授で自由民権運動の研究家である安在邦夫氏寄贈の安在邦夫文庫の整理などが行われており、今後の活躍が期待できます。
その他、「福島自由民権大学」「喜多方歴史研究協議会」「全国自由民権研究顕彰連絡協議会」など各活動が紹介されました。
何でも「全国自由民権研究顕彰連絡協議会」は昨年結成され、事務局が我が母校大正大学に置かれているということで、誇らしい思いをいたしました。

懇談会では毎回平島家のご縁者が出席しているにも関わらず、今までご紹介が少なかったとのことで、今回は平島家の系図が配布され、ご子孫・縁者の方々のご挨拶や伝わっているお話しなどがありました。
平島家の姻族を辿ると榊山潤の『歴史―二本松藩士の維新』の主人公片倉新一郎のモデルとなった佐倉強哉、筑紫広門の子孫林家、二本松少年隊士武谷剛介、信州の教育に大きな足跡を遺した浅岡一、報国六烈士の脇光三を始め、沢井家・大谷家・寺田家といった二本松藩史に名を残す家々があり、大変興味深いものがあります。

懇談会ではその他の出席者からも挨拶があり、不肖私も少しお話しさせて頂きました。
たまたま隣になった方が、ブログ「年寄りの漬物歴史散歩 東京つけもの史」を運営している方で、何でも福神漬の歴史を調べているうちに二本松関係者に行き着いたとのことで、情報を求め今回ご出席されたとのことでした。
その方から平島松尾の同志である花香恭次郎のお話しも出たのですが、これも偶然で、私が数年前からご縁があった方が現在千葉県旭市大原幽学記念館で開催されている「あさひ 羽ばたいた人々」で平島松尾の同志である花香恭次郎を取り上げるように働きかけをしており、この日はその案内チラシも持って来ていたのでお渡ししました。

あさひ 羽ばたいた人々

自分が調べたことや関わっていたことがいろいろリンクしてくるのは大変面白いことです。

懇談会では、平島松尾顕彰会を細く長く続けるにはどうすれば良いかという話もあり、平島松尾自体の知名度がまだまだ低く、安達ケ原ふるさと村にある「先人館」でも取り上げられていないことや、少年隊士であったこともあまり知られていない現状なども話題に上がりました。
私からは少年隊の顕彰は戦死者がメインで、生き残りの隊士のその後についてあまり知られていないので、その辺の話が認知されるよう活動をしたいとお話ししました。

郷土の名士の顕彰活動は地道なもので、中には運営者の高齢化等で継続が困難になることがあります。
小島会長も仰っていたように「細く長く」でも継続することが大切だと思います。平島松尾顕彰会がこれからも続いていくよう私も微力ながらお役に立ちたいと思っています。

さて、「柳渓忌」の前後は、恒例二本松の寺院巡りをしてきました。
二本松の掃苔本としては平島松尾の弟平島郡三郎が書いた『二本松寺院物語』があり、私にとってはバイブル的存在で、いつもその本を基に墓探しをしています。
今回もレンタサイクルで心安寺墓地、蓮華寺、台運寺、正慶寺、長泉寺、顕法寺、香泉寺、大隣寺、松岡寺を巡りました。

『二本松寺院物語』は昭和初期に書かれたものなので、墓地の状況はだいぶ異なっており、記載されているお墓が無いことも多々あります。
今回は無縁集石となっている墓碑からいくつかの戊辰戦争殉難者の墓碑を確認しました。
一度みたお墓でも来た時には再度確認をするようにしています。
二本松の寺院は山裾にあることが多く、特に藩士の墓は山の中や斜面にあり、夏ともなると夏草が生い茂り、中には密林状態の場所もありますが、午前中の短時間、一心不乱に墓碑の撮影をしました。
途中、霞ヶ城前で行われている幕末の家老丹羽図書の屋敷跡発掘現場なども見てきました。
日帰りでしたが、今年も二本松で濃密な時間を過ごすことができました。



台運寺 平島松尾の墓



正慶寺 義人加茂石松の墓



正慶寺 彦根藩士小倉健輔の墓



丹羽図書屋敷跡



大隣寺 戦死群霊塔



大隣寺 小此木間雅の碑



大隣寺 武谷嘯雲の碑
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神奈川県立歴史博物館「北からの開国 ―海がまもり、海がつないだ日本―」を見てきました

2019-08-25 09:46:24 | 会員の調査報告
会員のカネコです。
昨日24日(土)に神奈川県立歴史博物館で開催中の「北からの開国 ―海がまもり、海がつないだ日本―」を見てきました。





開国というとペリー来航を思い浮かべますが、それよりも早くからロシアは開国通商を求めており、幕府はロシア南下への危機感を持っていました。
今回の展示は幕府ロシアへの対応、研究、防衛策といった幕末の日露関係の流れがよく分かる非常に興味深い内容となっていました。

展示品は福山藩阿部家、彦根藩井伊家、古河藩土井家、白河藩松平家、松代藩真田家といった当時にロシア問題に関わった幕閣の家に伝わる史料などを始め、林子平や会沢正志斎といった学者による海防論の書、間宮林蔵など蝦夷探検家による調査記録などがあり、図録(1,000円)もよくまっとまっていたので、購入しました。

私は大学の卒論で会沢正志斎の『新論』について書いていたので、今回の展示に会沢の自筆稿本があったので、しばし見入りました。
後期水戸学は戦前と戦後でガラリと評価が変わりましたが、その両極端な評価から一度離れ、フラットな視線で見たいと思っていたのですが、卒論を書いていた時期は小泉内閣の発足や9.11などが起こった時期でもあり、なんとなくその時代の空気の影響も受けながら書いた思い出があります。
その後、特に後期水戸学について深く研究していませんが、やはり常に心のどこかに引っかかるものがあります。

日露関係では平成29年(2017)に開催した第14回巡墓会「深川巡墓会~江戸の始まりと幕末黎明期の群像~」で私は松平定信と間宮林蔵を担当したため、この時にいろいろと調べたものです。

間宮林蔵の出身地つくばみらい市上平柳にも行きました。

間宮林蔵の故郷を行く

また、その前後には関連事項として初代蝦夷奉行羽太安芸守正養などの記事も書きました。

初代蝦夷奉行羽太安芸守正養の墓

この流れもあり、昨年刊行した『探墓巡礼 谷中編~箱館戦争関係人物を歩く~』では日露交渉に関係した人物も取り上げました。ロシア対策からの蝦夷地開拓は箱館戦争の背景にも関わりますので、一つの「裏テーマ」として日露関係も念頭に置いて執筆にあたりました。

現在も日露間には北方領土などの難しい問題を抱えていますが、強大な力を持った隣国とどのように付き合っていくか、先人たちの苦労に学ぶ所も大きいのではないかと思います。



(水戸市本法寺の会沢正志斎の墓 平成28年(2016)撮影))
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家系研究協議会関東地区例会に出席しました

2019-08-24 01:21:01 | 会員の調査報告
会員のカネコです。
8月3日(土)に家系研究協議会関東地区例会に出席しました。
家系研究協議会には数年前から所属しており、関東例会には平成25年(2013)、平成26年(2014)、平成27年(2015)の会に出席していましたが、今回は久々の出席となりました。

今回の講演は山梨県甲州市塩山の塩山市民病院の医師で、荒木村重一族のご子孫である荒木幹雄先生による「甲斐武田家臣板垣氏の子孫が所持していた織田信長朱印状について」でした。
演題からみて戦国時代の話かと思っていたのですが、戦国にはじまり江戸時代~近現代に至る塩山の名家の話で、私的には「えっ、こんな人も」というような人物も出てくる大変興味深い内容でした。

塩山にある於曽屋敷は中世にこの地の豪族であった於曽氏の居館でその後、板垣氏の居館であり、その後板垣氏を継承した廣瀬氏の屋敷として続き、現在も廣瀬氏の子孫がお住まいで、屋敷の右半分が公園として公開されています。荒木先生がこの於曽屋敷に保管されていた織田信長の禁制を発見したことからこの講演の話は始まり、廣瀬氏を中心とした一族・姻族を調査した内容が発表されました。

詳しい内容はネタバレになるので、控えますが、幕末維新ではやはり甲斐板垣氏といえば板垣退助となりますが、その他に新選組隊士と言われている結城無二三(新選組隊士であることは同時代の資料では確認できず)、浪士組の依田熊弥太道長、内藤矢三郎、黒駒勝蔵と親交があった武藤外記、琵琶湖疎水を作った田辺朔郎、近現代では小林一三、網野善彦、中沢新一といった人物が繋がっており、それぞれの関係性がよく分かり大変楽しめる内容でした。

荒木先生が丹念に地元の文献を調査し、関係者に取材した成果に心から敬意を表したいと思います。

例会には私がかねてから尊敬している家紋研究家の高澤等先生もお越しになっており、興味深いお話しを聞かせて頂きました。また、会長の宝賀寿男先生には以前もご著書にサインを頂きましたが今回も古代氏族の研究⑬『天皇氏族―天孫族の来た道』にサインを頂き、数点質問をさせて頂きました。また、事務局の馬原様には以前の会報で『探墓巡礼』を取り上げて頂き、推薦のお言葉も載せて頂いたので御礼を申し上げました。

この会は講演はいつも大変勉強になります。来年も楽しみにしています。家系研究協議会の今後ますますの発展を祈念いたします。
いずれ会誌『家系研究』に寄稿したいと思っています。



(以下は昨年5月に塩山へ行った際に撮影したもの)



向嶽寺



恵林寺



武田信虎の墓





大小切騒動殉難の碑と案内板



秋山光朝の墓
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わが心の田中城

2019-08-23 00:11:38 | 会員の調査報告
会員のカトケンです。

閑話休題。土佐から帰り、仕事に復帰して週末は職場のボウリング大会、次の週世間ではお盆のころ、静岡へ帰省した。

母方の祖母・叔父(焼津)と大叔母・母の従兄弟(大井川)の墓参に向かった。

焼津から旧150号線を行くと姉がよく言っていたピンク・レディーが出た幼稚園がまだ残っていた。

道が新しくなってからずいぶん通らなくなったが、久しぶりに150号線らしさを味わった。

大井川の手前には父が気に入っていた栃山川がある。水がきれいで来るたびに植えたクレソンの育ち具合を見ていたことなど、今となっては良き思い出である。

大叔母たちの墓参を終えて、母のお気に入り[立花ガーデン]がやっているか行ってみたが、お盆休み。母がすかさず「何処か行ってみたいところはない?」と声をかけてくれたのを渡りに舟として、田中城を指名した。

『探墓巡礼 谷中編』で取り上げた[高橋泥舟]が地方奉行として滞在していたところにまだ足を運んでいなかったからだ。

本を書いたときは、泥舟の四男村山偏通の墓がある源昌寺しか行っていなかった。いざ田中城下屋敷跡に足を運んでみると茶室(=写真)や櫓(=写真)があって歴史的景観として十分雰囲気があるし、その周りは城跡や堀が迷路のようになっていて、まるごと史跡ではないかと思わせるほどだった。





泥舟の資料が無いか櫓にも登ったがボランティアの方の説明がなかなか終わらず、パネルにすべて目を通すことができなかった。

それでも人の居ない受付にあった資料をもらい、あとで母と行った蓮華寺池公園のスターバクスで読んでみると興味深い田中城にさらに目を見張った(=写真)。



小弟はやはり城郭などの無い城跡が好きなのだ。生活の中に史跡があるーーそんなところに惹かれてしまう。

また父方の先祖が仕えていた土岐氏が田中城主だった折りの痕跡が何か無いか捜したところ、正定寺の「願いの松」は土岐の殿様が大坂城代に出世したことを記念して植えたものという(=写真)。



そんな探索を終え、改めて母方の先祖が田中城に刀を持って行ったとの言い伝えを母が口にして、父母両方の先祖に近づけた気がした。

母方は神官とぞいふ。まだまだ調べることは数多い。



(写真=田中城下屋敷跡の櫓からの風景)
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歴史を感じ、命を学ぶ

2019-08-21 22:15:34 | 会員の調査報告
会員のカトケンです。土佐に滞在した夏休み、久しぶりに古文書解読を半年習った渡部淳館長(高知城歴史博物館)を訪ねる。

いつも訪ねると決まってタイミングが合わなかったが、今回はようやくお目にかかれた。

山内家宝物資料館の学芸員からたたき上げで館長になった努力の人で、大学時代に授業のあとよく飲みに連れて行ってもらった。

大河ドラマ[功名が辻]放映の年に刊行された著書『検証・山内一豊伝説』(講談社現代新書)はその慎重な実証性や博物館職員らしいビジュアルに楽しめるコラム、土佐藩政初期の主要な家臣団のコンパクトな解説が現在でも土佐藩近世研究の入口として重宝するありがたいものだ。

先生とは立ち話だったが、高知の歴史研究の現状や課題が垣間見え、ある研究者の方の消息などもお聞きし衝撃を受けたことは、進まざる土藩研究に危機感を覚えざるを得ないものがあった。

そこで託されたのが次回企画展[大名墓をめぐる世界そのすべて]のポスターとチラシ。









なんでも、仏教各宗派の音楽会が催され、寺院のみならず神社も加わるのだとか。一体どんな展開になるのか。

ともあれ、土佐藩主の病と遺言、葬礼と法要、神格化に至るまで。ここまで墓をめぐる企画展がかつてあったかどうか。

秋から冬にかけて様々な催しが計画されている。まずは9月後半の3連休、渡部先生の講演会をはじめ、墓所散策はもちろんのこと、あらゆる角度から墓に迫ったものとなっている。

高知城歴史博物館は山内家宝物資料館時代から毎度図録が充実しているし、新しく研究紀要も発行され、早速注目すべき土佐藩士の格式階級に関する論文が載っている。



研究の薄い分野について展示会で忙しいさなか論文にしている学芸員の方々には本当に頭が下がる。

渡部先生の薫陶を受けて、ますます利用価値の高い博物館になることを祈るばかりである。

県立図書館と市民図書館が合併した至近のオーテピアと併用すれば相乗効果は計り知れない。

プロもアマも史学徒なら一度は足を運んでおきたい場所である。

土佐に着いて、この[お城下文化手帳]を駅前のとさてらすで手に入れれば、市内の主要博物館の場所は素より年間スケジュールも手にとるやうに判る優れもの。



さあ、いざ土佐へ参られよ!
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