探墓巡礼顕彰会-墓碑調査・研究プロジェクト-

「探墓巡礼顕彰会」の公式ブログです。巡墓会企画の告知など活動報告をしています。

大阪のおっちゃんのおかげで見つけた箱館戦士はシーボルトの従兄弟?

2021-12-27 22:33:25 | 会員の調査報告
会員のカトケンです。いつの歳三忌だったか忘れたが、毎度主催者である大出さんのお導きで皆さんの前で挨拶させてもらっており、挨拶の後参加者で声をかけてくださった方がいた。

それが縁で山南忌の時に大阪まで行くと車で史跡巡りをしてくださったり、うまいものを食いに連れて行ってくれたりするようになった。

時々東京に出張があると連絡をくださり、時間が合えばお目にかかることもしばしば。

その方とこの前電話で話していて「ほらあれ、あの人よ。シーボルトの娘を妊ませた…」とその時は分からなかったが、後からラインで「石井宗謙」と教えてくださった。何でも司馬遼太郎の『花神』や『胡蝶の夢』を読んで岡山の縁の地まで行ったそうな。

実は後になって、その人物の次男が箱館戦争に従軍していたことが分かった。一聯隊差図役石井楳太郎とぞいう。

『探墓巡礼ー谷中編』で書けなかった箱館戦争通史を組み立てるため、あるいは宣伝のための講演で材料として使った一聯隊石川証平の手記「説夢録」(幕末維新史料叢書『逸事史補・守護職小史』新人物往来社刊所収)のたまたまクリアファイルのいちばん上になっていたページから「シーボルト」なる文字が目に飛び込んできたのである。不思議な発見であった。

「説夢録」では楳太郎の父宗謙(原文では「宗賢」)がシーボルトの娘を娶り、楳太郎をシーボルトの息子アレキサンドルの従兄弟としている。しかし、楳太郎は宗謙とシーボルトの娘楠本イネとの間の子ではなく、そもそも楠本イネとアレキサンドルが姉弟だから、義理の甥になる。

ところが、この石井楳太郎、不幸にも斥候になって現地案内人を連れ稲倉石の関門(北海道檜山郡厚沢部町)に差し掛かった折、ピストルを落としてしまったことが仇となって榎本軍であることがバレ、松前藩に処刑された人物であった。

それでも、処刑される間際まで現地案内人の助命を嘆願していたほどの人格者であったのだ。このような人物がいたこと自体、事実は小説より奇なりの観を抱く。

手記をコツコツ読むとこのような発見があって楽しい。丸毛利恒の「北洲新話」(一名「函館戦記」『旧幕府』所収)はこのことを明治元年11月12日(1868・12・25)としている。

そして、件の大阪のおんちゃん。時々遠出をしては史跡巡りをした写真を送ってくださるのだが、この度は奥様のご実家香川県に行って美味しい食事とお酒を堪能されているのだなと思ったら、さらにそこから土佐まで足を伸ばし(もちろん車であるが)安芸郡芸西村へ行き、おりょうと君枝の像や安岡金馬顕彰碑の写真を送ってくるは、室戸岬の中岡慎太郎像の写真も来るは、果ては安芸郡東洋町(先端が逆三角形のかたちになっている室戸岬を越えて東の徳島県側に位置する)にある江藤新平遭厄地の看板がさびれている写真まで送ってきた!

しかも、免許取り立てのお嬢さんにこのとんでもない距離を運転させたというから高知県キャラクター黒潮君のイエローカードスタンプを送った。

「今のお気持ちは?」と黒潮君インタビュースタンプに対する答えは「悪い親ですなぁ
趣味に付き合わせるなんて」…お後がよろしいようで(=写真は佐賀県佐賀市にある江藤新平墓)。



来年もどうか1つ長い目で、よろしくお願いします!
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品川ライムライト

2021-12-15 22:48:58 | 日記
会員のカトケンです。

先日、刀剣研究家権東品先生のリニューアルされたお店オモニで一寸したお祝ひがあつた。

よく釣先生の店春廼舎に持ち込んで飲んでゐた赤ワインを持つて駆け付けた。新選組研究家汐海珠里さんと御嬢様こまめさん、S山さん、クロサカ会員が集まつた(=写真)。



久しぶりの韓国焼肉に舌鼓を打ちながら、権さんから或る年の山南忌の翌日に自転車で京都を巡つた時の思ひ出話が飛び出した。

寺町通りの三嶋亭本店でランチをした時に小弟が「権さん、こゝの勘定で昨日の講演料が残らないですよ」と言つたといふのだ。

さう言へば店に入る前に「ホントに良いの?」と同行の金城さん、育江ちやんと顔を見合はせ、思はず躁いだ記憶が蘇つた。

何と言つても、肉を毎度目の前で焼いてくれる程のお店だから、その値段は推して知るべしといふもの。

権さんとは外にも様々な話ができしばし時を忘れたーー全斗煥大統領の国葬が何故行はれないのか、日韓不可逆的合意の裏話、その筋の或る有名な方(と云つてもヤクザではない)の秘書と仲が良かつたり、知る人ぞ知るその業界ではカリスマだつた方の事務所があつた場所、果ては金大中事件の舞台裏までーー

ちやうど数か月前に在韓日本大使館に勤めてゐた方の回顧録を読んでゐたゝめ、色々な話がつながり興味深かつた。

矢張り人と逢ふてこそ、得られる物があるし、執筆のタネが集められるといふものだ。

また、歴史上の人物が来た店で今でも営業しているところはそんなに値段が高くないといふ話は印象的だつた。何故なら、東京のさる街でお酒を飲む時、ホステスにこれ飲んで良いですかと言はれたらそのお酒は幾らだなどとは訊いては無粋だし、第一そんな席で値段の話をしたら一気に酔ひが冷めて仕舞ふ。

だが、その歴史上の人物が使つた店は、そんなことはしないよ、さう考えたら決して高くないとのことだつた。

それなら自分たちでも行けさうだと一度訪ねてみやうかといふ気になつた。僕は記念にその歴史上の人物の写真を持つてその店に行つたよと権さんの言。

お酒の嗜み方や社交場での振舞ひをさり気なく伝授してくださる。

色んな場面で社会的ルールがあるものだと実感させられた。しかもそのやうな場面で一瞬の判断が求められるといふのが、今回権さんと二人で話した結論とでも言はうか。

「これはまるで権道場、権教室だね」と汐海さんの才能を見出す権さんに、弟子に志を継がせる往年の斬られ役福本清三の映画「太秦ライムライト」を重ねて、今回のタイトルを思ひ付いたのだつた。

来年はどのやうな活動が展開できるか、緊急事態宣言が解除されてゐるといふ前提ではあるが、様々な人と逢ふて大いに刺激を受けたい。
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