探墓巡礼顕彰会-墓碑調査・研究プロジェクト-

「探墓巡礼顕彰会」の公式ブログです。巡墓会企画の告知など活動報告をしています。

追悼 小杉雅之進の御子孫、小杉伸一さん

2016-10-29 22:36:03 | 日記
会員のカトケンです。

咸臨丸で太平洋を渡り、箱館戦争にも従軍した小杉雅之進の御子孫、小杉伸一さんが今月11日に逝去された。

小杉さんを通して、小弟は主に開陽丸子孫の会の方々と交流させていただいている。

行事の時は必ず声をかけてくださり、函館や浦賀などに御一緒させていただき、東軍慰霊祭ではわがふるさと静岡市にも来てくださった。

会の行事となると、行動計画や交通機関の利用は緻密に計算し尽くされ、御年配の方が参加されても配慮が行き届いていた。

また、恰幅がよく声が通るから、皆迷子になりにくい。絶好の案内人だった。

その姿にノウハウを学ぼうといつも必死な小弟であったが、まだまだ学ばせていただきたかったことは数多く、大変心残りである。

雅之進の話で印象的だったのが、日清戦争終結時の下関談判で、交渉会場となっている小高い場所にある春帆楼において談判しているところ、見下ろすと関門海峡をたくさんの船が航行していた。ただ、これは船を往復させてたくさんの船が航行しているように見せていただけだったのだが、これを指揮できるのは雅之進をおいて他にいなかったという話。

実はこれは、談判を有利に運ぶため、日本の国力を示す格好となったのだが、この逸話を小弟はまだ実証する材料を持っていない。それでも、もしそれが事実なら、幕臣が明治を生きていても国に尽くそうとしていたことがよく分かる好きな話である。

また、南北海道を回ったときは小杉さんの告知によって、木古内で大勢の人たちが出迎えてくださったり、他の機会に連絡を取るべく電話をしたところ「いま塩飽(香川県丸亀市本島)で打合せ中だ」と驚かされたりもした。

オランダ大使館の方に講演を依頼したり、しっかりメールのやり取りをしていたりしたのも印象に残っている。

歴史を通しての交流は、幅広い地域や時に海外の方々とも、遠距離を厭わず行なわれた。これを一介のサラリーマンという立場で続けられていたことは、驚嘆に値する。まだまだ背中を追いかけさせていただきたかった。

心より御冥福をお祈りします。合掌



一昨年の4月末の咸臨丸フェスティバルのとき、久里浜や浦賀を散策していて撮影したスナップ。右端が小杉さん。
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探墓巡礼顕彰会オフ会-麟祥院と春日局の足跡ー」開催のお知らせ

2016-10-23 23:47:26 | イベント
会員のクロサカです。
探墓巡礼顕彰会では、11月27日(日)に「探墓巡礼顕彰会オフ会-麟祥院と春日局の足跡ー」を開催することになりました。
昨年12月に行った金地院巡墓会と同じくミニ巡墓会を行い、巡墓だけでなく、周辺の春日局に関係する史跡も同時に散策し、終了後にオフ会を行います。

開催要項は以下のとおりです。

■開催要項
★主な巡墓人物と史跡
春日局・旗本斎藤家・大名稲葉家・嵯峨侯爵家・春日局銅像など

★日時 平成28年11月27日(日)雨天決行
13:00 東京メトロ丸ノ内線本郷三丁目駅前にて受付開始
       (事前にトイレ済ませる)
13:30 麟祥院へ移動
      門前にて開会式
      探墓巡礼顕彰会幹事より挨拶
      巡墓会開始
      (門前にて集合写真撮影)
16:00 礫川公園にて解散式
      探墓巡礼顕彰会幹事より挨拶
16:30 懇親会

※寺院への問い合わせはご遠慮下さい。

集合場所:東京メトロ丸ノ内線本郷三丁目駅
※駅で集合してから移動となります。

【交通】
東京メトロ丸ノ内線 本郷三丁目駅
都営大江戸線 本郷三丁目駅





★講師:探墓巡礼顕彰会幹事

★参加費用:1,000円(資料代含む)
(定員20名程度・参加費は当日受付にて)

★解散後、希望者で懇親会を行います。
(3,000~4,000円程度/場所:春日駅・後楽園駅付近にて)


【探墓巡礼顕彰会オフ会「麟祥院と春日局の足跡」における注意事項】
※寺院での開催となりますので、本堂へ参拝の後、墓地巡拝となります。墓碑解説の前に合掌をお願いいたします。
※墓地内移動中は檀家様の墓参の妨げとならいようお気を付け下さい。
※墓域内への立ち入りができない墓所もありますので、その場合は塀外・柵外からの拝観となりますのでご了承下さい。
※一部足下が悪い場所がありますのでお気を付け下さい。
※ゴミ等はお持ち帰り下さい。
※体調が悪くなった場合は幹事にお申し出下さい。
※震災によって傾いたり、倒壊した墓碑や石灯籠がありますので、近寄らないで下さい。
※大きな地震が起きた際は、墓碑や石灯籠が倒壊する恐れがありますので、速やかに離れて下さい。
※急な天候の変化によって中止する場合がありますのでご了承下さい。
※雨天の場合は足下が悪くなるため、歩きやすい靴でお越し下さい。
※史跡から史跡へ一般道を移動するので、団体行動を守って移動してください。
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山岡鉄舟実父 小野朝右衛門高福の墓ほか

2016-10-23 23:06:36 | 会員の調査報告
会員のカトケンです。

つい2週間前になるが、休みの日に山手線に乗っていて、日ごろ幕臣の墓リストを作成している関係から、沿線の寺院で記憶に残っているところは何処かと考えて、恵比寿の松泉寺を思い出した。

山岡鉄舟の実家 小野家の菩提寺で、長崎奉行を勤めた徳永伊予守昌新家のそれでもある。

JR恵比寿駅西口を出て左に折れ、坂になっている道をひたすら昇る。突き当たりを右へ、大きめの通りを渡って2つ目の角を右に入ると左手にある。向かいは公園になっている。

手前の墓域は隣の近代的な造りの泉明寺のそれであって、松泉寺のそれは寺院の入口を入って奥の左手にある。

墓域の一番奥手前に徳永家(藤原姓)の墓があった(=写真)。



3基あり、奥が慶応2年(1866)に没した人物のもの、中央が昌新の五代前昌寛が建てた徳永本家寿昌(ながまさ)及び分家初代昌成の供養墓、手前が累世之墓となっている。

奥の墓は伊予守(予州刺史)となっていて、昌新も伊予守だが長崎奉行を命ぜられるのが慶応2年だから、おそらくその父昌賢の墓だろう。法名、隆徳院殿賢空松翁大居士。文久2年(1862)まで書院番頭を務めていた。(=写真)



徳永家の後方を右に回って少し行くと幕臣の墓のガイドブック『江戸の旗本たちー墓碑銘をたずねてー』(河原芳嗣著、アグネ技術センター刊)にも載っている北町奉行 小田切土佐守直年一族の墓がある。墓誌や現代墓もあって、子孫がたどれそうである。

小田切家の向かい側に背を向けて建っている墓に文字が刻まれていたので、よく読むと蜷川邦之助親敬という幕臣の墓であった(500石、養父錬之助)。
こちらは意図せず知ったものであり、収穫だった。正面に回ってみると、静岡縣士蜷川敬之墓と刻む。

幕府麾下で小姓組、明治政府でも工部省にて電信事務に携わったことが分かる。よく調べてみると、この蜷川邦之助は実は滝川播磨守具挙の兄弟(弟であろう)である。滝川は、慶応4年(1868)鳥羽・伏見の開戦時に出てくる有名な幕臣。さすがにこのつながりには驚かされた。

ひと通り墓域をめぐって小野家の墓はないものと諦めかけたとき、本堂前の無縁墓にふと目をやると、中央の背の低い墓の右面に俗名「小野朝右衛門橘高福」(=写真)と刻まれ、これがまさしく山岡鉄舟の実父の墓であった。



正面に「徳照院殿雄道賢達大居士」、その上方左右にそれぞれ蔦と丸に橘の家紋、右面には俗名の右に没年月日「嘉永五壬子年閏二月二十七日」(1852・4・16)が刻まれている。

高福は「たかとみ」と読むのが『寛政重修諸家譜』や『定本山岡鉄舟』(牛山栄治著、新人物往来社刊)であるのに対し、『山岡鉄舟』(大森曹玄著、春秋社刊)は「たかよし」とルビが振られているが、どちらだろうか。偶然にも徳永家に昌福と書いて「まさよし」と読ませる人物がいる。

なお、鉄舟実弟 芝彦一郎忠福が「福」の一字を受け継いでいる。

通称の朝右衛門も「あさえもん」というよりも人名としては「ともえもん」だろうと思うが、牛山栄治は音読み「ちょうえもん」とする。どうだろうか。
ちなみに小野家初代高光は麻右衛門で、これだと「あさえもん」しかあり得ないだろう。

この朝右衛門の称は2代高雲以降、隔代ごと受け継がれた呼び名で、高福の父も朝右衛門だから、ここで二代連続朝右衛門。さらに高福は銕(てつ)太郎とも称しているから、姓は山岡にこそなれここも二代連続鉄太郎となっている。

ところで小野高福は飛騨郡代在任中に没し、岐阜県高山市宗猷(そうゆう)寺町にある宗猷寺に妻磯と並んで墓が建てられている。小弟はまだ足を運んでいないが、鉄舟実父の墓といえば、こちらが一般的だろう。

江戸時代の菩提寺もダメ元で訪ねてみるものである。夕方の、ものの30分位だったが、充実した掃苔となった。

松泉寺は龍徳山、臨済宗妙心寺派。渋谷区恵比寿南1-28-1

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探墓巡礼顕彰会では11月27日(日)に【探墓巡礼顕彰会オフ会-麟祥院と春日局の足跡-】を開催します。
詳しくは下記開催要項をご覧下さい。
探墓巡礼顕彰会オフ会-麟祥院と春日局の足跡-」開催のお知らせ
参加申込みは下記フォームよりお願いします。
巡墓会参加フォーム
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