探墓巡礼顕彰会-墓碑調査・研究プロジェクト-

「探墓巡礼顕彰会」の公式ブログです。巡墓会企画の告知など活動報告をしています。

なかなかたどり着けない成瀬正典の墓

2020-01-16 21:43:41 | 会員の調査報告
会員のカトケンです。

今年の正月はいつもの仲間と富士で飲むことになり、夕方まで時間があるので、沼津まで足を伸ばし駅前の蓮光寺を訪れた。荒井郁之助の叔父成瀬正典の墓を探したかったからだ。何年か前に訪れたが見つけられなかった。

成瀬はポーハタン号に乗って日米修好通商条約の批准のため米国に渡った人物としてはあまり知られていない。

新見正興、村垣範正、小栗豊後守忠順に比べて知名度が低いからだらうか。その写真がこの度風狂童子から発売された『勝海舟関係写真集』(=写真)に載っている。これはなかなかシブいチョイスだと思う。





その写真の所有者は石井至誠氏という。この石井氏のご先祖は成瀬の妻タキの姉妹フクの夫石井至凝。小筒組差図役頭取を経て沼津兵学校資業生2期、横浜税関に勤務した人。その息子至喬は釜山税関に務めた。

今回同山に墓碑のある吉田泰門は見つけられたが、成瀬には辿りつけなんだ。吉田は慶応4年(1868)陸軍御用取扱、翌明治2年沼津勤番組世話役頭取。明治8年(1875)12月25日没、享年44才(=写真。右側の戒名:真光院圓覺道照居士)。



孫に日清役後、日本領となった台湾に当時東洋一の長さ(1,500メートル強)を誇る鉄橋をかけるのに尽力し、その完成を見ず40才で亡くなった鉄道技師飯田豊二がいる。

妻暢は成島柳北の娘。なお、成島柳北の別の娘の墓が静岡市葵区沓谷霊園にある(黒水家の墓。以前ブログに紹介した梅澤孫太郎墓の隣)。

成瀬は慶応4年(1868)砲兵頭陸軍御用取扱、翌明治2年7月2日没(1869・8・9)、享年47才。

日本人として幕末に真っ先に海外へ行きながら、明治という新しい時代をほとんど見ることがなかった、小栗忠順同様の人物の墓探しをこれからも続けたい。

ちなみに一昨日は、出版舎風狂童子から発売された『勝海舟関係写真集』著者のひとり高山みな子さんと新年会で一緒になり、勝家や目賀田家のふるさと・米山検校・渋田利右衛門などの話に花が咲いた。

そして昨夜は日蘭協会新年会にて佐倉の山岡さんと久しぶりにお目にかかり、仲間が佐藤泰然を書いたのでぜひ読んでくださいと『探墓巡礼ー谷中編』を謹呈。本のチラシもお渡しした。

これも日蘭協会に誘ってくださった小杉雅之進ご子孫故伸一さんのお導きであらう。昨年の伸一さんをしのぶ会では大雄寺にまだ知らぬ小杉家の墓があることを雅之進の兄直吉のご子孫からうかがった。

正月に詣でた静岡市蓮永寺の小杉直吉墓(=写真)には、■正面[正五位小杉直吉墓]、右面に直吉について[泰嶺院殿松韻日響居士/明治三十六年(1903)八月廿四日歿行年六十八]と刻む。また左面には[泰信院殿清庫日貞大姉/小杉直吉妻庫子、行年六十七。明治四十三年(1910)八月十日死/泰溪院妙峰日通大姉/行年七十歳。大正十年(1921)十二月六日没]とある。最後の女性は関係不明。



『探墓巡礼ー谷中編』でこの直吉墓を取り上げながら碑面を載せそびれたので、ここで補っておきたい。

おまけーー沼津駅前のビルに貼ってあった韮山のイベントチラシ(今週末の催し)


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我が青春の中島三郎助

2020-01-09 23:11:52 | 会員の調査報告
会員のカトケンです。
『探墓巡礼ー谷中編』を購入してくださった方から参考文献にないと『中島三郎助文書』(=写真)を進呈していただいた。



今ではなかなか手に入らない、中島家に代々受け継がれてきた遺稿を翻刻した貴重な書籍である。

そもそも中島三郎助に興味を持ったのは昭和63戊辰の年の、年末時代劇スペシャル『五稜郭』を観てからだ。父子ともに壮絶な死を遂げ、函館に町名として残っていることもあって、大学卒業前の夏気仙沼の親戚の家から箱館戦争の旅に出で、宮古湾ー青森・弘前にある降伏後の寺院ー鷲ノ木(森町)ー函館市街ー江差ー松前を回ったのが懐かしい。

開陽丸が復元されていると知っていてもたってもいられない気持ちになった。昼間はもちろん夜もホテルからライトアップ姿の開陽丸の写真を撮りに行ったものだ。

そんな箱館の戦で鮮烈な印象を残した中島三郎助にさらに興味を持ったのは、島田紳助が司会をする番組で取り上げられ、静岡市に住むご子孫がインタビューを受けていたからだった。

その中島さんが住まわれていた洋館が印象的で、その建物がどこにあるのか分かったのは、今のご当主恒英さんに東軍慰霊祭をきっかけとして知り合いになり聞いてからのことだった。

当時出演されたのは、その恒英さんの叔父で三郎助の孫に当たる清さんだと知った。葵区東草深で産婦人科を営まれていたという。

先祖のことをことさら話したがらない、押し殺したような印象が記憶に残っている。

30を前にして横浜に住みはじめて中島三郎助文書の入った図書館に通い、『開国史研究』を読むなどして三郎助の勉強を重ねてきたが、真逆今になってこの書が手に入るとは思わなかったし、箱館戦争に関わるガイドブックを自ら出すことになるとは思わなんだ。

恒英さんから時折話を伺っていると、三郎助がペリー来航前に軍艦製造に情熱を傾けた姿が重ね合わされる。新しい時代に対応するためにもがく技術者のときめきが伝わってくるからだ。

ご定年されるまで格別三郎助を意識して来られなかった恒英さんもがむしゃらに三郎助と同様、必死に時代を切り開こうとしてきたのだと思う。

学生の時分に歴史に興味を持って以来、いろんな機会に触発されてその足跡を追い求めてきた人物の最も詳しい資料を前にしばし次なる探究に思いを馳せたーー今月25日(土)新たに誕生祭となった中島三郎助祭りに顔を出す。どんな方々にお目にかかれるか今から楽しみにしているーー
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榎本ー片岡ー郡司ー白瀬

2020-01-03 01:00:31 | 会員の調査報告
会員のカトケンです。

あけましておめでとうございます。

昨年11月晦日土佐史談会関東支部の発表で那須盛馬こと片岡利和を取り上げたとき、千島の話をした。

片岡は明治25年(1892)に千島を探検し、最北の占守島に上陸。「片岡湾」の名を残した。その後、幸田露伴の実兄郡司成忠が白瀬矗を伴い開拓したが、度重なる戦争で離島を余儀なくされ開発が及ばなかった。

白瀬は置き去りにされたと郡司を恨み訴えたが、結局白瀬が南極に行くときに船を提供してくれた。

白瀬は秋田市にかほ市出身だが、三河にも墓があるという。ちなみに郡司成忠の墓は池上本門寺五重塔のたもと。千島・樺太交換条約を締結した榎本武揚の墓は言わずと知れた駒込吉祥寺。

もとより青山霊園に墓のある片岡利和については、未だご子孫にたどり着けずにいる。青山のアパートにご子孫がいることを突き止め、行ってみたがすでに引っ越した後だった。

昨年1月に新聞記事に載ったのをきっかけに探り当てたが、引越先が分からないから、あんなに青山霊園が近いのになぜ墓参に来ないのか聞くこともできないでいる。

今のご当主は千葉にお住まいのはずだが、その線を追いかけて電話をしても通じなかった。やはり何処かへ引っ越されて容易に墓参に来られないのかもしれぬ。

片岡の甥廣井勇の顕彰会は高知だから容易には墓参に来られまいし、多磨霊園にある廣井勇家や片岡の養女珊を母に持つ藤村義朗家(片岡養孫和雄の実家)の墓所は判っても、ご子孫宅までは判らないから連絡しようがない。

今のところ打つ手なしの状態である。しかし、こうして片岡利和のことを調べてみると様々な人物(閨閥ばかりでなく千島占守島開発の系譜)との関わりが見えてきて、歴史上の人物に関わる証言者に出会えるまであきらめず調査を続けてみたいと思っている今日このごろである。(=写真は白瀬のぶに由来する横須賀停舶中の南極観測船[しらせ]。横須賀軍港クルーズにて撮影)



本年もよろしくお願いします。
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新年のご挨拶

2020-01-01 00:00:00 | 日記
会員のカネコです。

新年あけましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いいたします。

昨年は幹事メンバーの「ソロ活動」ということで、会としての活動は行わず、各自さまざまな活動に取り組みました。
また、一昨年発売となった『探墓巡礼 谷中編~箱館戦争関係人物を歩く~』の宣伝活動も行い、おかげさまで多くの方にご購入を頂きました。
改めて御礼申し上げます。

本年の活動については未定ですが、2月~3月頃に幹事メンバーにて会合を行い、決定したいと考えております。

本年が皆様にとって良い1年になることを祈念いたします。
引き続き、当会へのご支援のほど、よろしくお願い申し上げます。
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