たけじいの気まぐれブログ

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藤沢周平著 「市塵」(上)(下)

2022年09月30日 17時21分47秒 | 読書記

図書館から借りていた、藤沢周平著「市塵」(上)(下)(講談社)を読み終えた。本書は、貧しい浪人生活から儒者の道に入り、甲府藩主徳川綱豊に仕えることなった新井白石が、5代将軍綱吉の死後、藩主綱豊が6代将軍家宣となって以後、御側用人間部詮房に請われ、将軍家宣からも厚い信頼を受け、政治顧問として権力の中枢に身を置き、幕政改革の理想に燃えるものの、家宣の死後、さらに7代将軍家継の死で、運命は大きく変わり、市塵に帰っていくという新井白石の全てを物語る長編歴史小説で、なかなか読み応えがある作品である。藤沢周平作品には、下級武士物、市井物が多いが、本書は、歴史上の人物を描いた物で、しかも、斬り合いの場面等一切無し、幕府の政治、経済改革等を中心とした激論、権力争い等、やや重い小説でもある。

              

▢目次
 (一)~(五十)、解説・伊集院静、
▢主な登場人物
 新井白石(新井勘解由、新井筑後守)
 明卿、伝、長、
 伊能佐一郎、土肥源四郎、佐七
 間部詮房(間部越前守)
 萩原重秀、
 林大学頭信篤、
 雨森芳州、室鳩巣、
 ヨハン・バッティスタ・シドッチ
 趙泰億、
 土屋政道、阿部正喬、
 第5代将軍徳川綱吉、
 徳川綱豊→第6代将軍徳川家宣(いえのぶ)
 鍋松→第7代将軍徳川家継(いえつぐ)
 第8代将軍徳川吉宗
 月光院、絵島、生島新五郎、
 大岡忠相(普請奉行→江戸町奉行)

本書の表題「市塵(しじん)」の意味合いがしみじみ感じられる文が、最終章(五十)に見られる。6代将軍家宣、7代将軍家継に仕え、儒者でありながら、政治の世界に踏み込み、ある意味では立身出世し、権力を得て天下を動かしているという自負、快さを持ち続けていた新井白石だが、8代将軍徳川吉宗の時代となり、居場所は無くなってしまい、悲哀を感じる場面だ。
「怒りは少し鎮まって、白石はかわりに深い失望感にとらわれていた。だがその失望感の中に、残された道が鮮明に見えていることもたしかだっった。・・・市塵の中に・・・。帰るべしということなのだ、と白石は思った。」
そして、人里離れた内藤宿六軒町に落ち着いた新井白石は、
「深夜の内藤宿六軒町は、物音ひとつ聞こえず静まり返っていた。家を取り巻く厚くて濃い闇が四方から迫って来るような夜だった。その闇のはるかかなたで、また犬が啼き出した。その声にしばらく耳を傾けてから、白石は筆を取り上げ、「史疑」の記述に取りかかった。命がようやく枯渇しかけているのを感じていたが、「史疑」を書き上げないうちは死ぬわけにはいかぬと思った。行燈の灯が、白髪蒼顔の、疲れて幽鬼のような相貌になった老人を照らしていた。」
で、物語が終わっている。
新井白石は、「日本史」で必ず登場する人物であり、その名は誰でも知る歴史上の人物であるが、余程勉強熱心でもなければ、サラッと触れるだけではないかと思う。本書では、藤沢周平氏ならではの丹念な時代考証で、単なる時代小説というより、新井白石の全てを深く深く掘り下げた歴史書とも言える気がする。これまでぼんやりとしか知り得なかった新井白石の人物像が鮮やかに浮かび上がり、「へー!、そうだったのか」・・・目から鱗・・・である。

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読めない書けない難漢字 No.50

2022年09月30日 09時00分12秒 | つぶやき・うんちく・小ネタ・暇つぶし・脳トレ

普段、会話や文章で、あるいはテレビやラジオ、新聞等で、ごく普通に使われている言葉で、誰でも知っている言葉の中にも、いざ、咄嗟に漢字で書けと言われると、「???」となってしまう言葉が、結構有るものだ。
もちろん、漢字検定何級、漢字クイズ王なる人達にとっては、御茶の子さいさいなのかも知れないが、一度や二度、聞いても、教えてもらっても直ぐそのそばから忘れてしまう類の爺さんは、たまたまそんな漢字に出会うと、「へー!、そうなんだ・・」、その都度、目から鱗になってしまう。
今は、有難い世の中、漢字不勉強で語彙力の無い爺さんでも、PCやスマホの漢字変換ソフトのおかげで、ブログ等には、読めない、書けない難漢字でも、平気で、知ったかぶりして書ける時代だが、「じゃ、実際、自分で読んでみろ、書いてみろ」と、問題に出されたら、降参してしまうこと多しである。

先程、ブログ・カテゴリー「爺さんの備忘録的花図鑑」に、書き込んだばかりの「薺」、漢字変換ソフトのおかげで、平気で知ったかぶりして書き込んだが、この漢字も、「いざ、書いてみろ!」と言われたら、絶対に書けそうにない漢字である。普段、必要になる漢字ではなく、覚える気等、サラサラ無いが、書き留め置くことにする。












(漢字)

(意味)

植物の名前、別名」「ペンペン草」、

(拡大してみると)

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ナズナ(薺)

2022年09月30日 07時06分16秒 | 爺さんの備忘録的花図鑑

これまで、散歩・ウオーキングの途中や山歩き、畑地や我が家の猫額庭等で、やたら、コンデジで、カシャ、カシャ撮ってきた花の写真が、外付けHDに大量に溜まっており、時々、その気になって、不要、無用写真を大胆に削除しながら、散歩、旅行、山行・・・等のファイルに仕訳分類整理をしているところだが、懐かしい写真を見掛けると手が止まってしまったりもする。そんな古い花の写真の中から目に止まった花の写真を引っ張り出して、ブログ・カテゴリー「爺さんの備忘録的花図鑑」に、書き留め置くことにしている。草花に詳しい人からは、「なーんだ、そんな花も知らなかったの?」と笑われそうだが、爺さんにとっては、新情報、新知識、後日、また忘れてしまった時等に、確認したりするのに役に立つ存在になっている。


「ペンペンが生える」「ペンペン草も生えない」という慣用句が有る。多分、若い頃から、なんとなく聞いて知っていたように思うが、では、その「ペンペン草」とはいったいどんな植物なのかについては、つい最近まで、実際に見たり、確認したりしたことは無かったような気がしている。

※「ぺんぺん草が生える」とは、家や土地が荒れ果てている様子をいう言葉。
※「ペンペン草も生えない」とは、荒廃して場所でも育つ薺さえも生育しないという様子から、
  転じて、何も残っていない状態を揶揄した言葉。


ブログをやるようになってから、散歩・ウオーキングや山歩き、畑地や我が家の猫額庭で、やたら、草花の写真を撮るようになっているが、その中には、「ペンペン草」、実は「ナズナ(薺)」も有って、ある時、ネットや図鑑で調べて知り、「へー!、そうだったの」・・・、目から鱗・・だった気がしている。
それまでは、雑草中の雑草、見向きのしなかった植物だったが、それ以後、かって、昭和天皇がもらされたという「雑草という草はないんですよ」という言葉が、頭を過るようになっている。

2017年3月9日、畑地で撮っていた「ナズナ」

2019年3月17日、畑地で撮っていた「ナズナ」

2020年3月1日、駐車場で撮っていた「ナズナ」

 

2021年3月11日、駐車場で撮っていた「ナズナ」

 


ナズナ(薺)

アブラナ科、ナズナ属、越年草または1年草、越年草、
   別名 「ペンペングサ(ぺんぺん草)」「シャミセングサ(三味線草)」
   果実の形が、三味線のバチの形に似ており、三味線を弾く擬音「ペンペン」から
   付いたもの。
   「春の七草」の一つ。
   俳句では、「薺」は、「冬」「1月」の季語
原産地・分布 東ヨーロッパ、西アジア、
       日本では、北海道から沖縄まで全国の道端、畑地、荒れ地等で見られ、
       雑草の代名詞?ともなっている。    
草丈 10cm~50cm
花色 白色
開花時期 2月頃~6月頃
花言葉 「あなたに私の全てを捧げます」


春の七草

芹(セリ)、薺(ナズナ)、御形(ゴギョウ)、繁縷(ハコベラ)、
仏の座(ホトケノザ)、菘(スズナ)、蘿蔔(スズシロ)


「薺」を使った俳句 一例

 古畑や薺摘行く男ども   松尾芭蕉 

君知るや三味線草は薺なり 正岡子規

元日の山見に出づる薺かな 室生犀星


ナズナ(薺)の種子
(ネットから拝借画像)

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