古い写真から蘇る思い出の山旅・その87
「初めての金峰山・瑞牆山」(再)
かれこれ28年前にもなる、1997年6月に、当時一時所属していた山の会の仲間に誘われて、「金峰山(きんぷさん)・瑞牆山(みずがきやま)」を訪ねたことがあった。当時はまだ自営業を続けていた頃であり、時間的、精神的、余裕等無く、「家族で山歩きを楽しむ」レベルで、「金峰山」、「瑞牆山」等、一度も訪れたことが無い山だった。ただ、各種の山情報から、是非とも訪れてみたい山には入っていて、思い切って参加したのだった。
自分にとっては、「初めての金峰山・瑞牆山」、山小屋1泊の山旅だったが、1日目は、不安定な天気で時々霙(みぞれ)混じりの雨、お目当ての大展望も叶わずだったが、幸いにも、2日目は、絶好の山歩き日和となり、素晴らしい景観の感動を仲間と分かち合え、大満足の山旅だった気がしている。
当時はまだ、バカチョンカメラ(ポケットサイズのフィルムカメラ)しか持っていなかった頃で、ほんの数枚の写真がプリントしてアルバムに貼って有る。
「OCNブログ人」でブログを始めてまもなくの頃、スキャナーで取り込んで、ブログ・カテゴリー「山歩記」に書き留めたことが有ったが、コピペ、リメイクし、改めて、「古い写真から蘇る思い出の山旅」に、書き加えることにした。
昔のことを懐かしがるのは、老人の最も老人たるところだと自嘲しながら・・・。
深田久弥著 「日本百名山」
「金峰山(きんぷさん)」
(一部転載)
われわれ山岳党の大先輩小暮理太郎氏に次のような言葉がある。
「金峰山は実に立派な山だ。独り秩父山脈中に嶄然(ざんぜん)頭角を抜いて居る許り(ばかり)でなく、日本の山の中でも第二流を下る山では無い。世に男の中の男を称えて裸百貫という諺があるが、金峰山も何処へ放り出しても百貫の貫禄を具えた山の中の山である」
金峰山に対してこれ以上の讃辞はあるまい。私もそれに賛同する。秩父の最高点はこれよりわずか数メートル高い北奥千丈岳に譲るにしても、その山容の秀麗高雅な点では、やはり秩父山群の王者である。一般に奥秩父の山々はこれという特徴がなく、しかも複雑に重なり合っているので、遠くから眺めて、いちいちの山を指摘するのがむずかしい。そんな時私はまず金峰山に眼をつける。この山も漠然と見ただけでは、特に他と区別するような山相は持っていないけれど、ただその頂上の五丈石(御像石)が目じるしになる。
五丈石は、高さ十五メートルもあろうか。近寄れば突兀(とつこつ)とした大岩だが、遠望では、眇たる一突起で、左右にゆったりと稜線を引いた美しい山容の均衡を破るほどのものではない。
(中略)
金峰山は私の長い山歴の中で、ごく初期に登った山の一つである。関東大震災の年の秋で、まだ私は一高の生徒だった。その時つけておいた手帳を見ると、当時の中央線の始発点飯田町駅を夜九時四十分の汽車に乗って、翌朝四時半に甲府に着いている。今なら、松本へ行くにもそんなにはかからない。もちろんバスなど無い頃だから、歩いて昇仙峡へ行った。そのどんづまり御岳(みたけ)の金桜神社で昼弁当を食べて、さらに奥の黒平村へ向かった。それが、金峰山登拝の表参道である。
(後略)
山行コース・歩程等
第1日目 大弛峠→三繋平→国師ケ岳山頂→三繋平→北奥千丈岳山頂→三繋平→
(夢の庭園)→大弛峠~朝日峠山頂→朝日岳山頂→金峰山山頂→金峰山小屋(泊)
(標準歩行所要時間=約5時間30分)
第2日目 金峰山小屋→千代ノ吹上→砂払ノ頭→大日岩→大日小屋→
富士見平・富士見小屋→天鳥川源頭→桃太郎岩→瑞牆山山頂→
富士見平・富士見小屋→瑞牆山登山口・瑞牆山荘
(標準歩行所要時間=約7時間30分)

1日目、
8時30分、JR中央線塩山駅に集合した10数名、タクシーに分乗し、
「大弛峠(おおだるみとうげ)」に向かった。
9時50分頃、大弛峠に到着。
「大弛峠」は、標高2,370m、日本有数の高所峠。
先ずは、「大弛小屋」前にザックをデポし、サブザックで、
10時頃、「北奥千丈岳」へ向かって出発した。
「前国師」の先、「三繋平(みつなぎだいら)」は、「国師ヶ岳」と「北奥千丈岳」の分岐で
最初に、「国師ヶ岳山頂」をピストン。
国師ヶ岳山頂(標高2,592m) 北奥千丈岳を望む

引き返し、「三繋平」から、「北奥千丈岳山頂」をピストン。
「北奥千丈岳」(標高2,601m)は、奥秩父の最高峰、
厚い雨雲に覆われて、お目当ての大展望は、残念ながら叶わず、写真も無し。
再び「三繋平」に戻り、「夢の庭園」を下り、
12時15分頃、「大弛峠」に戻ったようだ。
「大弛小屋」前で、昼食、休憩、
12時45分頃、金峰山目指し、大弛峠を再出発、
しばらくは、樹林帯の中、2~3のピークを越えて、
13時頃、「朝日峠」、
13時45分頃、「朝日岳山頂」(標高2,579m)に到着、小休憩。
天気不安定、雨雲が激しく動き、雨が降り出し、雨具装着

次第に、雨が、霙(みぞれ)に変わり、風も強まり、冷え込み厳しく、
「鉄山」(標高2,595m)の北側を巻き、ひたすら歩くのみ、
15時頃、「金峰山山頂」(標高2,595m)に到着、小休憩。
小雨、気温低下、天気回復見込み無し。
お目当ての、秩父第2高峰金峰山のシンボル五丈岩景観や360度展望は、
翌朝にお預けとして、山頂直下の「金峰山小屋」に向かった。
15時45分頃、「金峰山小屋」に到着、
石油ストーブで暖かな室内で、ずぶ濡れの雨具等を乾燥、
夕食までの2時間は、和気藹々の懇親会となった。
19時30分消灯、翌日の晴天を願いながら就寝。
2日目、
打ち合せ通り、3時30分に起床、
前日の悪天候がウソのような快晴?、東の空が赤く焼けており・・・、
ラッキー!、
金峰山山頂でご来光を迎えるべく、有志数人で、4時に、金峰山小屋を出発、
ご来光 映える「五丈岩」

「富士山」、ばっちり・・、

「八ヶ岳」を望む

五丈岩によじ登る登山者





4時50分には、金峰山小屋に戻り、朝食。
6時に、金峰山小屋を出発、
金峰山山頂の北側の巻き道を「大日岩」方面へ向かった。
「千代ノ吹上」、「砂払ノ頭」(標高2,317m)・・・、
素晴らしい展望を楽しみながら・・、
7時30分頃、「大日岩」(標高2,201m)に到着。
全員、ザックを置いて、岩をよじ登り、至福のひととき、
目指す「瑞牆山」が指呼の間、


8時、「大日岩」を出発、
振り返ると、「大日岩」と「富士山」、
あの尾根を辿ってきたんだ・・・・。

9時20分頃、「富士見平・富士見小屋」に到着、小休憩。
いよいよ、最後の踏ん張り、「瑞牆山」へ向かう。
「天鳥川源頭」

「瑞牆山」は、花崗岩の岩山。
山頂直下は、登るというより、よじ登る感じの急登。
喘ぎ、喘ぎ、見ごろのアズマシャクナゲに癒され・・・

11時20分頃、「瑞牆山山頂」(標高2,230m)に到着したようだ。
大展望に歓声が上げ、何枚も写真を撮ったはずだが、
1枚も写真が残っていない。撮影失敗?、フィルム切れ?、
40分程、展望を楽しみながら昼食、休憩。
至福のひと時を過ごし・・、
12時、瑞牆山山頂を後にして、往路を下山。
「富士見平」を経て、「瑞牆山登山口・瑞牆山荘前」には、
14時頃、到着だったようだ。
15時、あらかじめ予約していたタクシーが到着、分乗して、JR中央線韮崎駅へ。
16時頃、JR中央線韮崎駅に到着。
食堂で、反省会?、和気藹々の懇親会、
17時39分発、普通列車立川行きで、家路に付いたのだった。
「金峰山」、「瑞牆山」共、その数年後に、妻と二人、一座づつ、日帰りで訪れて、
思いを新たにし、当時はまだ、「また来る時にも笑っておくれ」的な気分だったはずだが、
足、腰、痛!、痛!の今となっては、「金峰山」も「瑞牆山」も、遠い思い出の山となって
しまっている。
振り返り記事
古い写真から蘇る思い出の山旅・その56
「瑞牆山」
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