たけじいの気まぐれブログ

記憶力減退爺さんの日記風備忘雑記録&フォト

畠山健二著 「本所おけら長屋」 (八)

2020年01月16日 12時06分11秒 | 読書記

図書館から借りていた 畠山健二著 「本所おけら長屋」(八) (PHP文芸文庫)を 読み終えた。
「本所おけら長屋シリーズ」第8弾の作品である。
本書には 「すけっと」「うらしま」「ふところ」「さしこみ」「こしまき」の連作短編5篇が収録されている。
ほぼ1話完結構成なので 記憶力減退爺さんには 読み易い。まるで 江戸落語さながらの笑い有り、涙有り、テンポの良さも有り 一気に読み通せる作品であると思う。

畠山健二著 「本所おけら長屋」(八)

物語の舞台の中心は 江戸本所亀沢町にあるおけら長屋
おけら長屋には 貧しいくせに、お節介、人情に厚い住人達が まるでひとつ家族のように 関わり合いながら、助け合いながら、肩を寄せ合って暮らしている。
次々巻き起こる騒動や事件、厄介事に対しても 笑いと涙で体当たりし まーるく収めていく。人の優しさが心に沁み込んでくる時代小説である。

毎巻 巻頭には 物語に登場する場所等を示した 本所、深川周辺の江戸地図と おけら長屋の見取り図、住人名が掲載されており、物語の途中、随時、確認出来るので助かる。

その壱 すけっと
仇討ちをしようとする森田小次郎は病持ち、される方の石川孫蔵は 新しい所帯を持って妻の腹に子供がいる、さて 万造、松吉、島田鉄斎、どうする?、どうする?
南町奉行所同心伊勢平五郎、桑原肥前守樽紀の粋なはからいも有って 1件落着。

その弐 うらしま
松井町に有る三祐は 万造、松吉、八五郎、島田鉄斎等 おけら長屋の住人御用達の安い居酒屋。その居酒屋に見慣れぬ男が座っており・・・、湯屋の下働き、亀次郎と分かるが 実は その男には 秘密が有り・・、

その三 ふところ
勝てない力士 大男の大巌、万造、松吉、島田鉄斎等、おけら長屋応援団が 回向院の勧進相撲勝ち抜き戦でどうしたら勝てるか 頭をしぼる・・、果たして。

その四 さしこみ
黒石藩江戸藩邸藩士田村真之助(16歳)は 小柄、心配性、胃弱、いつも泣きそうな顔をしている男。おけら長屋の連中に いいように翻弄される物語、笑いがこみあげて仕方ない。

その五 こしまき
おけら長屋の住人ではなく 北橋長屋の住人、浪人郷田豪右衛門に纏わる物語であるが、
寄せ来る大波の如く笑わせた後、ラストでは 「フランダースの犬」並みの感動シーンが有り、泣かせられる。
いつも悪態を吐き合っている聖庵堂の女医師お満とおけら長屋の万造の行く末は?
本文、最後の文節
「お満は万造に、ほのかな絆を感じている。万造は自分のことをどう思っているのだろうか。お満と万造は、豪右衛門、富士、それぞれの墓に花と線香を立てた。その線香の煙は寄り添うように空へと上がっていった。」

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平岩弓枝著 御宿かわせみ9 「一両二分の女」

2020年01月10日 08時03分36秒 | 読書記

図書館から借りていた 平岩弓枝著 御宿かわせみ9 「一両二分の女」 (文春文庫)を 読み終えた。「御宿かわせみシリーズ」第9弾の作品である。
本書には 表題の「一両二分の女」をはじめ 「むかし昔の」「黄菊白菊」「猫屋敷の怪」「藍染川」「美人の女中」「白藤検校の娘」「川越から来た女」の 連作短編8篇が収録されている。

平岩弓枝著 御宿かわせみ9 「一両二分の女」

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これまでの「御宿かわせみシリーズ」の主要登場人物

神林東吾・・・南町奉行所吟味与力神林通之進の弟。伸びやかな性格の美男子。「かわせみ」の女主人るいとは幼馴染。諸般の事情で正式な結婚が出来ないものの、夫婦同然の関係になっている。親友の定廻り同心畝源三郎の手伝いをし、次々発生する事件に首をつっこみ捕物に加わる。

るい・・・大川端の小さな旅籠「かわせみ」の女主人。幼馴染の神林東吾とは 相思相愛、夫婦同然の関係になっている。鬼同心と言われた父親庄司源右衛門の一人娘で 父親死後 婿を迎えて家を継ぐべきところ 同心株を返上し、旅籠を開業。美人で 情け深く、世話好き、小太刀も振う勇敢さも有り 女長兵衛を気取る。

畝源三郎・・・八丁堀り定廻り同心。神林東吾、庄司るいとは 幼馴染。野暮ったいと言われるが 誠実、迅速、着実な男。

嘉助・・・「かわせみ」の老番頭。元々、同心だったるいの父親庄司源右衛門の若党だった。事件が起きる度、捕り方の習性、感が目覚める。るいを お嬢さんと呼び 守り、助ける忠義者。

お吉・・・「かわせみ」の女中頭。元々 同心だった庄司家の奉公人だった。るいのことを お嬢さんと呼び、立ち振る舞いに落ち度が無い、しっかりした忠義者。好奇心旺盛。おしゃべり。随所のお吉の口出しは この物語に無くてはならない要素になっている。

神林通之進・・・神林東吾の兄。南町奉行所吟味与力。東吾とはひと廻り以上年上で 東吾の父親代わりでもある。優しい風貌の美男子。妻の香苗とは おしどり夫婦。

香苗・・・神林通之進の妻。麻生源右衛門の長女。通之進とは幼馴染で 子供の頃からの許嫁で相思相愛。おっとりした性格。人目を忍ぶ東吾とるいの関係を温かい目で見守る。

七重・・・麻生源右衛門の次女(香苗の妹)。神林東吾のことが好きで 婿に迎えて 麻生家を継ぐ話も有ったが るいの存在が有り 物語の後半では 半ば身を引き 東吾の親友と結婚することになるようだ。

長助・・・畝源三郎のお手先(岡っ引き)。本業は 深川佐賀町のそば屋長寿庵の主人。岡っ引きには珍しく人柄が良く、誠実、温厚で 東吾や「かわせみ」の人たちと親交が深い。

松浦方斎・・・狸穴の道場方月館の主。直心陰流の達人。温厚な人柄。刀剣等に造詣が深い。道場は 師範代になっている東吾に 任せきっている。

善助・・・道場方月館の老番格。

おとせ・・・方月館の家事一切を引き受けている女性。ある事件で東吾が知り合い 息子正吉と共に方月館に身を寄せており、東吾に信愛の情を持っている。

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「むかし昔の」
旅籠「かわせみ」に飛び込んできた一人の老人、「おかしい」・・・八丁堀り時代の捕り方の目で、瞬間嘉助は感じた。妻も子も愛人すらもあの世に旅立ってしまい人生の週末を迎えた男の孤独?思い出したのは むかし昔通った妾宅と女の面影?、「かわせみ」に滞在している老人は 半田屋和兵衛なのか?

「黄菊白菊」
日本橋 奈良屋徳兵衛のいざこざから 舞台は 菊作りが盛んな白金村へ。
孫娘おかよのために 菊作りの老人久作は 鍬を振り上げた・・・。

「猫屋敷の怪」
日本橋の大店山形屋の出来の悪い娘おすがの失踪と死因は?、東吾、嘉助、源三郎、長助の探索、推理、捕り物、

「藍染川」
家付き娘に婿入りした井筒屋徳兵衛門が 妻女死去後、昔捨てた我が子を探し始めたが その果ては・・・。清太郎?、新之助?・・・「あいつには あいつの生き方があるんだろうよ」

「美人の女中」
人手不足で口入れ屋からやってきた女中おたきは 「かわせみ」に波紋をもたらし、80両紛失事件が起こった。おたきが怪しい?、源三郎や長助の捜査でも犯人不明。おたきが東吾に 「あのおかみさんのお腹を調べて下さい」と ささやく。

「白藤検校の娘」
盲人で 琵琶琴弦、或いは 鍼療治、按摩等を業とする者には 検校、勾当、座頭の階級があったが 徳の都は 本所石原町の家の庭に白藤が有ることから 白藤検校と呼ばれ 金貸し業をしていた。健気な娘おきみは 金貸し業をやめようとする。おきみが東吾を訪ねて「かわせみ」にやってきて るいのやきもちの種になる。

「川越から来た女」
大川で夜釣りをしていた東吾と長助が 流れに漂っていた女お三重を助けるところから物語が始まる。殺されそうになったお三重、殺された松五郎、その真相を探り 謎解きが開始されるが 解明出来ず、東吾は 以前登場している将軍家御典医天野宗伯の息子、天野宗太郎に医者の心について相談したことがヒントになり 事件の結末を迎える。

「一両二分の女」
表題の作品。塗物の産地能登から毎年商用で江戸に出てきている問屋の一人輪島屋久兵衛が「かわせみ」に宿泊、同業の一人折戸屋吉之助が行方不明になったところから物語が始まる。
女療治師お辰?、安囲い?、お蓮?、殺し?
源三郎、東吾、長助、の謎解き、捕り物の末は・・・、

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ほぼ 1話完結、連作短編構成なので 読み易い。読み始めれば 一気に読める作品だが 「御宿かわせみシリーズ」は 第38弾まで有るようで 全作品を読み終えるには 相当な月日が掛かりそうだ。

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諸田玲子著 王朝捕物控え 「髭麻呂」

2020年01月07日 09時37分41秒 | 読書記

正月も7日、何事にもきっちりされるお宅では 七草粥で 年末年始に食べ過ぎた、飲み過ぎた胃腸を労り 今年1年の安寧を願う日である。
当地 今日は、薄ら寒い曇天、「夕方以降、ところにより 雨または雪」の予報も出ている。
とりあえず 「キョウヨウ無し」、「キョウイク無し」、
昨年末に図書館から借り、読み掛けのままになっていた 諸田玲子著 王朝捕物控え「髭麻呂」 (集英社)を やっとその気になり、読み終えた。

諸田玲子著 王朝捕物控え 「髭麻呂」

(目次)「楓館の怪」、「女心の怪」、「月夜の政変」、「かけがえのないもの」、「烏丸小路の女人」、「笙と琴」、「香たがえ」、「鬼法師の正体」(解説)

主人公は 検非違使庁(けびいし)(現在で言えば 警察)の下級役人・看督長(かどのおさ)(現在で言えば 刑事)の藤原資麻呂(ふじわらのすけまろ)。髭を蓄えて、一見強面にみせて、通称「髭麻呂」と呼ばれているが 実は 血を見ただけで卒倒しかねない、気が小さく臆病者、軟弱な優男(24歳)。
髭麻呂は 都で野犬の餌食になりそうだったところを助け、養っている こまっしゃぐれた少年雀丸(すずめまる)を従者として連れ歩く、なんともユーモラスな捕物小説、
平安中期、藤原家を中心とした摂関政治と武士層の出現、平安貴族達の政権争い、貧富の拡大、飢餓、天変地異、群盗等、治安が混乱していた時代を背景にした物語である。

主人公髭麻呂には 梓女(あずさめ)という頭脳明晰な恋人がいる。当時は 通い婚で一夫多妻の社会で有ったが 髭麻呂の梓女に対する思いは一途だった。しかし 梓女の母親は 現在でいう一流のデザイナー、祖母は 一流の調香師、自立した婦人達で よたよたの髭麻呂は 毎度、圧倒され、翻弄され 婿入りを躊躇している。

物語は 髭麻呂が 上司 検非違使庁長官尾張義久の命令で 都を騒がせている謎の盗賊蹴速丸(けはやまる)を追いかける筋書きで展開するが そこには 当時の藤原兼家や藤原道長、源義仲等のどろどろした政権争い、失脚させられた源高明等の事件が絡み合い、その真相究明になっていく。
単なる「捕物帳」「ユーモア探偵小説」とは異なり しっかりした歴史考証のもとに描かれた作品だと思う。
時代小説でも 「平安時代物」となると やや怯んでしまうが 登場人物のキャラクターは 現代人と等身大に描かれており、
「解説」で 鈴木輝一郎氏も 記述しているが まるで アニメ「ルパン3世」の雰囲気、髭麻呂が 「銭形刑事?」、梓女が 「ふーじこちゃーん?」かな。
諸田玲子氏のストーリー構成、展開は見事で 最後まで飽きない。面白く読める作品だと思った。

髭麻呂は 雀丸を・・・・、
蹴速丸は 実は・・・、

本書 最後に文節
二人は 西空を見上げる。胸のなかに ほかほかとあたたかなものが満ちてゆくのを感じながら。紅い雲たなびく夕焼け空を 鳥の群れが黒い矢のように過って消えた。

 

 

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夏目漱石著 「三四郎」

2020年01月01日 09時37分30秒 | 読書記

書棚、押入れ、天袋等に 読まれずに何十年も眠っていた文学全集、単行本、文庫本、辞書類、雑誌類等 古い本類は ここ数年で かなり整理処分してきたが、なかには 「勿体ない」「改めて読んでみたい」等という気が働いてしまい 処分し切れず の本が いまだに結構 残っている。
戦後間もない頃、貧しい家で育ち、本等おいそれと買ってもらえず 「本は大切な物」という観念が身についてしまっている人間、大胆な断捨離を心掛けている一方で 特に「本」となると、決断が鈍ってしまうのである。

夏目漱石の一連の作品の文庫本10数冊も その類である。そのほとんどは 自分で買い求めた記憶は無く もしかしたら 本好きだった義母から妻が譲り受けたものかも知れないし 息子達が学生の頃買って 置いていったものかも知れないが どの作品も読んでみたい気にはなってしまうのだ。
「じゃ、いつ読むの?」・・・・これが問題。
なかなか 重い腰が上がらない、手が伸びない。

昨年12月の中頃 気合を入れ やおら1冊、読み始めたのは 「三四郎」(新潮文庫)、
短編時代小説なら 一気に読めるものが多いが やはり手強い。
記憶力減退爺さん、読んでも読んでもすぐ忘れてしまうため、読み掛けのページから さっと読み続けること出来ず 何ページか遡ってはまた読む直す・・の繰り返し。
やっと、やっと 読み終えた。

夏目漱石著 「三四郎」

「解説」によると 「三四郎」は 明治41年に朝日新聞に連載された小説で 次作「それから」「門」に続く三部作の序曲をなす作品。主人公は 九州出身の純朴な青年小川三四郎
熊本の高等学校を卒業した23歳の三四郎は 故郷の福岡を後にして 東京帝国大学一部文科入学のため、単身 上京するところから物語が始まる。
見るもの聞くもの全てが目新しい世界の中で 三四郎は驚き、それまで体験したことが無い孤独を感じ始める。
理科大学の野々宮宗八先生を尋ねた帰りに 赤門の奥の池の端でしゃがみ込んでいた時 丘の上に立っていた女性里見美禰子を見かけるところから 三四郎の魂がふわつき出す。
出会った里見美禰子は 自由気儘な都会的な女性であったが、三四郎は 強く彼女に惹かれてゆくのだった。
学問、友情、恋愛への不安や戸惑い、そして失恋に至る過程、青春時代の一時期、誰でも経験する心の葛藤、複雑な思い、
時代は明治、田舎と東京、男と女、当時の世相等も織り交ぜて 孤独な青年 三四郎を通して 漱石ならではの世界が描かれているように思う。

主な登場人物

小川三四郎、
佐々木与次郎、
里見美禰子
野々宮宗八
野々宮よし子
広田萇
原口
三四郎の母親
三輪田のお光

純朴は田舎者の青年三四郎が 世慣れた佐々木与次郎と出会い、翻弄され、里見美禰子に心を惑わされ、結局 片思いで終わる そんな物語とも言える。

本書の最後の文節
・・・・、与次郎だけが 三四郎の傍に来た。
「どうだ森の女は」、「森の女という題が悪い」「じゃ、何とすれば好いんだ」、三四郎は 何とも答えなかった。ただ口の中で 迷羊(ストレイシープ)、迷羊(ストレイシープ)と繰り返した。

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因みに 現在の東京大学キャンパスに有る「三四郎池」は 元々 江戸時代 加賀藩上屋敷の庭園の一部の池だったが 夏目漱石の小説「三四郎」の影響で 「三四郎池」と呼ばれるようになり、東京のど真ん中にありながら 今でも 池周辺は静かなたたずまいを保っているという。

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次作「それから」も 続けて読んでみたい気もするが 一息入れて、しばらくしてからにしようと思う。

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平岩弓枝著 御宿かわせみ8 「白萩屋敷の月」

2019年12月17日 10時19分32秒 | 読書記

図書館から借りていた 平岩弓枝著 御宿かわせみ8 「白萩屋敷の月」(文春文庫)を 読み終えた。
「御宿かわせみシリーズ」第8弾の作品である。
本書には 表題の「白萩屋敷の月」をはじめ 「美男の医者」「恋娘」「絵馬の文字」「水戸の梅」「持参嫁」「幽霊亭の女」「藤屋の火事」の8篇が収録されている。

平岩弓枝著 御宿かわせみ8 「白萩屋敷の月」

「美男の医者」
旅籠かわせみに 染め物職人左太郎、おもんの兄妹が泊まるところから物語が始まる。神林東吾は 泊り合わせた美男の医者寒井千種に片棒を担がせ 詐欺まがいの芝居を打ち、事件を解決。実は 寒井千種、徳川将軍家御典医天野宗伯の息子天野宗太郎だったとは・・・「偽名など使いやがって・・・」

「恋娘」
山口屋の主人が一人娘お鹿に川へ突き落とされた?、その真相は?、そしてお鹿は・・・、
「親心なんですねえ」

「絵馬の文字」
小伝馬上町の諏訪明神の絵馬堂に「お父つぁんを助けて下さい 清之助」という願文が奉納されていたが・・・・、
伊吹屋で昨夜 人殺しがあったんです」「殺されたのは」「源七夫婦清之助です」、畝源三郎、神林東吾の真相究明、謎解きの末・・・、

「水戸の梅」
旅籠かわせみに 父親庄兵衛を探しに水戸から出てきた豪農の兄妹庄太郎、お三重が泊まる。庄兵衛は 頭の上がらないおまきと暮らしており・・結局は・・・、

「持参嫁」
持参金付きで医者の坂上周庵に嫁いだ信江が川に身を投げて死ぬ。不審を抱く妹加江の依頼を受け 畝源三郎、神林東吾が 真相究明、探索に動き・・・・、

「幽霊亭の女」
旅籠かわせみで るい、お吉、嘉助、神林東吾、畝源三郎が 深川の逍遥亭に幽霊が出る話をしていたところに使いが来て、逍遥亭の女将おたきが殺されたことを伝える。次々起きる人殺し事件、清吉、お文、辰三郎、下手人は?

「藤屋の火事」
旅籠藤屋が火事になり 京都から来て泊まっていた異父姉妹お幸、お六の内 お六が焼死した。お幸の実の父親は日本橋の扇問屋近江屋彦兵衛
事件が発生、畝源三郎、神林東吾が 真相を究明していくと、実は・・・・、

「白萩屋敷の月」
神林東吾は 兄の南町奉行所吟味方与力神林通之進の使いで 根岸の白萩屋敷に住む青江但馬守の後室お香(香月)を訪ねる。大変な美貌の女性ながら顔半分に火傷の跡が有る。そこに隠されていた理由とは?・・・短冊、「花に似し 君想わるる 月の夜に 萩の小道を 一人し歩めば 通之進」
本篇は 珍しく事件や謎解き等が無く 母のように姉のように慕った少年の淡い恋心と それをずっと感じていた女性の情念を描いた作品である。

 

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平岩弓枝著 御宿かわせみ7 「酸漿は殺しの口笛」

2019年12月10日 07時48分49秒 | 読書記

図書館から借りていた 平岩弓枝著 御宿かわせみ7 「酸漿は殺しの口笛」 (文春文庫)を 読み終えた。
「御宿かわせみシリーズ」第7弾の作品である。
本書には 表題の「酸漿は殺しの口笛」をはじめ、「春色大川端」「玉菊燈籠の女」「能役者、清大夫」「冬の月」「朝の霜」の6篇が 収録されている。

平岩弓枝著 御宿かわせみ7 「酸漿は殺しの口笛」

「御宿かわせみシリーズ」は 江戸時代末期、江戸大川端で小さな旅籠を始めた女主人庄司るい、南町奉行所吟味方与力・神林通之進の弟で 幼馴染のるいと夫婦同然の関係の神林東吾、東吾、るいと幼馴染で八丁堀定廻り同心畝源三郎、かわせみの老番頭嘉助、女中頭お吉神林通之進とその妻香苗、岡っ引の長助仙五郎等々を中心に 次々発生する市井の事件を解決していく物語である。
相思相愛ながら 諸般の事情から正式な結婚が出来ないるいと東吾の恋愛模様や 東吾、源三郎の快活青春ドラマ、密偵、捕物シーン有り、随所に江戸情緒描写有り、
ほぼ1話完結、連作短編構成になっていて 読み易く、飽きない。

読んでも読んでも そのそばから忘れていく老能、しばらくすると読んだ本の題名まで忘れてしまい うっかりまた同じ本を借りてきてしまう失態も何度か有り、そんな失態を繰り返さないように ブログ カテゴリー「読書記」に 書き留めて 確認出来るようにしている。

「春色大川端(しゅんしょくおおかわばた)」
正月早々、かわせみに 深川材木問屋檜屋のひとり娘お志津が「かわせみ」に泊まった。檜屋主人庄右衛門の事故死?、毒物殺人事件、下手人は?、源三郎、東吾は真相探りを開始する・・・。

「酸漿(ほおずき)は殺しの口笛」
葛西からやってきた野菜舟(葛西舟)には 口の中で酸漿を鳴らしながら仕事をする娘お三重と小作人幸吉が・・・。お三重から 6歳の時家出したという母親おとくとよく似た女を見て その確認を頼まれた東吾、源三郎だったが・・・、、日本橋呉服問屋徳兵衛と聟忠三郎(その正体は?)、岡っ引き久三、おとくを殺したのは?

「玉菊燈籠(たまぎくどうろう)の女」
東吾と源三郎、岡っ引の長助は 「酸漿は殺しの口笛」の捕物で非業に死んだ岡っ引の久三の新盆のため橋場に墓参りに出掛けたが 途中吉原で女どうしのつかみあいの喧嘩を目撃する。日本橋塗物問屋唐木屋のおかみおそのの死、主人平八、女中の子おいせ、父親が植木屋だった久三の手下吉五郎・・・下手人は。
玉菊は 享保11年3月に病死した花魁の名。玉菊燈籠は その玉菊を供養するための燈籠。
本文から
「それじゃ 若先生(東吾)も畝様(源三郎)も見込み違いだったんでございますか」(中略)「かわせみ」のるいの居間。ちょうど宿屋稼業は一番暇な時刻だから 番頭の嘉助も女中頭のお吉も安心して 一座に加わっている。

「能役者、清大夫(のうやくしゃ、せいだゆう)」
新両替町界隈には能役者の屋敷が多い。進藤流の当主進藤源七が45歳で急死した。妻女お利江との間に子供が無く 腹違いの弟(大山の御師の娘の子)清大夫が養子となり家督を継いでいるが・・・。次々起きる押し込み強盗事件、殺人事件・・・、源三郎、東吾が その真相に迫る。

「冬の月」
結城の在に養子に行ったお吉の弟幸吉が、息子夫婦と折り合いが悪く家を出てきたというおふくを連れて「かわせみ」にやってきた。癇癪持ちで評判の悪い新川の常陸屋の隠居徳兵衛と茶飲み友達になったのだが・・・・、
本文から
「泣くな、るい・・・・」、東吾の手が肩にかかり、るいは袂を顔にあててむせび出した。(中略)、畝源三郎も首をふりながら、「世間というのは 厄介なものです」(中略)、空には、月が出ていた。初春であるのを忘れたような寒々と凍った月の色だった。

「朝の霜」
「かわせみ」に 沼津の百姓惣吉と妹お町だという触れ込みで若い男女が泊まった。若旦那と女中のかけおちではないか・・・、お吉の狼狽を嘉助はおっとりと遮った。江戸は 何十年ぶりの大雪に見舞われ、庭木や垣根にも被害が出る。「かわせみ」にやってきた植木屋は 岩吉の職人市五郎、女房はおたつと言う、日本橋呉服問屋小大丸屋の盗難事件に巻き込まれた惣吉、お町は・・、女盗賊の正体は?
本文から
東吾は 他のことを考えていた。沼津と箱根へそれぞれ帰って行った二人の若者のことであった。あの二人、果たして人生のやり直しに間に合ったものだろうか。「かわせみ」に 岩吉がやって来て、市五郎が江戸から姿を消したことを知らせていた。
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畠山健二著 「本所おけら長屋」(七)

2019年12月07日 10時56分24秒 | 読書記

「晴耕雨読」・・・、言葉だけは若い内から使っていたが 昔だったらいざ知らず現代の暮らしではそれは無理、と 思っていたものだ。
それが 自分ではあまり意識したことはなかったが 数年前に完全に仕事をやめてから徐々に徐々に それに近い暮らしになってきたような気がして、なんだかなあー である。
当地今日は 雨は降っていないものの 最高気温が6度前後と 冷え冷えする曇天、
出掛ける用も無く、部屋にくすぶっている。そろそろ 炬燵を設えなければなあ・・・等と つぶやきながら・・・・。

図書館から借りていた 畠山健二著 「本所おけら長屋」(七) (PHP文芸文庫)を 読み終えた。
「本所おけら長屋シリーズ」第7弾の作品である。
本書には 「その壱 ねずみや」、「その弐 ひだまり」、「その参 しらさぎ」、「その四 おしろい」、「その五 あまから」の連作短編5篇が 収録されている。
ほぼ1話完結構成なので 記憶力減退後期高齢者には 読み易く、まるで江戸落語さながらの笑い有り、涙有りの面白さ、テンポの良さで 一気に読んでしまえる。

畠山健二著 「本所おけら長屋」(七)

江戸本所亀沢町には 人情とお節介で名高い おけら長屋が有る。貧しいくせに、お節介、人情に厚い住人達が 次々と巻き起こる騒動、事件に まるでひとつ家族のように関わり合い、助け合いながら、、笑いと涙で体当たり、まーるく収めて 肩を寄せ合って暮らしている。人の優しさが心に沁み込んでくる時代小説だ。

「その壱 ねずみや」
居酒屋で呑んでいる 左官の八五郎。米屋の万造、酒屋の松吉の三人組に 浪人の島田鉄斎が加わり 専らねずみ小僧の話となる。芋売りの今助お涼兄妹が登場する。実は 大盗賊だった暁の滝右衛門の子であったのだが・・・、おけら長屋の住人達のお節介や、火付盗賊改方筆頭与力根本伝三郎の粋な計らいで・・・、

「その弐 ひだまり」
おけら長屋住人に深い関わりの有る、小名木川にかかる高橋の近くにある治療院聖庵堂の聖庵先生が昔のことを思い出す物語である。上州高根藩の藩医の嫡男だった林太郎その後玄志郎、お歳、お吉とも関わり、長崎留学、助手のお満・・、
文中より
「先生 万造さんが来ました。・・・・」「お満、お前が診てやれ。せっかく万造が来たんだからな」、お満は顔を赤くする。


「その参 しらさぎ」
旅芸人白鷺座の芝居に 神田佐久間町の大店、絹問屋志摩屋の娘お静がはまってしまい、主久太郎が頭を抱え込む話と 座長白鷺大夫と上野不忍池界隈のアバズレ女お浜の話が交錯する。万造、松吉、島田鉄斎等おけら長屋住人が絡んだお節介とすったもんだの大芝居、笑いが堪えられず、涙を誘われる物語である。

「その四 おしろい」
両国橋の西詰に有る小間物問屋永美堂の主円太郎には化粧する悪趣味が有る。八五郎、万造、松吉の三人組は 招かれた高級料亭で てんやわんやの大騒動。挙句の果て、万造が大声を上げる。両国稲荷のお祭りに 「永美堂主催で 女形美人合戦ってのはどうでえ」

「その五 あまから」
「その壱 ねずみや」の芋売りの今助お涼が 再登場する。舞台は 江ノ島。暁の滝右衛門の弟分だった丈八(じょうはち)は 江ノ島の旅籠晴海屋の主におさまっているが・・・、江ノ島見物のおけら長屋の大家徳兵衛も一役、火付盗賊改方筆頭与力根本伝三郎や浪人島田鉄斎による盗賊一味大捕物有り。
文中より
徳兵衛の家では 徳兵衛と鉄斎が芋を肴に酒を呑んでいる。(中略)、「しかし島田さん、この甘辛煮は絶品ですなあ」「甘さと辛さが混じり合って味わいが増す・人と同じですなあ・・・・・。」(後略)


「本所おけら長屋シリーズ」は 13巻まで発刊されているようで 続編も楽しみになってくる。

 

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平岩弓枝著 御宿かわせみ6 「狐の嫁入り」

2019年12月04日 10時58分12秒 | 読書記

図書館から借りていた 平岩弓枝著 御宿かわせみ6 「狐の嫁入り」を 読み終えた。
御宿かわせみシリーズ」の第6弾目の作品である。

平岩弓枝著 御宿かわせみ6 「狐の嫁入り」

本書には 表題の「狐の嫁入り」をはじめ 「師走の月」、「迎春忍川」、「梅一輪」、「千鳥が啼いた」、「子はかすがい」の連作短編6編が収録されている。

「師走の月」
日本橋馬喰町の茶問屋東竜軒で 袱紗包みにした50両が消えた事件と、主人市右衛門が襲われる事件、娘おひでと船頭新三の仲、妾にされた一人娘おたつの怨念を抱く父親の畳職人鉄五郎、八丁堀同心畝源三郎と協力する御宿かわせみの女将るいと夫婦同然の八丁堀与力の次男坊神林東吾達が、事件の真相を探っていく。

「迎春忍川」
正月三日、上野護国院に初詣に出掛けた 御宿かわせみの女将るい神林東吾、かわせみの老番頭嘉助、女中頭お吉達は 人目を引く美女を見かけるが、鼈甲屋老舗加納屋清右衛門の後妻19歳のお比奈だった。清右衛門が変死、岡っ引きの伊之助が殺された事件、果たして下手人は?

「梅一輪」
東吾は兄嫁の実家(与力神林通之進の嫁香苗の実家)麻生家を訪ねた帰りに女掏摸を捕まえたが 路上で素裸になった掏摸の背中の滝夜叉姫の図柄の入れ墨に気をのまれたすきに 掏られた財布を見失ってしまった。るいから嬲られる東吾。嘉助の昔話から 殺された 掏摸の中の名人と言われた将門の彦六には 娘がいたことが分かる。目黒村のおまさ?、おもん?、丑松
文中より
源三郎は 懐から小さな枝を取り出した。梅一輪が咲いている。「おまささんが東吾さんに渡してくれっていいましてね。(神田)明神様の境内に咲いていたそうです」「馬鹿、そんなものかわせみに持ってくる奴あるか」、るいの足音が廊下を戻ってきた。

「千鳥が啼いた」
東吾通之進は 亡母の生家、斎藤家の法要の帰りに強盗に襲われた。助っ人に現れたのは伊太郎、何故ここに?蔵前の料亭鶴伊勢屋が強盗にやられる。主人平治郎と女房、倅松之助が殺害され、800両が奪われた。「ゆるせねい連中だ」

「狐の嫁入り」
御宿かわせみの居間で るいは 東吾に狐の嫁入りの話をする。
「亀戸村あたりに 毎晩出るんですって」「鬼火みたいに青い火があっちこっちで燃える狐火、その中を駕籠に花嫁を乗せた行列が宙に飛ぶように走っていくって話ですよ」。本所あたりの旗本衆から狐狸騒動不届と奉行所がねじ込まれたことも有り、源三郎と東吾は 早速真相究明に乗り出す。木曽屋万兵衛の娘およねが からっ風検校の息子の嫁になる・・・「花嫁が逃げました」・・。大芝居の末の見事な幕切れ。

「子はかすがい」
東吾の兄、与力の神林通之進、香苗夫婦は 結婚して10年経つが、子供が出来ない。雛祭りの夜、来客の麻生家の末娘七恵(香苗の妹)は 東吾に「ひょっとして おめでたではございませんかしら」と 真っ赤になって言う。正吉が 狸穴(まみあな)の方月館から泥まみれになって御宿かわせみにやってきた。母親のおとせが代官所にしょっ引かれたと泣きじゃくりながら訴えた。その正吉が行方不明に・・・、人殺し事件と 右足の甲から足首にかけて赤いアザがある赤ん坊・・
文中より
「香苗、出来たのか」、おっとりと兄嫁がかぶりをふった。「いや、しかし 義姉上はこの前 蜜柑をいくつも召し上がって・・・」(中略)
「馬鹿者、なにもわからないくせに。知ったかぶりをする奴があるか」
弟を叱りながら 通之進が奉書をそっと手文庫にしまうのを 東吾は見ない顔でちゃんと見届けていた。夕陽のさしている庭に 染井吉野が漸くの三分咲きである。


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畠山健二著 「本所おけら長屋」(六)

2019年12月03日 08時06分18秒 | 読書記

図書館から借りていた 畠山健二著 「本所おけら長屋」(六) (PHP文芸文庫)を 読み終えた。
「本所おけら長屋シリーズ」第6弾の作品である。
記憶力減退後期高齢者、本を読んでも読んでも、読むそばから忘れてしまう。
しばらくする内に すでに読んだ本の題名まで忘れてしまい また同じ本を借りてきてしまうような失態も何度か有る。
そんな失態を繰り返さないためにも 備忘録としてブログに書き込んで 後日確認出来るようにしているのである。

畠山健二著 「本所おけら長屋」(六)

(目次)
その壱 しおあじ
その弐 ゆめとき
その参 とうなす
その四 やぶへび
その五 だきざる

お江戸、本所亀沢町に有るおけら長屋には 貧しいくせに、お節介、人情厚い住人達が 次々巻き起こる騒動に 笑いと涙で体当たりし まーるく収めて暮らしている。ことが有ろうが無かろうが まるでひとつの家族のように関わり合い、繋がり合い、肩を寄せ合う長屋の住人達、人の優しさが心に沁み込んでくる物語である。
まるで 江戸落語さながらのテンポの良い会話が飛び交い、思わず笑いを堪えられなくなったり、涙を誘われてしまう作者の作風に 魅せられている。
周りに人が居ないところで読んだ方が良さそうだ。

「しおあじ」
南本所石原町の弁天長屋に住むお恵の亭主大工の又造とおけら長屋の住人お染との意外な関わりとは?

「ゆめとき」
おけら長屋の大家徳兵衛が「どうだい、今年はみんなで花見に繰り出さないか」と言い出す。浮かれる長屋の連中をよそに、一人沈む万造。その訳は?
落語の長屋の花見を彷彿する物語だ。

「とうなす」
おけら長屋には 5人の独り者が住んでいる。浪人島田鉄斎、米屋奉公人の万造、酒屋奉公人の松吉、魚屋の辰次、八百屋の金太という顔ぶれ。八百屋の金太に嫁取りの話が持ち上がったことからてんやわんやの大騒動。

「やぶへび」
左官の八五郎、お里の娘お糸文七の祝言が近づき、長屋のあちこちで難事が発生、てんやわんや。

「だきざる」、
聖庵堂のお満が 西方から江戸にやってきた流行病に罹ってしまうが 万造の活躍と医学本草学を学んだおけら長屋の大家の一人息子由兵衛のお陰で助かり、おけら長屋中すったもんだの挙句、左官の八五郎、お里の娘お糸文七の祝言の日を迎える。

八五郎は懸命に涙を堪えたがそれは無駄だった。「おとっつあん、おっかさん。私と文七さんに子供が出来たら、おとっつあん、おっかさんみたいな親になるからね」「馬鹿を言うねえ。こんな親になんかになっちまったら世間の笑いもんじゃねぇか」(中略)
お糸の着物の帯には 親猿が胸に子猿を抱いた根付がぶら下がっている。お糸はその根付をそっと握り締めた。(文中より)

ほぼ1話完結なので 読み易い。
笑って泣ける人気連作時代小説「本所おけら長屋シリーズ」は 13巻まで発刊されているようで 続編も楽しみになってくる。

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平岩弓枝著 御宿かわせみ5 「幽霊殺し」

2019年12月01日 20時35分05秒 | 読書記

図書館から借りていた 平岩弓枝著 「幽霊殺し」 (文藝春秋)を 読み終えた。
「御宿かわせみシリーズ」の第5弾目の作品である。

平岩弓枝著 御宿かわせみ5 「幽霊殺し」

本書には 表題の「幽霊殺し」をはじめ 「恋ふたたび」「奥女中の死」「川のほとり」「源三郎の恋」「秋色佃島」「三つ橋渡った」の連作短編7編が収録されている。

「恋ふたたび」
老舗薬種問屋日本橋伊兵衛には 後妻おとせとおとせの連れ子正吉、跡取りの長松がいた。長松が毒殺される事件が起きる。果たして 下手人は?
同心畝源三郎に親友の神林東吾が協力、岡っ引きの藤助、かわせみの老番頭嘉助等が活躍する。
「奥女中の死」
お高祖頭巾を被った女客が「かわせみ」に宿泊した。水戸家の奥女中だったお勝は 女の誇り、気位の高さが裏目に出て 一人芝居の末・・・。
「かわせみ」の女将るいは やきもちを焼き 神林東吾にたしなめられる。

「川のほとり」
「恋ふたたび」で登場した 日本橋中村屋伊兵衛の後妻おとせは 伊兵衛と離縁し 神林東吾の才覚で 実子正吉と共に 麻布狸穴(まみあな)の道場方月館に身を寄せている。飯倉二丁目の紙問屋万屋小兵衛の息子藤太郎が 婚礼の日に殺害された?・・・が、実は 彼が罪悪感から逃れられずに・・・の事件だった。

「幽霊殺し」
幽霊に化けた女が殺された?・・・、八丁堀同心畝源三郎と神林東吾が乗り出し 大捕物、

「源三郎の恋」
八丁堀同心畝源三郎は親の代から奉公していた下婢よねを見舞うが美しい女尼紫香尼に出会う。読者は 同心と女尼と恋を期待しまうが・・・。

「秋色佃島」
「かわせみ」の女将るいの亡父は同心だったが 死期が迫った元三春屋手代の伊之助は 毒饅頭で手掛かりをつけ、逆恨みでるいを誘拐する。
るいは あわや 死を覚悟するが・・・、

「三つ橋渡る」
赤ん坊を利用した押し込み強盗事件が続く。「かわせみ」が八丁堀ゆかりの宿と知らず押し込んできた5人の盗人、同心畝源三郎、神林東吾が待ち構えて捕縛。
仲間から逃げ出した娘の遠い記憶、「三つ橋渡る」、「江戸で三つ橋の有るところってどこでしょう」

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