インクルーシブな社会のために

障害の有無程度に関わらず支え合う社会へ ~ハマジョブネットワーク~

障害者雇用すなわち特例子会社か?

2006年09月23日 | 記事
今、韓国のゲストハウスのインターネットコーナーで書いている。
ちゃんと日本語で表記されていますよね?

出国前、空港のテレビを見ていたら、
NHKの番組で、障害者雇用の特集をやっていた。
千葉県と神奈川県の障害者特例子会社が紹介され、
特例子会社の説明がされていた。

特例子会社とは、障害者雇用率を稼ぎやすくするため、
障害者が社員の大半となる子会社を作り、
グループ企業はそこに発注を行う。
子会社は比較的安定して受注があり、
この子会社の障害者のポイントを、
グループ企業の雇用率に算定できる仕組みだ。

僕も特例子会社〈雇用側も被雇用側も)の知り合いは多く、
皆さん情熱的に使命を持って仕事をしていらっしゃる。
それはいいんだけど、いまだに、障害者雇用というと、
特例子会社だけが取り上げられるのが疑問で仕方ない。

特例子会社は、大企業の発想であり、
障害者と健常者をシステマチックに分ける効率的な手段であり
雇用率を上げるために効果的な手段。

障害者とどう接していいか分からない人にとってはわかりやすいだろう。
あ、特例子会社をいっぱい作ればいいんだね、と。

しかし、それだけでは社会としてよくないと思う。
まず、社会は、障害者と健常者で分かれているわけではない。
障害者と健常者というのは、あくまで抽象的で相対的な区分にすぎない。
障害者という集団を一つの枠に入れるという手法には限界がある。

そもそも社会というのは、障害者・健常者だけでなく、
さまざまな多様性を内包していて、それぞれ、能力や性質や長所が異なる。
なにも、障害者だけを考慮すればいいというものではない。

一人一人の社会人が、どう力を発揮していくか。
これは、すべての社会人の問題なのである。

したがって、特例子会社でしか、障害者の能力を生かせない社会は、
他のいろんな人の能力を生かしているとは言いがたいのだ。

僕の仕事は、障害のある方の就労・雇用を促進することだが、
単に障害者だけが得をすればいいとは思っていない。
社会や地域全体がハッピーになってほしい。
そのためには、行政や福祉だけががんばるのではなく、
社会や地域全体が、お互いに支えあうことが必要なのである。

僕だって、きれいなことを言っていても、
実際にはできないことはいっぱいある。
でも、それでも、理想を言い続けて、少しでも前進したいのだ。

(最後の2段落は帰国後に加筆しました)