075)新しい苗圃

 私たちの協力拠点=環境林センターは20ヘクタールあり、零細NGOの苗畑としては十分なはず。でも第2の苗圃建設が長年の念願でした。環境林センターは土壌の粒子が小さすぎるうえに富栄養化していて、広葉樹は問題ないんですけど針葉樹の育苗には適さなかった。むずかしい環境ですから、苗圃も2つあって2本足で歩けると安心なんですね。  国際協力機構(JICA)の草の根技術協力事業を受託し、新しい苗圃の建設をはじ . . . 本文を読む
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074)協力関係をつくる

 大同の私たちの協力プロジェクトを訪れた人たちが感心してくれます。とくに「こういう関係がどうしてできたんですか?」といって。私の答えはいつもいっしょで「相手に恵まれたんですよ」。中国でも評判になり、以前のカウンターパートの責任者、祁学峰はあちこちで講演を求められました。つぎの4項目を彼は強調したそうです。  1)誠実(真誠)につきあう。双方の関係は平等であり、自分の本当の気持ちでつき合わないといけ . . . 本文を読む
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073)自然林の再生過程

 碣寺山の自然林はまだ若い林です。何度も破壊されたあと自然に再生してきたもののようです。経緯を知るために数本の木を伐り、年輪を調査しました。  この森の木は78年ごろ、かなり徹底的に伐られています。一部が難を逃れ、10メートルほどに育ちました。切り株から萌芽更新したものが次のクラス。種から育ってきたものもあります。  それ以来、山は荒らされていません。なぜ?登ってくる途中に大面積のアブラマツを植え . . . 本文を読む
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072)自然林があった!

 道なき山の斜面をかき分け、片道4、5時間もかけて登ったんですよ。稜線に立って驚きました。立花さんなんか、思わず走り出したくらい。かなりきつい斜面がびっしりと樹木で覆われています。  主人公はリョウトウナラです。コナラ、ミズナラのなかまでドングリの木。そのほかに数種類のカバノキとカエデ、シナノキ、クルミ、その他の灌木も混じっています。落葉広葉樹です。高さは10メートル前後、胸高直径20センチまでの . . . 本文を読む
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071)山のかなたの自然林

98年夏のことです。霊丘県の技術者の李向東が「自然林があり、こんな太い木があります」といって、一抱え以上のポーズをとります。私たちの代表=立花吉茂さんにいわれて、周囲の植生を調べていました。しかし、にわかには信じられません。  「遠くない。村から2里ほどです」といいます。中国の2里は1キロ。すぐにでかけました。歩き疲れて、途中でであった村人に尋ねると「すぐだ、2里ほどだ」。また歩いて歩いて、で . . . 本文を読む
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070)遅い春

 今日は春分。でも今年の大同は春の訪れが遅いんです。1週間前でも最低気温は零下20度近くだったそう。河北省保定市の農村経由で大同市最南部の霊丘県に入ったんですけど、水面はまだ凍っています。  大同の中心部は北緯40度で北京と同じ緯度。北京の海抜は百メートルを切ってますけど、大同は低いところでも千メートルです。百メートル上がるごとに気温は0・6度下がりますから、北京に比べてもずっと寒い。  月平均気 . . . 本文を読む
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069)農村で娘をもつ(2)

「高見おじちゃんの娘になるんだよ」と大同事務所の武春珍所長が告げると意味はすぐわかったようです。でも感情がついていかなかった。表情が消え、デスマスクのように凍ってしまいました。  その子の家にいきました。小さなあばら家で、屋根が波うっています。カマドの横の壁の一部を黒く塗って黒板がわりにし、英単語をチョークで書いては消し、書いては消し。裏紙を針と糸で綴じてノート替わりにし、几帳面な小さな字でビッ . . . 本文を読む
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068)農村で娘をもつ(1)

 昨年3月末、広霊県苑西庄村の農家でツアーが一泊したときのことです。村の小学校の先生が女の子の頭をなでながら話しました。  「この子は勉強がすきで、よくできます。この学校で学ぶのは低学年だけで、4年生以上は隣り村の学校に通いますが、そこでもずっと1番。まもなく卒業ですが、家庭が貧しいうえに弟が2人いるので中学校にはいけません」その子は両手で顔をおおって泣きだしました。日本からきた人たちもみな泣いた . . . 本文を読む
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067)浸食谷をマツが覆った

 大同県徐町郷は桑干河をせき止める冊田ダムの南岸にあります。背後は渾源県との県境の龍首山。山の中腹まで登ると、眼下にみえるのは縦横に走る浸食谷。地元の人の話では大小48本とか。その前方にみえるダム湖は北京の水源で、2年つづけて水門をあけ、官庁ダムに水を送りました。  大雨が降ると背後の山から土石流がおき、目の前の浸食谷を刻みました。その土は上流から運ばれる土とあわさってダム湖を埋め、建設後45年ほ . . . 本文を読む
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066)「第2の青春」

私たちのカウンターパート・緑色地球網絡大同事務所の技術顧問に侯喜さんがいます。大同市林業局で40年以上働いたベテラン技術者で、定年退職後に協力プロジェクトに加わりました。  現場に精通していて、まさに生き字引。あるとき調査のために木を伐っていて村の人に見咎められました。彼が前にでて「あんたはなんて名前だ? じゃあオヤジは○○で、オッカアは△△村から嫁にきただろ」。相手はそれで引き下がります。そ . . . 本文を読む
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065)乱開発

 昨年夏、植物を求めて太行山中を歩きまわりました。そこで気になったのが乱開発です。山区は平地が少なく無霜期も短いため、農業条件はよくありません。そこへやってきたのが最近の経済膨張。「中華全国総工事現場」で、鉄もセメントも足りません。ふつうは見向きもされない零細鉱山でも採算に乗ります。浙江省、江蘇省など南の資本と、地元の市や県の幹部(本人よりもその家族)が結んで開発にあたるよう。  そのポリシーは稼 . . . 本文を読む
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064)速い、速い!

 昨年の夏、そこら中が道路工事で、いちばん南の霊丘県は陸の孤島状態。回り道、回り道の連続でふつうなら4時間のところが、3倍もかかりました。  ところが昨年12月には大同市内から霊丘の県城まで、2時間ちょうど。大同県-渾源県、渾源県-霊丘県と、道路は2つの県境を越えますが、そこがどちらも山。曲がりくねった峠道のために時間がかかり、事故も多かったのです。そこに山を切り開き、谷を埋めて、新しい道路が完成 . . . 本文を読む
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063)ゆとりの冬

民は食を以て天と為す、と中国では言われつづけてきました。生きること、食べることがどんなにたいへんであったかを示しています。沿海地方の急速な発展ぶりをみると、死語になったように思えますけど、自然災害オンパレードの黄土高原の農村では、まだまだそれが現実。  ところで2004年は、けっこうな豊作だったのです。4月末までは天候不順で雨が降らず、どうなることかとハラハラしましたが、5月以降は雨に恵まれま . . . 本文を読む
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062)足もとの歴史

 中国ですから歴史の長いのはあたりまえ。雲崗石窟をはじめ大同に文化財が多いのもあたりまえ。そう思っていました。  そしたら、私たちの協力拠点の環境林センター。南西のすみっこ、ポプラの苗畑のあたりで、たくさんの土器が出るんですよ。掘るまでもなく、地表に転がっていて、それこそ入れ食い状態。1時間もかければクーラーいっぱい、じゃなかった、段ボール箱いっぱいになります。  多いのは瓦のかけらで、表面に布目 . . . 本文を読む
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061)環境林センター

これまでの60回を振り返ると、本業の緑化についてあまり書いていませんね。  環境林センターは私たちの協力事業の拠点です。95年春に着工し、翌年から育苗などを開始しました。資金も経験もないので、おっかなびっくりのスタート。3・5ヘクタールの土地は村からの無償提供で、トラクタも運転手、燃料つき、無料で借りました。そのうえ電気は盗電、水は盗水。  でも、人に恵まれたんですね。管理が行き届き、規模もだん . . . 本文を読む
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