1298話)苑西庄村再訪(5)

村の元会計さんに引っ張られていったのは、母屋の前の中庭の小さな隠居住まい。老夫婦で暮らしているそう。 ちょっと昔話をしていると、「ここに高見がきているときいた」といって、入れ代わり立ち代わり人が訪ねてきてくれるのです。たいてい高齢者で、なかには杖を頼りに不自由な体を運んでくれた人もいます。「この家にだって1年ぶりだ」といって。 主が私に「いまでも酒を飲むのか?」ときくので、「毎日だ」と応えると . . . 本文を読む
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1297話)苑西庄村再訪(4)

そうだ、あのビデオをみてみようと思って、テレビ朝日が1998年に放映した素敵な宇宙船地球号シリーズの「黄色い大地に生きる」をみました。そのときの通訳を王黎傑がしてくれているんですね。それで思いだしました。 彝(イ)族のお嫁さんへインタビューというか、詰問を彼女がしたんですよ。「あなた、どういう事情でこんな村にきたの?だまされたの?」 答え「あの人が、西服(スーツ)をきちんと着て、たくさんお土産 . . . 本文を読む
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1296話)苑西庄村再訪(3)

井戸のすぐ近くの家には何度も泊めてもらいました。お嫁さんが貴州省からきた彝(イ)族の人で、丸顔でクリクリ眼。どうしてこんな結婚が成り立ったかきくと、大同は石炭の街で、南方からもたくさんの人が働きにきていて、人のルートができていたようです。 そのお嫁さん、自分一人では寂しかったのでしょう。つぎつぎに自分の村の娘を紹介して、この村の人と結婚させたのです。おかげでなんと、この村には電気炊飯器のある家が . . . 本文を読む
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1295話)苑西庄村再訪(2)

テレビの取材場所としてこの村を選んだのは、ふつうの農民とのつきあいが濃厚だったことがあります。私もずいぶんな回数、農家にホームステイさせてもらいました。まだ若かったからできた、ともいえるでしょうね。 多くの村はたいてい村の党支部の幹部をつうじてのつきあいで、長い年月のあいだに交替している可能性が高いんです。村を離れてしまっている人も少なくありません。こういうところに行っても、知り合いに会えるとは . . . 本文を読む
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1294話)苑西庄村再訪(1)

これまで長々と苑西庄村のことを書いてきたんですけど、じつは2018年9月に、突然、この村を訪れることになったからです。 日本のさるテレビ局が私たちの協力事業を取材して番組をつくることになりました。張家口市蔚県での事業は2016年度にはじめたところですので、その実績だけでは標準未満で、とうてい番組にはなりません。 大同では霊丘県の南天門自然植物園、渾源県呉城村のアンズ畑、大同県の実験林場カササギ . . . 本文を読む
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1293話)広霊県苑西庄村(10)

せっかくいい関係のできていた苑西庄村ですが、2003年ごろを最後に足が遠のいていました。井戸を掘り、果樹園をつくって、私たちにできることがとりあえず終わったこともあります。 その一方で、私たちのしごとの規模が大きくなり、内容も複雑になりました。 1999年に南天門自然植物園にとりかかり、2000年に環境林センター(南郊区)を20haまで拡張し、2001年には実験林場カササギの森に着手しました。 . . . 本文を読む
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1292話)広霊県苑西庄村

井戸を掘ったのは1998年ですが、掘る前にもなんどかツアーの人たちがこの村でホームステイしたことがあります。黄土高原の農村の厳しさを知ってもらうには最適の村だったのです。 風呂はおろかシャワーさえ考えられもしません。朝起きて、顔を洗う水にも事欠くのです。でも、ツアー参加者にはものすごく好評でした。 それにはこの村の人たちの善良さが大きく影響したと思います。なにもない貧しい村でしたけど、心からよくし . . . 本文を読む
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1291話)広霊県苑西庄村(8)

掘りに掘って176mにもなり、この県でいちばん深い井戸になりましたが、幸い水がでました! 実際に水がでてしばらくたってからですが、苑西庄村で通水式がもたれました。村の人は全員が集まり、出稼ぎにでている人や、結婚して村をでた女性たちもこの日は村に帰って出席したそうです。 「もらい水の歴史に終止符が打たれた!」「長生きはするものだ、こんないい日にめぐり合えるとは!」といって、一人の老人は涙をぬぐお . . . 本文を読む
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1290話)広霊県苑西庄村(7)

テレビ朝日でその番組が放映されると、緑の地球ネットワークの事務所の電話が鳴りつづけました。この番組を契機に入会してくださる人が相次ぎましたし、寄付も集まりました。正直なところ、私はこのような結果を予測して、取材に協力することにしたんですね。 農業協同組合(JA)の全国組織も寄付に取り組んでくれました。おかげでまず苑西庄村で井戸を掘りました。 責任を負うことになった祁学峰は、気が気でないのです。 . . . 本文を読む
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1289話)広霊県苑西庄村(6)

撮影クルーと私とで1軒の農家に泊めてもらったんですけど、その家にはかわいい女の子・ビンビン(彬彬)がいました。というか、クルーが学校に行って、生徒たちのなかからビンビンを選んで、一家の生活を撮影することに決めたのです。 この子の父親は朝暗いうちに天秤棒をかついで水汲みにでかけます。クルーはそのあとを追います。ビンビンがその水で顔をあらう場面を撮影します。 短く切った車のタイヤが水桶としてつかわ . . . 本文を読む
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1288話)広霊県苑西庄村(5)

1997年のことです。テレビ朝日が「素敵な宇宙船・地球号」シリーズ(トヨタ自動車提供)の番組を私たちの協力地で撮影するが決まり、当然、そのなかに農村生活は欠かせません。黄土高原の切り口として、水がいちばん重要でしょう。 私の頭に最初に浮かんだのは、天鎮県李二烟村です。あそこは村の横の谷底に小さな湧き水があり、村の人はその水を天秤棒で担ぎ上げて暮らしています。 ところが県政府の意見は「撮影は問題 . . . 本文を読む
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1287話)広霊県苑西庄村(4)

苑西庄村のたいへんさは、通り一遍の貧しさだけでなく、飲み水にすら困ることです。以前は村のあちこちに井戸があったそうですが、つぎつぎに涸れ、私たちが訪れたころには水のでる現役の井戸は4つしかありませんでした。 村の男たちの朝いちばんの仕事は水汲みです。天秤棒の前後にバケツ2つを下げ、暗いうちから井戸の前にならんで順番を待ちます。遅くなるほど水が濁り、ついにはなくなってしまいます。そうなると、つぎの . . . 本文を読む
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1286話)広霊県苑西庄村(3)

なぜかこの村のことがその後も気になって、1996年の春にまた訪れました。最初に訪れたあの家は1995年秋の長雨で倒壊していましたが、老夫婦は無事でした。 村の入り口に小学校があります。女の先生が1つの教室で1年から6年までの生徒を教えていました。この先生と親しくなり、いろんな話をきいたのです。 その先生は私よりかなり若いのですが、文化大革命の洗礼を受けた人です。大寨のそれが有名ですけど、各地に . . . 本文を読む
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1285話)広霊県苑西庄村(2)

1994年3月に初めて苑西庄村を訪れたときのことを思いだすと、なぜか薄汚れたヒツジのイメージが浮かんできます。毛のうえからでも痩せているのがわかったくらいです。 一軒のあばら家にはいりました。あけすけにいうのは失礼ですけど、1995年の長雨でこの家はつぶれてしまいましたので、こう呼んでも差し支えないでしょう。 老夫婦と5歳くらいの男の子が夕食を摂っていました。若夫婦は出稼ぎにいっているとのこと . . . 本文を読む
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1284話)広霊県苑西庄村(1)

広霊県苑西庄村を最初に訪れたのは1994年3月です。村に着いたのは夕方、小雪がちらついて、貧しい村がいっそう貧しく感じられました。 最初はこの村を訪れる予定はありませんでした。同じ郷の幹線道路近くにある楊窰村に小学校付属果樹園をつくる計画で広霊県を訪れたら、さらに奥にひどく貧しい村があるというのです。 3年つづきの旱魃で食糧も尽きかけているうえに、飲み水にも苦労しているとのこと。 私はぜひ行 . . . 本文を読む
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