911話)井戸掘りに協力

広霊県苑西庄村は高所の村です。もともとこの村には20本ほどの井戸があったそうです。スコップとバケツで掘った井戸で、深さは30mほど。私が最初に訪れた1996年には、その大部分が涸れ、水の出る井戸は4本だけで、1日にバケツ100杯しか汲めませんでした。住民は150人ほどでしたから、私が「1人あたりバケツ3分の2杯の水で生活しているんだ?」というと、「そうじゃない、家畜もいる」という返事が返ってきまし . . . 本文を読む
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910話)井戸掘りはおもしろい

この地方の村の井戸は、以前は人力で掘っていました。たいていはスコップとバケツです。黄土ですからそんなにむずかしくない。30mあたりに最初の帯水層があります。そして、水がでたら、さらに深く掘るのは困難です。大事にその水を使っていました。 ところがその井戸が涸れる例が続出したのです。新しく掘る井戸は低いところにある村でも100m以上になります。高所の村では150m以上。なかには渾源県二嶺村のように3 . . . 本文を読む
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909話)「水に困らない」というのだけど

飲み水に困る村もありました。私たちが2000年に7つの県の21の村で実施したアンケート調査では、「水に不自由せず、灌漑もしている」(42.6%)、「生活に困らないが、灌漑はできない」(47.4%)という回答が多く、「飲み水に困らないが、節約が必要」(18.3%)、「水に困り、もらい水に通っている」(3.6%)は少数でした。この数字だけをみると、「なんだ、たいしたことないじゃないか」となるかもしれま . . . 本文を読む
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908話)灌漑に頼るわけは

旱魃の年の1993年、天鎮県孫家店郷にある11の村のうち、1人あたり穀物生産高が200kgを超える村は4つで、293~528kgでした。4つとも地下水による灌漑が可能な村だったのです。5つの村はわずか39~79kgで、それらの村は灌漑がほとんどできませんでした。1人あたり200kgというのは、成人1人の最低限の生存のために必要なカロリー量に匹敵するんだそうです。それを得るには灌漑が欠かせないし、い . . . 本文を読む
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907話)10年のうち9年は旱魃

2回つづけて雨による被害について書いたんですけど、それはむしろ例外で、雨が降らないのがふつうです。1995年の水害のあとで、農村を回りながら農民に「こういう水害と旱魃(かんばつ)とどっちが怖いの?」ときいたことがあります。答えは「やはり旱魃だ」というものでした。 水害は見た目には激しいのですが、その範囲は狭いし、やってくるのもたまのこと。それにたいして旱魃は、毎年のようにやってきて、被害の範囲も . . . 本文を読む
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906話)呼び水になる

采涼山プロジェクトについて、書き落としたことがありました。私たちのプロジェクトは6年をかけて230haを植えました。そして隣接地にある実験林場「カササギの森」が600ha。それだけじゃないんですね。それを取り巻くように、1000haの国家プロジェクトがやってきたのです。北京天津風砂源地理工程です。 武春珍所長はそれがジマンです。国家プロジェクトがやってきたのは、自分たちの采涼山プロジェクトの成功 . . . 本文を読む
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905話)水土流失

犠牲者がでたり、家屋が倒壊したり、というほど劇的な被害でなくても、雨が引き起こす問題は大きいのです。年間降水量は平均400mmなんですけど、その3分の2以上が6月半ばからの3か月に集中します。そしてひどいときは、狭い範囲に短時間、集中的に降り、1時間に70mmを超すことがあります。ゲリラ豪雨という名称はここの雨にこそふさわしい。 植生の貧しい黄土高原にそのような雨が降ると、表土が流されてしまい . . . 本文を読む
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904話)雨による被害

これからしばらく水の問題について書くことにします。 大同の農村のことを話すとき、かならずといっていいほど取り上げるのは、陽高県の民謡「高山高」です。その2番にこうあります。「靠着山呀,没柴焼.十箇年頭,九年旱一年澇」(山は近くにあるけれど、煮炊きに使う柴はなし。十の年を重ねれば、九年は旱(ひでり)で一年は大水)。漢字ってすごいですね。たった16文字でこれだけのことを表せる。大同の農村はまさにこれ . . . 本文を読む
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903話)どうしてマツを植えるの?

采涼山で私たちは主にモンゴリマツを植えました。そのあいだに、ヤナギハグミ(沙棘)とムレスズメ(檸条)といったグミ科、マメ科の灌木を植えたのです。ムレスズメは道路の両脇などに大きく繁っていますが、ヤナギハグミはマツが育って陽光をさえぎるようになると、消えてしまいました。写真は2013年8月で、前中久行代表にモデルになっていただきました。 この地方の林業局が植えているのは主にマツです。ここのプロジェ . . . 本文を読む
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902話)キノコが生えてきた!

これだけのマツの林ができて、キノコがでてくるのが楽しみだったのですね。采涼山ではじめてキノコらしいキノコがみつかったのは、2004年だったと思います。食べる楽しみもありますけど、それだけではありません。 じつはここに植えたマツの苗、菌根菌を共生させた苗だったんですね。1997年4月に小川眞先生に大同にきていただき、技術指導をしてもらいました。実験が仕込んであったんですけど、その年の9月にいってみ . . . 本文を読む
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901話)山火事がこわい

緑色地球網絡大同事務所の武春珍所長は、木を植えて育てることを、よく子育てに例えます。私も、講演なんかでそのように話すことがあるんですけど、つれあいからの「子育てに参加しなかったくせに」の一言で腰が砕けてしまいますので、あまり迫力がありません。 小さいうちは手がかかりますけど、大きくなっても心配の種はなくならないのです。それは植林もいっしょ。木が育って、いちばん心配なのは山火事です。10年、20年 . . . 本文を読む
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900話)伸びはじめたマツ

采涼山のマツが伸びはじめました。写真を2枚だしますが、まだマツの小さいほうが2009年夏、育ってきているほうが2012年の夏で、同じ場所です。モンゴリマツの主幹の伸長量はこれくらいの若いときが大きいのです。成長期ですね。写っている女性は、緑色地球網絡大同事務所の武春珍所長と、いつも私の通訳をかってでてくれている王萍さんです。 幹が伸びるだけではありません。枝も張っていきます。見た目の印象は倍々 . . . 本文を読む
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899号)あのころは風砂が激しかった!

北京・天津からみて、春先、吹き寄せる風砂には2つのルートがあるそうです。西ルートといわれるのは、タクラマカン砂漠を発生源とするもので、こちらのほうが規模は大きい。もう1つは北西ルートと呼ばれるもので、発生源はゴビ砂漠です。2ルートとも、大同を通過します。 私たちが大同で緑化協力をはじめたのは1992年ですが、そのころ北京でも大同でもよくきいたものです。「以前は風砂がひどくて、春先は外出も難しかっ . . . 本文を読む
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号外)加藤千洋さん講演会

これからの中国とどうつきあっていくかは、日本にとって大きな課題だと思います。 それには相手のことを知ることが欠かせません。 とにかくいま、日本には嫌中感情が沸騰しています。 そしてそれは中国で、反日感情の高まりを呼び起こします。 お互いが刺激しあって、よくない関係が深まっていきます。 朝日新聞記者として、中国、アジアで長く取材の現場にあった 加藤千洋さんに話していただきます。 「ポスト改革開放 . . . 本文を読む
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898話)張春さん

もう1人の功労者が1999年から聚楽郷の党書記に就任した張春さんです。とにかく現場が好きな人で、緑化部門でしばしば表彰されている人です。 中国の林業関係者のなかでは「植樹3分管理7分」という格言があります。植えるのは全体の3分で、あとの管理のほうがずっと大事だ、という意味です。ところが張春さんは「植樹1分管理9分」と言って管理の重要さをより強調していました。 いつも村人を率いて現場を回り、管理 . . . 本文を読む
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