1359話)私のこどものころ とうふ

 とうふ

村祭りのときなど、大量に必要なときは、豆腐(とうふ)も自分の家でつくっていました。ふだんは、鍋をもっていって、何軒か東にあった店から1個ずつ買いました。

いつもコメントをいただくいがさんは、疎開先で麦を粉にひくのに石臼を使ったそうですが、私のうちはモーターで動かす製粉機があったので、それを使いました。貧乏なのに、なぜかそういう作業機はひと通りそろえていました。そのためによけいに貧乏になったのかもしれません。農村に「機械化貧乏」なんてことばがでてきたのは、もっとあとのこと。

石臼は豆腐づくりに使いました。直径50cm、厚さ20㎝くらいの石の円盤が2枚重ねになっています。中心にある木製の軸で2枚をつなぎ、上の円盤を回して、2枚の間で粉に引いたり、大豆をつぶしたりするわけ。上の円盤には直径5㎝ほどの穴があり、水でふやけさせた大豆をいれると、円盤の外側に大豆が液体になってでてきます。豆乳とおからの混じったもの。ネットで石臼の画像を検索してみたら、たいていは片手で回す小さなものばかり。使っていたものはずっと大きくて、木製のハンドルを両手でもち、からだ全体を使って回していました。

そうやって得られたドロドロを木綿の袋にいれ、木製の枠(舟と呼んでいました)に載せて、上から圧をかけて搾ります。袋の外に豆乳がでて、袋のなかにおからが残る。豆乳を加熱して、ニガリを混ぜ、型にいれて固めると豆腐になり、それを包丁で切り分けて1個ずつにします。ニガリも1332話「塩」で書いたように、自家製でした。

うちで作ったのは木綿ごし。でも、絹ごしと木綿ごしは、ニガリの量で決まることで、こし袋によるのではありません。道具の出し入れに手間がかかりますから、大量に作るときだけ、こういうことをやっていました。
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