072)自然林があった!

 道なき山の斜面をかき分け、片道4、5時間もかけて登ったんですよ。稜線に立って驚きました。立花さんなんか、思わず走り出したくらい。かなりきつい斜面がびっしりと樹木で覆われています。
 主人公はリョウトウナラです。コナラ、ミズナラのなかまでドングリの木。そのほかに数種類のカバノキとカエデ、シナノキ、クルミ、その他の灌木も混じっています。落葉広葉樹です。高さは10メートル前後、胸高直径20センチまでのまだ若い林です。遠田宏さん(元東北大学理学部付属植物園長)によると「種はちがいますけど、属のレベルでは日本の東北地方や北海道と共通しています」のこと。
 驚いたのは林床に落ち葉と腐葉土が分厚くたまり、その下が黒い森林土壌になっていること。この地方の緑化の最大課題は水と土の保持ですから、これらの樹種は最適です。地元の自生樹種による緑化は将来的にも安心です。
 その後の調査で、近くに一抱え以上のナラがありました。直径20センチ以上のナナカマドもみつかりました。これは白い実で、中国でも絶滅危惧種のようです。
 詳細な地図で調べると、この山は碣寺山(1768)といい、河北省との境界から5キロの地点。この地方でも森林が成立する条件はあるようです。それなのにその他のところがはげ山ばかりなのはなぜでしょう? そのナゾを解くカギが、この森林と、登ってくる途中にありました。
  (2005年4月25日号)
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