080)塩害地

 黄土高原では山や丘陵の高いところほど土が痩せ、水が乏しく、沙漠化が深刻だとこれまで何回もレポートしてきました。しかし低い盆地にも深刻な問題があります。それは塩害です。  黄土はカルシウム、マグネシウム、ナトリウムなどの炭酸塩を多く含みます。いずれも強いアルカリ性です。雨水に溶けていちばん低い盆地の底に集り、水分が蒸発すると土の表面に塩分だけが残ります。雨の少ない春には乾いてまっ白。塩といっても塩 . . . 本文を読む
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

079)オオカミがきた!

 03年冬のことです。私たちの実験林場「カササギの森」でオオカミの子がみつかりました。「子がいるからには親もいる。だいじょうぶか?」「いや、以前は人がオオカミを恐れたけど、いまはオオカミが人を恐れる」……にぎやかな議論になりました。  その話を私が耳にしたときは、残念なことにオオカミはすでに死んでいました。それでもすぐに鷹嘴敦村の現場に駆けつけました。ジャガイモなどを貯蔵するための穴が農家の庭先に . . . 本文を読む
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

078)井戸による灌漑

雨の少ない大同の農村では、作物や植物にとっての最大の制約要因は水です。水さえ与えれば作物の出来はずっとよくなります。ですから条件のあるところでは井戸を掘って地下水を灌漑につかいます。灌漑が可能な畑はそうでない畑にくらべ3~5倍の生産性があるといわれます。  それは平年のこと。ひどい旱魃の年になると、収穫があるのは灌漑が可能な畑だけで、天水頼みの畑は収穫ゼロになります。私が調べた天鎮県の郷では、 . . . 本文を読む
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

077)新旧同居

 大同のこの10年の変化は急激です。90年代初め、私が最初にきたころは、市内の目抜き通りを馬車が歩いていました。自動車は少なく、交通信号もなかった。タクシーは外国人の泊まれる2つのホテルの前に数台ずつ。ノーメーターで、市内のどこに行くにも20元。「高すぎる!」「じゃあ乗るな!」の殺風景な会話を思い出します。  ところがいま、朝夕は車の大渋滞。道路の拡幅も急ピッチです。それにあわせて中層のビルがずい . . . 本文を読む
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

076)胡楊

 新年から始まったNHKの「新シルクロード」第1回。主役のひとつが乾燥地のポプラ=胡楊でした。「胡楊三千年」というんですね、生きて千年、枯れて千年、倒れて千年。寿命が長く、枯れてもなかなか腐らない。  おもしろい性質がほかにもあります。塩害に強く、むしろ好きなよう。葉のつけ根に塩を分泌し、「胡楊塩」といって食用・工業用にするというんですけど、どうやって集めるんでしょう?  日本の専門家が年輪を調べ . . . 本文を読む
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

075)新しい苗圃

 私たちの協力拠点=環境林センターは20ヘクタールあり、零細NGOの苗畑としては十分なはず。でも第2の苗圃建設が長年の念願でした。環境林センターは土壌の粒子が小さすぎるうえに富栄養化していて、広葉樹は問題ないんですけど針葉樹の育苗には適さなかった。むずかしい環境ですから、苗圃も2つあって2本足で歩けると安心なんですね。  国際協力機構(JICA)の草の根技術協力事業を受託し、新しい苗圃の建設をはじ . . . 本文を読む
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

074)協力関係をつくる

 大同の私たちの協力プロジェクトを訪れた人たちが感心してくれます。とくに「こういう関係がどうしてできたんですか?」といって。私の答えはいつもいっしょで「相手に恵まれたんですよ」。中国でも評判になり、以前のカウンターパートの責任者、祁学峰はあちこちで講演を求められました。つぎの4項目を彼は強調したそうです。  1)誠実(真誠)につきあう。双方の関係は平等であり、自分の本当の気持ちでつき合わないといけ . . . 本文を読む
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

073)自然林の再生過程

 碣寺山の自然林はまだ若い林です。何度も破壊されたあと自然に再生してきたもののようです。経緯を知るために数本の木を伐り、年輪を調査しました。  この森の木は78年ごろ、かなり徹底的に伐られています。一部が難を逃れ、10メートルほどに育ちました。切り株から萌芽更新したものが次のクラス。種から育ってきたものもあります。  それ以来、山は荒らされていません。なぜ?登ってくる途中に大面積のアブラマツを植え . . . 本文を読む
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

072)自然林があった!

 道なき山の斜面をかき分け、片道4、5時間もかけて登ったんですよ。稜線に立って驚きました。立花さんなんか、思わず走り出したくらい。かなりきつい斜面がびっしりと樹木で覆われています。  主人公はリョウトウナラです。コナラ、ミズナラのなかまでドングリの木。そのほかに数種類のカバノキとカエデ、シナノキ、クルミ、その他の灌木も混じっています。落葉広葉樹です。高さは10メートル前後、胸高直径20センチまでの . . . 本文を読む
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

071)山のかなたの自然林

98年夏のことです。霊丘県の技術者の李向東が「自然林があり、こんな太い木があります」といって、一抱え以上のポーズをとります。私たちの代表=立花吉茂さんにいわれて、周囲の植生を調べていました。しかし、にわかには信じられません。  「遠くない。村から2里ほどです」といいます。中国の2里は1キロ。すぐにでかけました。歩き疲れて、途中でであった村人に尋ねると「すぐだ、2里ほどだ」。また歩いて歩いて、で . . . 本文を読む
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )