1326話)日中水フォーラム(2004年、北京)での発言(2)

私たちの本業は木を植えることですが、ささやかながら、水のプロジェクトにも取り組んできました。農村で井戸を掘ったことはすでに話しました。それから私たちの拠点の環境林センターで、小さな汚水処理施設をつくりました。ここには20ヘクタールほどの苗圃があり、苗づくりには水が必要です。日本の外務省草の根無償資金協力の支援で、井戸を掘りましたが、地下水位が急速に低下するなかで無神経に水を使うわけにはいきません。 . . . 本文を読む
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1325話)日中水フォーラム(2004年、北京)での発言(1)

前回に2004年4月に北京で開催された日中水フォーラムで発言したことを書いたら、当日、会場で私の話をきかれた方がコメントしてくださいました。うれしいですね。それに刺激されてさがしたら、そのときの発言原稿を私が以前に送っていたメルマガ「黄土高原だより」に残していました。長文ですので2回に分けて掲載します。 私たち緑の地球ネットワークは1992年から山西省大同市の農村で緑化協力事業を継続してきまし . . . 本文を読む
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1324話)水不足はウソだったのか?

一時期、盛んだった「中国崩壊論」。中国をおとしめるために意図ある人たちが流しつづけたものだと私は思っていたんですけど、2月4日の朝日新聞に、それは中国政府が流したものだというインタビュー記事が載りました。発言の主はマイケル・ピルズベリー米国防総省顧問で、トランプ大統領、ペンス副大統領も彼の主張を重視しているそう。 米国の歴代政権は中国にある種の期待感を抱いてきたのではないかという記者の問いに「中 . . . 本文を読む
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1175話)小五台山(その入り口)1

以前にも書いたかもしれませんが、蔚県の地形はみごとに3つに分かれます。 中央部は東西に長い盆地で壺流河とその支流の両側に広がっており、標高は900m前後で、県の面積3220㎢の30.7%を占めます。 南部は深い山地で、平均海抜は1500~2000m、県の面積の35.4%です。 北部が黄土丘陵と低山で、海抜は1000~1500m、県の面積の34.7%を占めます。 今回紹介する小五台山は、南部山地の最 . . . 本文を読む
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1148話)乾燥地に広大な湿地

 壺流河は西隣りの大同市広霊県に発していますが、河とはいっても出発点近くは流れがありません。県城の外れに水神堂という池があり、池の底からきれいな水が湧きだしています。その水が流れ出て、壺流河が流れを取り戻します。 蔚県にはいると、壺流河水庫というダムもあります。壺流河は東進し、蔚州古城のすぐ北を流れます。蔚州古城は、この壺流河に堀の役割をもたせたといっていいでしょう。  蔚州古城の城壁の北端に . . . 本文を読む
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945話)河北省の嘆き

せっかく王快ダムに行ったんですけど、霧が濃くて、ダムの全体像はつかめませんでした。ダムの内側にも石が敷きつめてあり、なだらかな斜面になっています。水際まで降りてみました。きれいな水だったことは前回に書きました。 飛び飛びの水平線状に多年草の生えているところがありました。そこから下に草はありません。その線まで水があったということでしょう。その線から現在の水面までは高低差にして8mほどあります。初め . . . 本文を読む
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944話)王快ダム

大沙河と王快ダムを見ることになったのも偶然からです。大同から河北省保定市の定州市に行くルートは、ふつうなら淶源経由で国道を行きます。ところが2010年8月、霊丘から淶源に抜ける道が工事中で通れなかったんですね。しかたなく、山西省の応県から河北省の阜平県に抜ける大回りのルートをたどったのです。 こういうトラブルや障害をいやがってはいけないと思うのです。そういうときに新しい発見があります。いつも同じ . . . 本文を読む
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943話)大沙河

大沙河です。大同市の霊丘県南部の山中から流れだします。もちろんほかにもいくつもの源流をもっています。 この写真に万里の長城が写っています。明代のものだそうで、きちんと長方形に成型した花崗岩の土台のうえに築かれ、表面には黄色っぽい焼成レンガが張られていてとてもきれいです。その後、修理はされていないようですし、風化もしていません。この小さな写真ではみてもらうことができないのが残念です。名前に「大」が . . . 本文を読む
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942話)南水北調の水路

前回の話を読まれても、なんのために書いたのか、わからなかったと思います。じつは大同市の南部も、北京の水源になったのです。 2010年夏のことです。大同を出発し、私たちは車で河北省保定市定州市をめざしました。市が2つ重なっているのは書きまちがいではありません。前が「市級の市」であるのにたいし、後は「県級の市」と呼ばれるものです。定州市には広大な苗木産地があり、私たちはそこに行きたかったのです。 . . . 本文を読む
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941話)滹沱河と崗南ダム

水問題について書いてきて、南水北調まできたので、終わりにしようと思っていたのですが、まだちょっと書き残したことがあります。 写真は忻州市繁峙県で撮った滹沱河(こだが)で、大同市の渾源県、霊丘県との境界付近の山地から流れだします。中国では河がよくごみ捨て場になるんですが、ここもそうです。しばらくは東から西へ流れたあと南下して五台山の西を流れ、東へと進路を大きく変えて河北省に流れ出ます。そして、崗南 . . . 本文を読む
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940話)南の水を北に運ぶ

水資源は中国の南部に集中し、人口、経済、耕地などは圧倒的に北部が大きいとなると、どうするか? 中国が計画した切り札が、南の水を北に運ぶ、というものです。長江水系の水を黄河を越して北へ運ぼうというものです。南水北調と呼ばれます。 3ルートが計画されました。長江と黄河は河口は離れていますけど、源流付近は近いのです。支流同士をつないで、長江の水を黄河に流そうというのが西ルートで、高山の永久凍土地帯を通 . . . 本文を読む
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938話)南北の水資源のアンバランス

地球儀か世界地図があれば、グルッと回してもらいたいところです。とりあえず北半球でいきますけど、低緯度のところは一般的には降水量が多いのです。そして、高緯度のところは気温が低く、蒸発量が少ないこともあって、水に困ることは少ないようです。 水不足が問題になるのは、たいてい中緯度のところで、大阪、東京あたりと同緯度の北緯35度付近は世界的にどこも砂漠もしくは砂漠化地域なんですね。じゃあ、ヨーロッパで北 . . . 本文を読む
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937話)下がる地下水位

北京市水利局の代表によると、2000年の北京の地下水利用は27億m3に及び、全体の67%を占めていました。水だって資源ですから、当然限りがあり、供給量を上回って地下水を使用すれば、減っていきます。 そのようすを示したのが地下水位を推定したこの図です。北京市の中心部を東西に横切る長安街のあたりの断面図ですね。天安門のすぐ南あたりを考えていただけるといいです。1981年は1959年に比べ、地下水位が . . . 本文を読む
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936話)北京の水はどこから?

2004年4月に北京で開催された日中民間水論壇で北京水利局の代表の発表から私はたくさんのことを学びました。そして、その発表のパワーポイントのデータをもらって帰ったのです。 北京で使われている水の来源はどうなっているでしょう? このデータは2000年のものです。圧倒的に地下水ですね。単位は億m3です。 官庁ダムのことを、私は2つしかない北京の水ガメの1つ、したがって大同は北京の水源だ、というよう . . . 本文を読む
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935話)北京の水

2004年に北京で開催された日中民間水論壇での私の発言の題は「後ろ姿の北京は砂上の楼閣?」だったんですけど、もっと過激な表現も北京にはあったのです。具体的な名称をあげると、「な~んだ」ということになりますので、ビルの名称は隠します。屋上にこのような大きな看板がありました。 「水…明日もまだあるだろうか」とあるのです。 そして、そのときの北京市水利局の幹部の報告は驚くべきものでした。そのさいに使 . . . 本文を読む
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