068)農村で娘をもつ(1)

 昨年3月末、広霊県苑西庄村の農家でツアーが一泊したときのことです。村の小学校の先生が女の子の頭をなでながら話しました。
 「この子は勉強がすきで、よくできます。この学校で学ぶのは低学年だけで、4年生以上は隣り村の学校に通いますが、そこでもずっと1番。まもなく卒業ですが、家庭が貧しいうえに弟が2人いるので中学校にはいけません」その子は両手で顔をおおって泣きだしました。日本からきた人たちもみな泣いたのです。
 中国でも義務教育は6+3の9年制ですが、貧しい農村では小学校を卒業できない子も珍しくありません。学校にやるのは男の子優先で、失学する率は女の子のほうが高いのです。農家の土塀に「文盲は娶るな!」と書かれていることでもそれがわかります。ずいぶんなスローガンですけど、女の子も学校にやるよう呼びかけているんですね。
 なんとかしたいと考えてはじめたのが小学校付属果樹園です。この村でも2000年からアンズを植えていますが収穫は06年ごろから。水のない村だったので、井戸を掘るところからスタートしたため、ここまでくるのに10年かかりました。この子のためにはまにあいません。
 私としては、個人的な支援は避けたいと思っていました。学校にいけない周囲の子がより不幸にならないか心配だったからです。でも今回はしかたありません。私が名乗り出ることにしました。
   (2005年3月15日号)
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