063)ゆとりの冬

民は食を以て天と為す、と中国では言われつづけてきました。生きること、食べることがどんなにたいへんであったかを示しています。沿海地方の急速な発展ぶりをみると、死語になったように思えますけど、自然災害オンパレードの黄土高原の農村では、まだまだそれが現実。
 ところで2004年は、けっこうな豊作だったのです。4月末までは天候不順で雨が降らず、どうなることかとハラハラしましたが、5月以降は雨に恵まれました。7~8月なんか雨が多かったのに加え、曇りの日が多くて蒸発量も押さえられました。日照不足と低温障害を心配したくらいで、こんなことは私もはじめて。
 年末に農村を回ると、収穫後の穀物が、屋根の上や庭に干してありました。トウモロコシはいつもの年よりずっと大きく、実がよく膨らんでツヤがあります。なるほど、充実という言葉はここからでたんでしょう。脱穀の終わったものは麻袋に入れてしまいこんであります。必要な時期に、必要なだけの雨が降ってくれれば、この地方の農村もずっと潤うんですけどね。
 農家の人たちもおだやかな、いい表情をしています。でも、いくら豊作でも、それをみな食べつくすようなことはしないんですよ。凶作に備えて、最低一年分は備蓄しようと心がけます。困難な環境で慎ましく生きる人たちが報われる、そんないい年になってほしいと、心から願っています。
  (2005年1月25日号)
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