1289話)広霊県苑西庄村(6)

撮影クルーと私とで1軒の農家に泊めてもらったんですけど、その家にはかわいい女の子・ビンビン(彬彬)がいました。というか、クルーが学校に行って、生徒たちのなかからビンビンを選んで、一家の生活を撮影することに決めたのです。 この子の父親は朝暗いうちに天秤棒をかついで水汲みにでかけます。クルーはそのあとを追います。ビンビンがその水で顔をあらう場面を撮影します。 短く切った車のタイヤが水桶としてつかわ . . . 本文を読む
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1288話)広霊県苑西庄村(5)

1997年のことです。テレビ朝日が「素敵な宇宙船・地球号」シリーズ(トヨタ自動車提供)の番組を私たちの協力地で撮影するが決まり、当然、そのなかに農村生活は欠かせません。黄土高原の切り口として、水がいちばん重要でしょう。 私の頭に最初に浮かんだのは、天鎮県李二烟村です。あそこは村の横の谷底に小さな湧き水があり、村の人はその水を天秤棒で担ぎ上げて暮らしています。 ところが県政府の意見は「撮影は問題 . . . 本文を読む
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1287話)広霊県苑西庄村(4)

苑西庄村のたいへんさは、通り一遍の貧しさだけでなく、飲み水にすら困ることです。以前は村のあちこちに井戸があったそうですが、つぎつぎに涸れ、私たちが訪れたころには水のでる現役の井戸は4つしかありませんでした。 村の男たちの朝いちばんの仕事は水汲みです。天秤棒の前後にバケツ2つを下げ、暗いうちから井戸の前にならんで順番を待ちます。遅くなるほど水が濁り、ついにはなくなってしまいます。そうなると、つぎの . . . 本文を読む
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1286話)広霊県苑西庄村(3)

なぜかこの村のことがその後も気になって、1996年の春にまた訪れました。最初に訪れたあの家は1995年秋の長雨で倒壊していましたが、老夫婦は無事でした。 村の入り口に小学校があります。女の先生が1つの教室で1年から6年までの生徒を教えていました。この先生と親しくなり、いろんな話をきいたのです。 その先生は私よりかなり若いのですが、文化大革命の洗礼を受けた人です。大寨のそれが有名ですけど、各地に . . . 本文を読む
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1285話)広霊県苑西庄村(2)

1994年3月に初めて苑西庄村を訪れたときのことを思いだすと、なぜか薄汚れたヒツジのイメージが浮かんできます。毛のうえからでも痩せているのがわかったくらいです。 一軒のあばら家にはいりました。あけすけにいうのは失礼ですけど、1995年の長雨でこの家はつぶれてしまいましたので、こう呼んでも差し支えないでしょう。 老夫婦と5歳くらいの男の子が夕食を摂っていました。若夫婦は出稼ぎにいっているとのこと . . . 本文を読む
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1284話)広霊県苑西庄村(1)

広霊県苑西庄村を最初に訪れたのは1994年3月です。村に着いたのは夕方、小雪がちらついて、貧しい村がいっそう貧しく感じられました。 最初はこの村を訪れる予定はありませんでした。同じ郷の幹線道路近くにある楊窰村に小学校付属果樹園をつくる計画で広霊県を訪れたら、さらに奥にひどく貧しい村があるというのです。 3年つづきの旱魃で食糧も尽きかけているうえに、飲み水にも苦労しているとのこと。 私はぜひ行 . . . 本文を読む
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1283話)高速道路のトンネル

大同市の南部は太行山脈とその支脈の恒山山脈に属しているところが多く、そこを貫く高速道路にはトンネルが多いのです。 今回、はじめてみたのが、トンネルの壁に沿って描き出されるドーム状の線。反射シートに車のライトがあたって光っています。 おもしろいだけじゃなく、運転がラクで、安全につながるようにも思えます。私は助手席に座っていて、運転しているわけではないので、たしかではありませんが。 こういう工夫 . . . 本文を読む
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1282話)霊丘県城の激変

ホテルの7階の部屋の窓から撮っています。太白維山です。地元の人は観音様が寝ているといいます。そうみえますか? 私が「おかしいじゃないか。おっぱいも、おちんちんも膨らんでる」というと、「だから観音様なんだ。観音様は男でも女でもない」と返ってきます。 南天門自然植物園にいくときはバイパスを通って、久しく県城に入りませんでしたから、ほんとに驚きました。街がものすごく大きくなっているのです。かつての1 . . . 本文を読む
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1281話)養蜂

台風21号の被害にあわれた方にお見舞いいたします。今日はまた北海道で地震です。日本列島が災害多発期を迎えていないか気になります。 黄土高原のレポートに戻ります。これは中国の養蜂家です。しごとが忙しそうだったので、声をかけそこなったのですが、中国の養蜂はものすごく広い範囲でおこなわれます。 以前にであった人は浙江省の人で、いったんハルビンまで北上し、南下してきて渾源県にいる、といっていました。そ . . . 本文を読む
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1280話)釣り

蔚県の湿地をまわっているとき、立ち小便しようと思って、ひとりでヒメガマのかげにはいったら、そこで釣りをしている人がいました。すぐに小魚がかかったんですね。針を飲み込まれて、はずすのに苦労していました。で、ちょっと話しかけ、写真を撮らせてもらいました。 この魚、白条というそうで、じつは官庁ダムのそばの食堂で、からあげを食べた、あの魚です。おいしかったと思うのに、この人は捨ててしまいました。外道だか . . . 本文を読む
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1279話)さかな料理

話はさかのぼって、8月22日、北京空港から張家口市蔚県にむかうときのことです。八達嶺の先で高速道路を降りて、地道を走るんですけけど、官庁ダムに接した店で魚料理を食べました。お目当てはが嘎魚(ガーイ)というギギのなかまで、ほかの種類の大きな魚、豆腐、野菜などをいれて大きな鍋でごった煮です。 ほかに淡水エビ、白条魚のから揚げもついて、300元。4人が腹いっぱいで大満足しました。蔚県に到着したのは8時 . . . 本文を読む
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1278話)ハダカエンバク(莜麺・莜麦)

大同の農村で主食についてこういう言い方があります。「三十里的莜麺,四十里的糕,十里的蕎麺餓断腰」 訳すまえに注釈。麺というと日本ではうどん・そばのように長いものを想像しますが、中国では粉にひいて食べるものが麺です。うどんは麺条、パンは麺包…。そして中国の一里は500mです。 莜麺はハダカエンバクの麺で、生のものは莜麦といいます。糕は黄米糕でキビもち。そして蕎麺はソバですね。 15㎞のハダカエ . . . 本文を読む
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1277話)ごっちゃごっちゃ

大同でツアーのみなさんとバスで移動しているとき、こんな冗談を話したことがあります。 ここで運転する資格のある日本人は大阪人だけです。なぜならここでの運転には4つの要素が必要だからです。 第一に、技術。 第二に、判断力。 第三に、度胸。 そして第四に、ずうずうしさ。 でも、大阪からきたプロの運転手が、こんなところでは運転したくない!といいました。大阪人もおとなしくなったのです。 蔚州古城とその . . . 本文を読む
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