377話)野のキク

 足元に野生の菊が咲いていました。まだ三分咲きといったところですが、小ぶりの花が満開になると、黄色がパッと目を引いて、ほんとにあざやかです。以前にも書きましたけど、ここの花は色が鮮やかで、透明感があります。北緯40度、海抜は大同の市街地で1000mはあります。ここは山で海抜1500mを超えているのです。  夏は日差しがつよく、カーッと照ります。植物はそこでしっかり光合成をいたします。夜間は気温が . . . 本文を読む
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376話)ヤナギハグミ(沙棘)

 ブッシュのなかを薮こぎし、谷沿いに移りました。こちらも踏み分け道で、灌木の生育のいいところは道が途切れてしまいます。そこにひときわ鮮やかな色の実をつけた木がありました。ヤナギハグミ(沙棘)です。この地方に多く自生している木ですが、ことしは実がちゃんとついているものは少なかった。旱魃のせいです。ここは地形からみると低くなっており、土が湿っています。伏流水はかなりあるのでしょう。  なかなかおもし . . . 本文を読む
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375話)カンバ林

 なんとか林までいきたいんですけど、道がなくなり、ブッシュが濃くなって、藪こぎも抵抗が大きくなってきました。前方には、カンバの林がみえてきているのにザンネンです。でも、この距離でみるかぎりでは、シラカンバを中心に数種類のカンバだけのよう。私は、ナラが混じっていることを期待していたんですけど、それはないようです。  で、引き返そうと考えたのです。そしたら小郭が、谷筋をとおったら、森林に接近できる、 . . . 本文を読む
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374話)岩

 中国で売られている地図で、日本をみると、「北海道島、本州島、四国島、九州島」と書かれています。「日本列島」と日本でもいいますから、まあ、それが島であるのはまちがいない。ふつうの日本人は、でも、本州を島とは考えていないでしょうね。  それを相似形に縮小したように、中国の風景はみな、でかいんです。この秋林峪にはいってから、右をみても左をみても、両側には(おそらく)花崗岩の岩壁がつったっています。そ . . . 本文を読む
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373話)ブッシュで身動きつきません

 谷の奥のカンバ林にむかって歩きます。最初は沢筋を歩いていたのですが、それだと森林にたどりつくのがむずかしそう。で、尾根すじと、平たいところにルートを変えたのです。しばらくは、ちゃんと道のあとがありました。もともとは道だったんでしょうけど、そのあとは踏み分け道のようになっています。ずっとブッシュが茂っていますけど、なんとか歩けます。  ブッシュというのは、バラ科シモツケ属、カバノキ科ハシバミ属の . . . 本文を読む
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372話)谷の奥の樺林

 谷のずっと奥のほうの斜面に、森林がみえてきました。まっ正面と、右側、左側と、大きく3つに分かれています。緑が濃くみえ、固まっているのは、おそらくアブラマツ(油松)の人工林でしょう。そのほかの、緑がやや薄くみえるのは、シラカンバなどカバノキ科の樹木の自然再生林のようです。  まっ正面のところが、なんとなく気にいったので、そこをめざすことにしました。大同事務所の小郭と小李が同行しているので、「先 . . . 本文を読む
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371話)リンドウ

 秋の花には紫色が多いと思いません? このブログに書いたものでも、トリカブト、ヒゴタイ、マツムシソウといったものがあります。大同ではほかに、ヒエンソウ(デルフィニウム)、キキョウといったものが、すぐに浮かびます。    季節と花の色というふうに考えると、春先は圧倒的に黄色です。そして、白花や赤花がでてきて、秋になると紫色。交配に関与する昆虫の好みと関係があるそうですね。もちろん、例外はありますけど . . . 本文を読む
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370話)陽高盆地遠望

 登ってきた道をふりかえってみました。この谷の構造がよくわかります。ここの地名は「秋林峪」というんですけど、「峪」の字の意味はこういうことなんでしょうね。よけいなことですけど、私の最初の中国の農村体験は1971年の大晦日で、そのときもホームステイしました。河北省の沙石峪という村で、刻苦奮闘の農村として、当時はよく知られていたのです。  その先に、陽高の盆地がみえます。こうやってみると、なかなか豊 . . . 本文を読む
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369話)毛糞

 足もとに白っぽい糞がみつかりました。肉食獣のものです。ひょっとすると、オオカミの糞かもしれません。なぜ、そんなことがわかるかというと、この糞は動物の毛でできているからです。「毛糞(マオフェン)」と呼びます。毛や皮ごと、食べてしまうんですね。そして、毛は消化されないで、こうやって糞になって排出される。  のろしを「狼煙」と書くのは、その昔、オオカミの糞を燃やしたからだといわれます。そうすると、煙 . . . 本文を読む
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368話)花崗岩の岩壁

 溶岩の急な坂を上りきり、狭い谷の口をぬけると、左右に花崗岩と思える黄色い岩壁がでてきます。そして真正面には森林らしきもの。でも、そこまで到達するにはかなりの距離を歩かないといけません。で、このブログにおいて述べるのも、まだまだ先になります。  自然の岩壁とばかり思っていても、よく観察すると、そこに人手のかかっていることがわかります。かつて畑として耕されていたんですね。石で組まれた窰洞(ヤオトン . . . 本文を読む
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367話)谷の入口の火山

 「背には峨々たる六稜山……」の六稜山が、秋林峪の舞台です。六稜山というのは渾源県・大同県・陽高県・広霊県から河北省の蔚県にまたがる山脈で、その主峰は黄羊尖(2420m)、大同市でもっとも高い山です。大同の山は北側はほぼ垂直の断崖で、南側はなだらかな斜面になっていることが多いのですが、この山も例外ではありません。  あちこちに頭をだしている岩から推測すると、この山も花崗岩でできています。そして凹 . . . 本文を読む
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366話)秋林峪

 目的地は陽高県友宰鎮秋林村の奥にありました。大同市内からは高速道路をつかえば、そう遠くないのですが、なんどもなんども道草をくいましたので、朝8時半に出発し、入口に到着したのは11時。野外で食事のできる準備をいちおうしてきましたが、先に食事をして、それから登ることにしました。  この奥に秋林峪があり、そこには瀑布や「原始密林」があって、たくさんの樹木が生えているそうですけど、自分の眼で確かめるま . . . 本文を読む
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365話)ブドウ畑

 桑干河の流域、そしてとくに河に近い農村は、この地方ではもっとも恵まれた環境だと私は思います。河じしんに水は乏しいとはいえ、伏流水はありますし、周囲にも水分は多いからです。  ブドウの畑もかなりの面積がありました。この旱魃にもかかわらず、けっこうよく実がついています。考えなおしてみたら、ブドウは乾燥地の産物ですよね。新疆ウイグル自治区でたくさん栽培されていましたから。でも、あそこは天山山脈の雪解 . . . 本文を読む
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364話)滔々たる?桑干河

 秋林峪にでかけるまえの晩に、インターネットでそれを検索したら、「前には滔々たる桑干河、背には峨々たる六稜山……」という表現がみつかりました。引用された文で、原文がいつのものかはわかりません。桑干河に水がないことは私もみていますが、水のある場所がどこかにないともかぎりません。  桑干河を写真のところで渡りました。私は、以前にここにきたことがあるのを思い起こしました。1999年、この一帯で地震があ . . . 本文を読む
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363話)旱魃のトウモロコシ

 専門家を9月6日夜に見送ったあと、私に1日だけ余裕ができました。まだ行ったことのない周辺地域をみておくことはたいせつですけど、その日の夜行列車で北京にでますので、遠出はできません。運転手の小郭のすすめで、陽高県の秋林峪をみることにしました。これから数回、その見聞を書きましょう。  途中の広大な畑で、作物のできがきわめてよくありません。ことしの旱魃では、南の霊丘あたりでは多少の雨が降りましたが、 . . . 本文を読む
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