450.話)津波のおそれがあったのにねえ。

 このところ、ストレスがたまっています。うまくいかないことが多すぎます。こういうときは、からだを動かすにかぎる。さいわい、陽気は春めいて、あたたか。午後から、自転車をこごうと思いました。近くで、いいのは武庫川の河川敷の遊歩道です。  「それだったら、甲子園浜にいってみたら。阪神間で唯一の干潟だよ」と、息子たちがいいます。行ってきました。往復35km。砂浜、石浜、狭いところにいろいろあります。そん . . . 本文を読む
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449話)ヤマシャクヤクの芽

 仙台出張から昨晩、帰宅しました。たった2日間、留守にしただけなのに、庭のようすが変わってきています。あしたから3月。もう春ですね。  歳のせいもあるんでしょうけど、園芸ものの花よりは、野生のしぶい花のほうがすきになったんですね。私にとってのあこがれは、ヤマシャクヤク。近所には園芸屋さんがたくさんあって、この時期には店先にならんでいるんですけど、できあいのすぐ咲く花を買うのはすきではありません。 . . . 本文を読む
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448話)べつの地域では?

 南天門自然植物園における森林再生は、私たちの期待以上のスピードですすんでいます。その南天門、地図で確認していただきたいのですけれども、大同市最南部の霊丘県の、そのまた最南部にあり、河北省との省境からすぐのところです。    大同市の南の地域での森林再生の行方には、いくらか筋道がみえてきました。中心となる樹種はナラをはじめとする落葉広葉樹のようです。それはこの地方の最大の課題、水土の保持という面か . . . 本文を読む
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447話)ナラの林のもつ意味

この写真は昨年夏に撮影した南天門自然植物園の全景です。山の上のほうで緑が濃くなっているのがわかると思います。海抜1100m以上のところで、ナラなどの生育がいいのです。 ここ数年、私はおもに河北省と山西省の境界にある太行山などの山を歩きつづけています。そのなかで森林の再生が順調にすすみつつあるのをみていますが、でも、その多くはカンバ属のもので、ナラはあまりみられません。南天門自然植物園 . . . 本文を読む
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446話)日向斜面のトネリコ

 遠くからみると、ほとんど植物がないようにみえる日向斜面(陽坡)でも、近づいたときの印象はずいぶんちがうものです。これは南天門植物園の陽坡のようすで、日陰斜面にはとうてい及びませんけど、日向斜面でも植生が急速に再生しつつあります。日向斜面にこれほどの植生があるのは、この地方では例外といっていいと思います。  多いのはトネリコのなかまとニンジンボクです。このトネリコは中国語では「小葉白蝋樹」で、日 . . . 本文を読む
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445話)陰坡と陽坡

 樹木の育ちやすいのは北向きの日陰斜面で(陰坡)、南向きの日向斜面(陽坡)は植物が育ちにくい、と機会あるごとに話しています。南天門自然植物園においても、それは典型的にでています。この写真、左下の緑の濃いところが陰坡です。それ以外のところは陽坡。  陽坡で植物が育たないのは、まずは乾燥のため。それから日較差が大きすぎることも原因のよう。冬の日、夜間の冷えで植物の細胞が凍っているところに、急に朝日が . . . 本文を読む
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444話)林の内部

 3回ほど以前に、北向き斜面に広葉樹が育っているようすを、林の外からの写真でみてもらいました。では、その内部はどのようになっているのでしょうか。夏の葉が茂っているときの写真は、緑が多くて、見栄えはよくても、林の内部のようすはわかりません。ですから、林の成り立ちや樹形など、林の内部を観察するには、葉のない時期のほうがいいんですね。でも、葉がない状態だと、どれがなんの木か、熟練した人でないとわかりま . . . 本文を読む
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443話)落ち葉

 ナラが育ってくるにつれて、枯れ葉や枯れ枝の量がふえてきます。それが分解されて土が肥えますから、樹木はいっそうよく育ちます。すると枯れ葉や枯れ枝の量もふえて……。ということで、あるところまでくると、良性の循環がはじまるんですね。  それにしても、落ち葉の層が、日本でもなかなかみないくらい厚いんですよ。樹林はまだ若いのに。私は、低温と乾燥のために分解が遅いためにそうなのだろうと、かってに考え . . . 本文を読む
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442話)株もとから何本にも

再生しつつある林にはいってみましょう。主人公は数種類のナラです。大きいものは、高さ12~13m、胸高直径20cm近くにもなっています。目につくのは、同じところから、何本もの幹が立ち上がっていることです。最初にみたときは、専門家のあいだでも、その原因について意見が分かれていました。たとえば、「ネズミやリスが、ドングリを集めて、穴のなかにしまいこみ、それが発芽した可能性がある」というもの。 . . . 本文を読む
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441話)緑が濃くなる北向き斜面

南天門自然植物園で、最初に緑が濃くなっているのは、海抜1100mより上の、北向きの日陰斜面です。中国では陰坡といいます。中心になっているのはナラで、最初のあいだはリョウトウナラ(遼東櫟)とばかり思っていたのですが、最近になってモンゴリナラ(蒙櫟)が混じっていることがわかり、さらにカシワ(槲樹)が混じっている可能性もあります。 それが2重構造になっているようです。層は樹高の高いモ . . . 本文を読む
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440話)日本の専門家の指導

南天門自然植物園には、毎年、たくさんの日本の専門家が訪れ、調査に参加し、さまざまなアドバイスを残してくれます。学会の会長クラスのかたも何人もこられるので、「どうしてこんな人が……?」といわれることがしばしばです。 なんといっても、自分が蓄積した知識、技術、経験といったものが、こういう地域の緑化に生かされるのがうれしいし、楽しいんだと、私は推測しています。現場の中国側の連中もほんとに熱 . . . 本文を読む
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439話)苗を育てる

 放牧と柴刈りを止めると、敷地内に大きな変化が起こりました。まずは草や灌木が茂りはじめ、それまでせいぜいヒザの高さだったものが、腰や胸の高さになり、種類も変わってきたのです。以前はキンポウゲ科をはじめとする毒のあるものと、トゲのあるものにかぎられていたのが、ハギやウマゴヤシなどマメ科のものなどが増えてきたのです。  近くの自然林で種を集めて、苗を育てることもはじめました。最初の張り切りよう . . . 本文を読む
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438話)管理棟

 86haの敷地を確保し、植物園建設を開始するにあたって、近くの村と協定し、この敷地内では放牧と柴刈りをしないことを約束してもらいました。でも、約束だけでは信じられないんですね。無用な進入ができないように、敷地のグルリに鉄条網を張ろうかと考えたんですけど、そんなもの破られたらそれで終わり、ということで、いろいろ考えた末、トゲのある植物を境界上に植えたのです。ニセアカシア、ヤナギハグミ、灌木性のナツ . . . 本文を読む
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437話)はじめての植栽活動

 起工式のあと、参加者でさっそく植栽に取り組みました。「植物園」を冠するのですから、いろんな種類の木を植えたいんですけど、そんな苗木の準備はどこにもありません。地元で一般的なアブラマツ(油松)の苗木を植えるしかありませんでした。  立花吉茂先生は、交野市私市にある大阪市立大学理学部付属植物園をはじめ、いくつもの植物園建設にかかわってきた人ですが、その先生がよくいわれました。動物園だったら、 . . . 本文を読む
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436話)起工式

 “南天門”自然植物園の起工式をもったのは、1999年4月でした。いまになって考えると、大きな意味をもつスタートだったと思うんですけど、参加したのは日本からのツアーと、一握りの近くの村の人たちでした。ああそうそう、NHK-BS2の番組「地球に好奇心」シリーズで75分番組がつくられることになり、その取材がありましたね。私も被写体の1人であったために、ビデオや写真もあまり撮れていません。残念なことで . . . 本文を読む
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