789話)マツを植える

 植えます。采涼山で植えたのは、大部分がモンゴリマツ(樟子松)です。このころは3年生の小苗を植えていました。地上部が10~15cmくらいで、草のように頼りなくみえたのですね。日本からのボランティアは「ええっ、こんなんでちゃんと育つんですか~?」といって半信半疑。  溝の底に植えるんですけど、溝のまん中ではなく、下手にできた溝と土手とでできる土の壁に沿わせて植えます。このプロジェクトは典型的な南斜 . . . 本文を読む
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788話)植えるまえの整地作業

 マツの苗を植えるまえの整地作業です。たいていは前年の7~9月、雨のふる時期におこないます。なぜか? あの黄土、春先の雨のふらない時期はカチンカチンに乾いていて、スコップの刃も立たないくらい。すこしでも水がはいると、とろとろになります。春に穴を掘って、苗を植えようとしても、能率があがりません。雨期に整地をし、土を和らげておくから、春先、効率よく苗を植えることができるわけです。  ゆるやかな斜面の . . . 本文を読む
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787話)采涼山プロジェクトの起工式

 これまで現地の状況を紹介してきたんですけど、これからしばらく、私たちがこれまでにやってきたことをみてもらいたいと思います。  まずは防護林の建設。山や丘陵のうえのほうにグリーンベルトをつくれば、土壌侵食(水土流失)を防止、もしくは軽減することができます。植えているのは主に3種類のマツ(油松、樟子松、落葉松)で、マメ科やグミ科の潅木を混植してきました。これらの木が育てば、風砂の防止にも役立ちます . . . 本文を読む
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786話)環境破壊と貧困の悪循環

 これまで話してきたような内容をチャートにして、「環境破壊と貧困の悪循環」と名づけました。それが繰り返されるなかで、土壌侵食と砂漠化がすすむわけです。最初に緑化協力を思い立ったころは、「砂漠化? じゃあ、木を植えればいい」といった単純な考えだったんですけど、現地で見聞を重ねるうちに、少しずつ、考え方が変わってきたわけです。  砂漠化といっても、その形態は地方によってちがいますし、その原因もちがい . . . 本文を読む
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785話)水汲み

 力仕事のなかでも、もっともたいへんなのが水汲みだと思います。水不足の村にもいろんなタイプがあります。たとえば、広霊県の苑西庄村では、1997年当時、水のでる井戸は村のなかに4つでした。合計で1日にバケツ100杯くらいをくみ上げることができます。村人の数は150人。 あるじたちは、朝まだ暗いうちに、井戸にきて順番を待ちます。ツルベを落として汲むんですけど、あとになるほど水が濁ります。さらに遅れる . . . 本文を読む
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784話)男手がないと暮らせない

 この写真の背後にみえているのは万里の長城です。そして、そのむこうは内蒙古自治区。このような黄土丘陵では、貧しい農村ほど、農家1戸あたりの耕地は広くなります。土地がやせ、水条件が悪く、生産性が低いので、広くないと暮らせません。そういう村は小さくて、農家数が少ないので、広い耕地が可能なんですね。  低いところの盆地の村では、ウマ、ウシ、ラバ、ロバなどの大家畜を飼って、農耕につかうことも可能なんです . . . 本文を読む
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783話)男の子がほしい!

 男の子がほしい、というのもこどもがふえる原因です。男の子が生まれるまで生もうとするので、こどもがふえるわけです。この看板には、女の子をだいじにするのは、民族の未来を見つめることだ、という意味のことが書かれています。女の子も後継ぎだ、とか、男の子も女の子もどっちもいい、といった、同じようなスローガンもたくさんあります。たくさん書かれているのは、そうでない現実が強く存在するからなんですね。  長く . . . 本文を読む
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782話)こどもが大好き

 私がこどものころは、「貧乏人の子沢山」という言葉が、日本でも現実でした。大同の山間や丘陵の農村では、それがいまでもつづいています。貧乏な村ほど、こどもの数が多いんですね。  というと、中国のことをちょっと知っている人は、「えっ、中国は1人っ子じゃないの?」といいます。農村でも計画生育が実施され、事実上は2人っ子政策なんですね。3人目からは罰金が課せられるし、さまざまな圧力があるようです。   . . . 本文を読む
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781話)柴刈り

 森林の再生が妨げられるもう1つの原因が、柴刈りです。これはこの地方のことだけでなく、世界的にみてそうなのですね。伐られた木の用途を調べると、世界でみても、いちばん多いのは生活燃料として燃やされることだそう。  これも政府によって禁じられており、以前のようにはみられなくなっていたのです。それが近年、ふえてきたように思うのです。なぜでしょう?  原油価格の高騰につられて、石炭価格も急騰しました。 . . . 本文を読む
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780話)ヤギ

 こちらはヤギです。山の羊と書くくらいで、どんな岩場でも登っていきます。さらに前足を木の枝にかけて、かなり上のほうの葉っぱもかじります。南天門自然植物園の李向東は、「100人が植えた木を、100頭のヤギがだいなしにする」といっていますが、ひょっとすると、それ以上かもしれません。  このヤギは、毛の長い、小型のヤギです。毛を刈って毛糸の材料にし、また肉を食べるようです。「ヤギの肉はヒツジよりずっと . . . 本文を読む
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779話)羊蝎子(ヤンシエズ)

 突然、べつの話を割り込ませます。このところ、同じ羊料理でも、私はしゃぶしゃぶより、ヤンシエズ(羊蝎子)のほうがすきになっちゃったんですね。香辛料をたっぷりきかせた大きな鍋で、羊の骨が煮込んであります。その骨についているわずかな肉や、髄をしゃぶるのですよ。  戦闘準備は、利き手にハシをもち、反対の手に使い捨てのポリ手袋をすることです。鍋から取り出した骨を手袋でつかみ、ハシで肉をほじくりだすわけで . . . 本文を読む
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778話)ヒツジの放牧

 植生を貧弱化させている原因の1つが、家畜の放牧です。多いのはヒツジとヤギですね。その影響が深刻なのは、草の芽がでるかでないかの春先だと思います。一面の冬枯れ色で、青いものはほとんどみられません。ヒツジが前足で地面を引っかいて、草をほじくりだして食べようとしていることさえあります。  大同では、頭をあげているヒツジをみたことがありません。いつも下をむいて、草をさがしているんですね。ところが、生ま . . . 本文を読む
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777話)もり

 スロットマシーンだったら、大当たりですね。あの、絵柄がそろったら、大当たりというやつ。今回の通し番号です。  これは徳村彰さんというかたがつくられた文字で、「もり」です。すごいですねえ。ただ日本にいるだけだったら、それほど感動しなかったかもしれませんが、私は黄土高原を往復しているために、この文字のすごさがわかります。  木があるから、水と土が守られ、育まれるんですね。黄土高原は長い歴史のなか . . . 本文を読む
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776話)黄河が運んだとんでもない土

 黄河に1年間に流れ込む土の量は、16億トンだそうです。その80%以上が黄土高原の土だといわれます。そんなことをいわれても、それがどれほどのものか、わからないですねえ。それを実感してもらうために、私はクイズをだします。講演なんかのさいに、決まって、それをだすのです。  その16億トンの土で、幅1m×高さ1mの堤防をつくるとします。その延長はいったいどれくらいになるでしょう。大陸のことで、なんでも . . . 本文を読む
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775話)ダムも埋まる

 この写真は、大同県徐町郷のものです。夏の雨が、浸食谷をえぐっていくわけですね。地元の人の話では、大小48の浸食谷がある、ということでした。柔らかい土は流されてしまい、固いところだけが残ります。こうなると、なかなか植物が育ちません。植物が育たないために、なおさら土が流されます。悪循環ですね。  そのむこうに、水面がみえます。あれは冊田ダムです。桑干河をせき止めています。ところがダムの周囲に雨が降 . . . 本文を読む
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