070)遅い春

 今日は春分。でも今年の大同は春の訪れが遅いんです。1週間前でも最低気温は零下20度近くだったそう。河北省保定市の農村経由で大同市最南部の霊丘県に入ったんですけど、水面はまだ凍っています。
 大同の中心部は北緯40度で北京と同じ緯度。北京の海抜は百メートルを切ってますけど、大同は低いところでも千メートルです。百メートル上がるごとに気温は0・6度下がりますから、北京に比べてもずっと寒い。
 月平均気温は11月から2月まで氷点下で、冬が長いんです。最低気温は零下30度近くになり、深さ1メートルくらいまで土が凍結しますから、外での農作業はなにもできません。
 気温は低いのに、雪はまったくといっていいほど降りません。湿度が低いせいでしょう、気温は低くても、日がでて風がなければ、意外と暖かい。老人たちは農家の土塀に寄りかかって日向ぼっこ。風が吹くと体感気温は一気に下がり、ほんとにブルブル。
 こういう環境ですから、春を待つ気持ちはひとしおです。でも、平年なら春耕がはじまる時期になっても、土の凍結が融けません。植樹のための穴も掘れない。
 人びとは古くからの言い伝えを思い出します。「春が寒い年は夏に雨が多い」。雨が多ければ豊作が約束されます。経験の積み重ねが生んだ言葉でしょうけど、そこには切ない願いもこめられているようです。
  (2005年4月5日号)
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