goo blog サービス終了のお知らせ 

1357話)私のこどものころ かいこ

 かいこ

私が幼いころは、蚕(かいこ)を飼っていました。壁も天井も土で固めた土室(どむろ)があり、そこで卵をかえし、小さいあいだを過ごさせます。エサは桑の葉ですけど、虫が小さなあいだは、特別の種類のやわらかい葉をやっていたと思います。ある程度の大きさになると、場所を移して、養蚕場という作業楝に移していました。

最初のころは、母親と祖母が桑の葉を一枚一枚、摘んできていました。手の指に鋭い刃のついた指輪のようなものをはめて、それで葉柄を切って集めるわけです。大量に必要ですので、たいへんな作業だったと思います。やがて合理化され、桑の葉を枝ごと切ってきて与える方式に改められました。

何回か忘れちゃったんですけど、途中でエサを食べなくなって休み、脱皮を繰り返して大きくなります。それを一齢、二齢……というふうに数えていました。ある大きさまで育って、エサを食べなくなると、虫の体が透き通ったようにみえてきます。繭(まゆ)をつくって、さなぎになる準備ができたのです。

呼び名を忘れましたが、細く割った竹と稲わらとでつくった蚕の寝床がありました。普段は小さく畳んでいますが、使用するときはアコーディオン式に広げます。そのあいだに繭をつくる直前のかいこをばらまきます。かいこはその寝床に繭をつくりながら、さなぎになります。たぶん農協を通して、その繭を出荷していました。なかにサナギになる途中で死んでしまうものがでて、不十分な繭ができます。それは熱湯で崩して、マワタにしていました。

いま住んでいるところの近くに、農具を集めて展示している民間の小展示館がありました。話しかけたら、わら製の道具がまっ先になくなって、収集不能になったと話しておられました。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )
« 1356話)私の... 1358話)私の... »
 
コメント(10/1 コメント投稿終了予定)
 
コメントはありません。
コメントを投稿する
 
名前
タイトル
URL
コメント
コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。