県、米須鉱山採掘を許可 業者、来月4日にも着手 戦没者遺骨土砂問題
沖縄戦跡国定公園内にある糸満市米須での鉱山開発を巡り、県自然保護課は28日、新たな採掘行為届け出の書類を県に提出していた沖縄土石工業(永山盛也代表)に対し、書類に不備がないとして受理通知書を交付し、事実上採掘を許可した。同問題については、戦没者の遺骨が含まれる可能性のある土砂の採掘に懸念の声も上がっているが、自然公園法上、今月31日以降に採掘工事が可能になる。
(社会部・東江郁香)=2・27面に関連
業者によると、関連の手続きが認められれば来年の1月4日に工事に着手するという。
県は、糸満市が「沖縄戦で住民が利用した自然壕のシーガーアブを含む景観を事業者に守らせてほしい」などと要望する意見書の内容も考慮した上で書類を審査していた。審査期限は30日までだった。県自然保護課は「届け出の内容に反した行為があればその都度指導していく」としている。
県の受理通知書交付を受け、永山代表は「土砂に遺骨が混じっている可能性を踏まえ、丁重に工事を進め、万が一遺骨が見つかれば和解案に沿って対応する」と強調。「景観の保全に努め、周辺環境にもできる限り配慮する」と本紙の取材に答えた。
県は昨年5月、自然公園法に基づき「採掘開始前に遺骨の有無を関係機関と確認し、県へ報告、協議すること」などを業者側に課す措置命令を発出。業者側は不服として総務省の公害等調整委員会(公調委)に裁定を申し出て、命令の取り消しを求めた。
県と業者側は今年7月、公調委が「工事の際に遺骨が発見された場合は、周囲半径5メートルの範囲で工事を2週間中止して戦没者遺骨収集情報センターなどによる調査や収集を認めること」などと提示した事実上の和解案に合意。今月1日には、業者が糸満市を通じて、自然公園法や和解案を基に作成した新たな採掘行為届け出を県に提出していた。