辺野古中止 意見書36件 県民投票2年 地方議会で 全国的な広がり欠く
【東京】名護市辺野古の新基地建設に伴う埋め立ての賛否を問う県民投票が2019年に実施されて24日で2年になる。全国の地方議会で、辺野古移設の「中止」「中断」などを求める意見書が少なくとも36件、可決されていることが23日、衆議院への取材で分かった。移設「促進」、再検討など「その他」を含めると計60件。市民団体が辺野古問題の民主的な解決を求める陳情を地方議会に提出するなどしたが、動きは全国的な広がりを欠いている。(東京報道部・嘉良謙太朗)=2・28面に関連
60件は県民投票が実施されて以降、衆議院で受理された件数(20年11月17日現在)。うち県内の議会が12件(2割)を占めた。衆議院に送付されていない意見書もあると思われ、数が増える可能性はある。
沖縄県議会を除く都道府県議会として唯一の岩手県議会は「県民投票の結果を踏まえ、辺野古埋め立て工事を中止し、沖縄県と誠意を持って協議を行うこと」を強く要望した。
移設「促進」を求めたのは19件で、全体の3割超を占めた。大部分が「普天間飛行場の危険性を除去し、宜野湾市民の74年間もの苦労を一日も早く解消すること」を主な理由に挙げた。
中止や断念などの文言は含まず、再検討や話し合いを求めたのは5件。
「代替施設が国内に必要か否か当事者意識を持った国民的議論を行うこと」(京都府木津川市議会)、「国民全体の問題として、公平・公正にさまざまな選択肢を検討すること」(東京都小平市議会)などの意見があった。
辺野古の問題の民主的解決を求める陳情を全国の地方議会に提出する取り組みを手掛けた、新しい提案実行委員会責任者の安里長従氏は「自分事として考えることは難しいが、全国に裾野が広がっているのは事実」と指摘。
辺野古問題の本質は「本土の理解が得られないからという不合理な差別の問題」と述べ、差別解消と民主的プロセスで解決していくという両方の観点から取り組みを継続していく考えを示した。
(写図説明)衆議院が受理した辺野古関連の意見書
【おまけ】
法的拘束力に関する議論[編集]
この県民投票は日本国憲法第95条に基づき特別法を制定するためのものでも、地方自治法に基づき議会の解散や首長・議員の解職を求めるものでもないことから、総務省は「結果に従う義務を定めた法律は存在せず、法的拘束力はない」との見解を示している。