寡黙堂ひとりごと

詩吟と漢詩・漢文が趣味です。火曜日と木曜日が詩吟の日です花も酒も好きな無口な男です。

十八史略 高祖蒯徹を赦す 

2010-04-03 12:06:55 | 自由律俳句
十一年、帝破豨還、詔捕蒯徹。至曰、秦失其鹿、天下共逐。高材疾足者先得之。當時臣獨知韓信。非知陛下。天下欲爲陛下所爲者甚衆、力不能耳。又不可盡烹邪。帝赦之。

十一年、帝、豨を破って還り、詔(みことのり)して蒯徹(かいてつ)を捕う。至って曰く、秦、其の鹿を失い、天下共に逐(お)う。高材疾足(こうざいしっそく)の者先ず之を得たり。当時臣独り韓信を知れり。陛下を知れるに非ず。天下、陛下の為(な)しし所を為さんと欲する者甚だ衆(おお)きも、力、能(あた)わざるのみ。又尽く烹る可からざるか、と。帝之を赦す。

漢の十一年に高祖は陳豨を破って凱旋したが、蒯徹がかつて韓信に謀反をそそのかしたことを知り、詔を出して蒯徹を捕えさせた。蒯徹は高祖の前に引き据えられて言うには、「秦が天子の位を失ったとき、天下の英雄たちはこれを得ようと争いましたが、才能がすぐれ、より俊敏なあなたさまが手にいれました。当時私は韓信だけを知って、陛下のことは存じあげておりませんでした。当時、天下には陛下のなされたことを限りないほど居りましたが、力が足りなかっただけでございます。といってそれらの者を皆煮殺すことが出来るでしょうか、とても出来ないでしょう」と。高祖は蒯徹を赦した。