蕭何以長安地陿、上林中多空地棄、請令民得入田。上大怒、下何廷尉、械繋之、數日而赦之。
上撃布中流矢、疾甚。呂后問、陛下百歳後、蕭相國死。誰可代之。曰、曹參。其次。曰、王陵。然少戇。陳平可以助之。平智有餘。然難獨任。周勃重厚少文、可令爲太尉。安劉氏者必勃也。復問其次。上曰、此後亦非乃所知也。
蕭何、長安の地陿(せま)くして、上林の中(うち)に空地の棄てられたるもの多きを以って、民をして入って田(でん)することを得しめんと請う。上大いに怒り何を廷尉に下(くだ)して、之を械繋(かいけい)せしが、数日にして之を赦(ゆる)せり。
上、布を撃つや流矢に中(あた)って疾(やまい)甚(はなは)だし。呂后問う、陛下百歳の後、蕭相國死せば、誰か之に代るべき、と。曰く、曹參なり、と。其の次は。曰く、王陵なり、然れども少しく戇(とう)なり。陳平以って之を助くべし。平の智は余りあり。然れども独り任じ難し。周勃は重厚にして文少なく、太尉(たいい)たらしむべし。劉氏を安んぜん者は必ず勃ならん、と。復其の次を問う。上曰く、此の後は亦乃(なんじ)の知る所に非ざるなり。
蕭何が、長安の地は狭いのに、帝の御料場の中には空地のままうち棄てられたままになっている所があるので、民が林に入って耕作できるように願い出た。帝は大変怒って、蕭何を獄吏の手に下して、手かせをして牢に繋いだが数日経って赦した。
帝は黥布を征伐した時、流れ矢にあたったが、其の傷がもとで病が重くなった。そこで呂后が問うた「陛下に万一の事態が起こったとき、相国の蕭何がもし死んだら誰を代りに任用したらよろしうございましょう」帝は「曹参がよい」と答えた。更に「その次は」と問うと「王陵である、が少し愚直であるから陳平に補佐させるようにせよ。陳平は知略は充分にあるが一人では任せがたい。周勃は重厚な人物であるが、飾り気がないから太尉とするがよい。将来劉氏を安泰に保つ者は周勃であろう」と言った。呂后がまたその次を問うと、帝は「それから先のことはそなたの知ったことではなかろう」と言った。
上林 天子の庭園、狩猟などを行った。 田 耕すこと 廷尉 刑罰をつかさどる官名
械繋 械は手かせ足かせ 戇 愚直、がんこ 文少なく 文は模様、飾り
太尉 軍事長官、丞相に次ぐ位
上撃布中流矢、疾甚。呂后問、陛下百歳後、蕭相國死。誰可代之。曰、曹參。其次。曰、王陵。然少戇。陳平可以助之。平智有餘。然難獨任。周勃重厚少文、可令爲太尉。安劉氏者必勃也。復問其次。上曰、此後亦非乃所知也。
蕭何、長安の地陿(せま)くして、上林の中(うち)に空地の棄てられたるもの多きを以って、民をして入って田(でん)することを得しめんと請う。上大いに怒り何を廷尉に下(くだ)して、之を械繋(かいけい)せしが、数日にして之を赦(ゆる)せり。
上、布を撃つや流矢に中(あた)って疾(やまい)甚(はなは)だし。呂后問う、陛下百歳の後、蕭相國死せば、誰か之に代るべき、と。曰く、曹參なり、と。其の次は。曰く、王陵なり、然れども少しく戇(とう)なり。陳平以って之を助くべし。平の智は余りあり。然れども独り任じ難し。周勃は重厚にして文少なく、太尉(たいい)たらしむべし。劉氏を安んぜん者は必ず勃ならん、と。復其の次を問う。上曰く、此の後は亦乃(なんじ)の知る所に非ざるなり。
蕭何が、長安の地は狭いのに、帝の御料場の中には空地のままうち棄てられたままになっている所があるので、民が林に入って耕作できるように願い出た。帝は大変怒って、蕭何を獄吏の手に下して、手かせをして牢に繋いだが数日経って赦した。
帝は黥布を征伐した時、流れ矢にあたったが、其の傷がもとで病が重くなった。そこで呂后が問うた「陛下に万一の事態が起こったとき、相国の蕭何がもし死んだら誰を代りに任用したらよろしうございましょう」帝は「曹参がよい」と答えた。更に「その次は」と問うと「王陵である、が少し愚直であるから陳平に補佐させるようにせよ。陳平は知略は充分にあるが一人では任せがたい。周勃は重厚な人物であるが、飾り気がないから太尉とするがよい。将来劉氏を安泰に保つ者は周勃であろう」と言った。呂后がまたその次を問うと、帝は「それから先のことはそなたの知ったことではなかろう」と言った。
上林 天子の庭園、狩猟などを行った。 田 耕すこと 廷尉 刑罰をつかさどる官名
械繋 械は手かせ足かせ 戇 愚直、がんこ 文少なく 文は模様、飾り
太尉 軍事長官、丞相に次ぐ位