政教分離を貫徹せよ!<本澤二郎の「日本の風景」(4504)

<自公の「政教一致」体制は憲法に違反=金集め激化と家庭崩壊も>

 人間は愚かで、余りにも弱い存在だ。そこに宗教が介入すると社会も家庭も壊れていく。政治屋は、そんな教団を活用して権力を握る。許してはならない。「国民のため」という枕詞は、空を切るばかりである。政治と宗教が結びつき、言論を支配すると、どんな国にもヒトラーやムッソリーニ、ヒロヒトが誕生するだろう。

 安倍晋三暗殺事件は、今の日本の腐蝕した政治構造をくっきりと焙り出した。政教一致は、民主政治の根幹を破壊する。洗脳された一部の人たちが、腐敗した政治屋の背後で蠢いて、本来、清浄なはずの権力行使の磁場を奪い、主権者である国民を奴隷化しかねない。

 国民の大敵だった国粋主義者が、目下の新聞テレビなどでは英雄に祭り上げられている。その政治的実績は犯罪まみれだが、その逆の解釈が繰り広げられ、人々をゆでガエルに押し包んでしまっている。識者の懸念は深まるばかりである。政教分離は、近代国家の根本的な原理原則である。

 

<安倍殺害の山上家母親の1億円献金は人情として許されるのか>

 統一教会は、反共主義の新興宗教である。韓国の文鮮明が教祖だが、彼の日本での布教活動は、安倍の祖父の政治力による。右翼の笹川良一もそうだ。岸の後継者となった清和会・福田派と笹川の関係の深さを、現役時代に確認しているが、統一教会も入っていた。そこには太い金の流れがあった。

 笹川は、ギャンブルで大金を巻き上げ、文鮮明は強引すぎる信者からの金集めで、現在も被害者を救済する弁護団が活躍している。大嘘を連発した統一教会の記者会見に対して、彼らは真っ向から批判した。壺などを販売する霊感商法から、最近では1冊3000万円という信じられない本まで信者に押し付けている、というから常識を超えている。

 安倍暗殺犯は「祖父から相続した不動産などを信者の母親が、売却するなど1億円余を寄付して、我が家は破産した」と衝撃的な証言をしている。「人々を幸せにする」とか「病気を治す」という偽りの、ありえない言動に騙される人間を嘲笑うかのように、新興宗教は人々の精神と財産を奪いつくす好例だ。息子は大学にも行けずに涙をのんだ。これは本当の悲劇である。宗教は吸血鬼同然ではないだろうか。

 人々を洗脳し、財産を奪いつくす教団を政治が支援すると、詐欺商法も被害者救済もうやむやにさせられる。統一教会に限らないだろう。

 生活に困窮する母子家庭から1億円の巨額の寄付をさせることは、政治屋には不可能であるが、宗教屋はできる。しかも、双方が連携・一体化する政教一致に、主権者は無関心でいられるだろうか。初めて知る統一教会の恐怖の金集めと、それと結びついていた岸・安倍一族と笹川財団に乗っ取られてしまった日本には声も出ないだろう。

 

<統一教会(宗教)と岸・安倍家(政治)の相互補完関係は異様>

 こうした政治と宗教の結びつきについて、清和会の中枢で働いてきたN氏は「日本はアメリカどころか韓国の属国ではないか」といってため息をついた。昨日のことである。暗殺犯のお陰で、日本の闇の一角が浮上した。

 例えば松下政経塾と神道の一致もよく知られているが、統一教会と岸・安倍一族には、むろん神道もからみつく。天皇狂ならぬ天皇教である。

 弱い人間を洗脳させて自由に操縦し、遂には身ぐるみはいでしまう。怪しい賢い人間であれば、宗教法人を立ち上げると、あっという間に莫大な金を集めることが出来る。山上徹也の暴走を理解する人たちが増大して当然だろう。

 同じような事例を信濃町でもよく耳にする。「夫に黙って妻が1000万円を寄付、発覚して家庭破壊」というたぐいである。「騙される方が悪い」と言い切れるだろうか。宗教の恐怖は、ずばり金集めにある。政治屋はそれにまとわりつく。石原慎太郎は、その道のプロだった。じっくり思考したい。

 

<宗教の優遇税制の見直し・政教分離放置だと第二の悲劇が>

 「信教の自由」を盾にした宗教法人の金集めには、優遇税制という網がかぶさっている。これを自在に活用してきた統一教会・創価学会・神社本庁か。「幸福の科学」もそうだろう。

 ところで、日本の財政は敗戦時の破綻状態にある。直ちに優遇税制の見直しが不可欠だ。これに抵抗する勢力は、大方のところ政教一致のうま味を吸っている政治屋か政党か。

 問題の寄付行為にもルールが不可欠だろう。山上家の1億円寄付は贈与に相当する。贈与を受けた側が贈与税を払うのだが、宗教法人だと課税されない。そっくり教団は懐に入れ、使途は闇に包んでしまう。政界に流れても闇。

 本来の宗教活動でなければ課税されるが、国税庁はわからない。神社も、創価学会も、統一教会も内部告発を待つしかない。しかし、これでいいわけがない。そもそもカルト教団は怪しい網がかぶさっているのだから。

 宗教法人がものを作って販売する、いうところの「霊感商法」などは詐欺行為として法人税がかかるが、肝心の教団が申告しない。これは脱税に当たるが、当局の徹底した税務調査が不可欠だ。そのための宗教法人向けのGメンを立ち上げねばならない。今回の事件が浮き彫りにしているが、まずは政教分離の日本にすることが必要であろう。強く指摘したい。

2022年7月14日記(東芝不買運動の会代表・政治評論家・日本記者クラブ会員)