新型コロナウイルスの感染の急拡大で、感染疑いのある人を検査・診療する発熱外来に患者が殺到している。自宅療養者も急増しており、保健所は態勢強化を急いでいる。

 「これまでの波と比べても感染者の増加が急激だ」。東京都調布市にある西田医院の西田伸一院長は危機感をあらわにする。

 同院には、疑い患者からの問い合わせ電話が相次ぎ、つながりにくい状態となっている。検査で陽性と判明する患者は6月は1日数人だったが、7月に入って増加し、13日は25人ほどに上った。年代は10歳未満から高齢者まで幅広く、症状は発熱や喉の痛み、頭痛が中心という。

 14日には、喉の痛みで水が飲めず、脱水症状を起こした男性患者から往診の依頼が入った。救急搬送を要請したが、病床の逼迫ひっぱくを理由に入院できず、西田院長が点滴の処置をした。

 西田院長は「症状がきつくて、自宅への往診を希望する人が第6波の時よりも増えている印象だ」と話す。

 保健所の警戒感も高まっている。

 東京都江戸川区の佐藤正子・保健予防課長は「感染者数が下がりきらないまま第7波に突入してしまった。来週には第6波のピークを超えるのでは」と危惧する。区内の自宅療養者は14日時点で4753人に上り、1週間前(1985人)の2・4倍に急増。これに伴い、健康観察などの業務も増えている。

 区は、4月から感染者への最初の連絡を電話からショートメッセージサービス(SMS)に切り替えるなど、第7波に向けて備えを強化してきた。15日から応援職員を17人から26人に増員する予定で、佐藤課長は「速やかに態勢を再構築したい」と話す。

 東京都も、50歳未満で基礎疾患のない自宅療養者向けの「自宅療養サポートセンター(通称・うちさぽ東京)」の電話回線を、200回線から340回線に増強することを決めた。

 都内の自宅療養者は14日時点で6万1131人と、約10日間で3倍に膨れあがっている。