ぱんくず日記

日々の記録と自己分析。

原点

2009-01-07 05:33:00 | 信仰
夕方早い時刻から就寝して
夜半に起き出し、
また同じ映画を引っ張り出して見ている。


20歳過ぎてキリスト教の教会に関わるようになり
30歳過ぎて受洗して
自分の信仰が何処から始まったか
突き詰めて記憶を遡ると
最終的にはこの映画の中の
ほんの数秒に過ぎない一シーンに到達する。


パゾリーニの『奇跡の丘』のイエス・キリストは
時の宗教指導者達に怒る改革者だ。
その終始不機嫌なイエスが一瞬だけ笑うシーンがある。


エルサレムに入城し、
神殿の境内の出店を蹴散らすと、
バッハのミサ曲ロ短調の中の一曲
"Gratias agimus tibi"と共に
貧しい病人達が後を追って境内に雪崩れ込んで来る。
その群れに混じって
大勢の子供達がわらわら駆け込んで来る。


貧しい身なりの
見るからにやんちゃで悪戯っ子な顔つきの子や
乳歯が抜け永久歯に生え変わる途中のみそっ歯の子が、
一人一人手に持った木の枝を振り回しながら
イエスの後を追って来てはしゃいで
口々にわあわあ叫んでいる。
イエスはちびっ子達に向かって一瞬だけ
歯を見せて笑う。


初めてこの映画を見た時の自分は
この画面の中のばばっちい子供達と
同じくらいの年頃だった。
私は自分もこのちびっ子達の中の一人のつもりで
画面に見入っていた。


イエスの教えなど一つも知らなかったし
映画の中身も
何が何だか全然わかっていなかった。
当然、
信じる信じないとか
救われる救われないという
言葉の意味すら知らない、
天国に入れるか入れないかなど考えた事もない、
イエスが何かしてくれるとかしてくれないとか
そんな事も考えていなかった。
イエスが画面の中で何を話しているかも
全然わかってなかった、
ただ、
イエスがちびっ子の一人である自分に一瞬笑いかけた、
5歳の幼稚園児だった自分がそう感じた。
それだけ。
信仰の原点とは自分の場合それだと言ったら
誰もが呆れ返ったが
本当の事だ。


昨年12月に
某マイミクのお方が日記で紹介しておられた
聖フランシスコ・ザビエルの
十字架上のキリストへの祈りを読んだら
その事を思い出した。
全くその通りだと思ったな。


引用させて頂く。


 主よ、あなたを愛するのは、
 あなたが天国を約束されたからではありません。
 あなたに背かないのは、
 地獄が恐ろしいからではありません。
 主よ、私を引きつけるのは、あなた自身です。
 私の心を揺り動かすのは、
 十字架につけられ、侮辱をお受けになった、
 あなたのお姿です。
 あなたの傷ついた、お体です。
 あなたの受けられた、辱めと死です。
 そうです、主よ、
 あなたの愛が私を揺り動かすのです。
 ですから、たとえ天国がなくても、
 主よ、わたしはあなたを愛します。
 たとえ地獄がなくても、
 わたしはあなたを畏れます。
 あなたが何も下さらなくても、
 わたしはあなたを愛します。
 望みがかなわなくても
 私の愛は変わる事はありません。


これは、
『キリストにならいて』の一節に通じている。


 イエズスから受ける慰めのためではなく、
 イエズスをイエズスとして愛している人は、
 患難や苦しみのときにも、
 慰めのときと同様に、かれを賛美する。
 そしてイエズスがいつまでも慰めを与えなくても、
 かれらはいつも、感謝と賛美を怠らない。
         (『キリストにならう』バルバロ訳
            ドン・ボスコ社 1967年より)


自分の信仰について考える時、
私がイエス・キリストを救い主と信じるのは
天国に入れて貰えるからという理由ではないし
地獄に落とされたくないからでもないし
信じたら何かいい事があるからでもない、
子供の時に見た古い映画でイエスが
こちらに向かって笑ったからというのは
かっ飛んでるかなぁ。
しかし
何でキリストを信じているかと聞かれれば
そう答える以外に説明のしようも無い。


自分がいつ何処でキリストと出会い
どうして救い主と信ずるようになったかを
人に聞かれて答えようもなかった時、
自己分析の末に見つけ出した一つの答え。

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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
なるほど。 (ミツコ)
2009-01-08 00:47:27
なるほど、
なるほど。

いいですね。
そうですね。
イエスを愛してる。
そうですね。
返信する
変わっているといえば変わってるかも (井上)
2009-01-10 16:59:21
>ミツコ様

 私の場合、
 突き詰めるとそこが原点だった気がするのですが
 教会関係者にこんな話をすると珍しがられます。
 意味もわからない映画を見て
 宗教に進んでいくうす気味悪い幼稚園児でした。
 不気味でしょ?
返信する

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