まろの陽だまりブログ

顔が強面だから
せめて心だけでもやさしい
陽だまりのような人間でありたいと思います。

百済観音がやって来る!

2020年03月10日 | 日記

いつもの五反田駅のポスター。
法隆寺の百済観音が東京の国立博物館にやって来るらしい。
23年ぶりと知って遠い目になった。
そうか、またあの百済観音に会えるのか!
うれしい知らせだった。

百済観音を初めて見たのはもう50年も前のこと。
当時の私は紅顔(?)の高校生だった。
秋の修学旅行で私たちの班が目的地に選んだのは
なぜか関西の「奈良・大和路」だった。
修学旅行は物見遊山でなくあくまでも学習の延長という
そういう時代で生徒は大いに不満タラタラだった。
とくに古代史にも興味がなく
当時、奈良歩きのバイブルだった和辻哲郎の「古寺巡礼」と
亀井勝一郎の「大和古寺風物詩」の二冊を携えて
飛鳥の里をトボトボ歩いたのだった。
そのとき出会ったのが法隆寺の百済観音像だった。

正式には「木造観音菩薩立像(百済観音)」と言う。
その名から百済の国の渡来とされるが
木彫の材質には国産のクスノキとヒノキが使われていて
作者や築造年代は不明で謎のままである。
少なくとも七世紀の前半、飛鳥時代の作ではなかろうか。
どうだろうこの慈しみ深き顔立ちと眼差しは・・・
鼻たれ高校生のボンクラ頭にも「慈悲」という言葉をカタチにすると
こうなるのではないかと激しい衝撃をうけた。
隣に友達もいるのに呆然として立ち尽くした覚えがある。
仏像などまったく興味がなかった高校生が
その後、古代史のドキュメンタリーを数多く手がけ
万葉集の世界にも踏み込むなんて想像も及ばぬことであった。
百済観音は私の作家人生の原点・・・
などと言ってみたいがそんな大仰のことでもない。
とにかく百済観音との半世紀ぶりの再会。
大いに楽しみである。