晴れ渡った冬晴れの日曜日。
いつものように公園散歩に出かけると
どこからかフルートの音色が聴こえてきました。
その優雅でやさしい音色に
思わず聴き入ってしまいました。
何の曲かは知りませんが
どこかで聞き覚えのあるクラシックの名曲でした。
譜面台まで設えてなかなか本格的です。
楽器のできる人はつくづく羨ましいと思いますねえ。
同時に楽器とは縁のないわが半生を思います。
大学に入学した年にせっかく手に入れたヤマハの中古ギターは
長い質屋暮らしを強いて、結局、流してしまいました。
当時、つきあっていた彼女が誕生日に
ブルースハモニカをプレゼントしてくれたことがありました。
ジャズにのぼせていた青春時代です。
結構、練習もしたのですが
あのハモニカも彼女との別離とともに情熱を失い
どこかへ行ってしまいました。
以来、楽器とはトンと縁がないままに
風呂場の口三味線だけで
長い人生をやり過ごして来ました。
返す返すも無念です。
公園の隅でフルートに聴き入っている猫がいました。
半眼朦朧、今にも寝落ちしそうな様子で
音楽を聴いているのではなくただ眠いだけかも知れません。
高く低くフルートの音色が流れる午後。
私も思わず大あくびでした。