まろの陽だまりブログ

顔が強面だから
せめて心だけでもやさしい
陽だまりのような人間でありたいと思います。

シリアの子

2019年09月25日 | 日記

新聞の小さなコラムに目がとまった。
毎日、俳句や短歌を一つ紹介する「四季」という欄で
結構、楽しみにして読んでいる。
宇多喜代子さんの衝撃の一句が取り上げられていた。
蛇笏賞にも輝いた現代俳句の泰斗である。

  霧深き 森に隠そう シリアの子

シリアの子というさり気ない文字に怒りが込められている。

シリアで内戦がぼっ発してもう8年である。
戦火で祖国を追われた難民は500万とも600万とも言われる。
そのことは報道などで知ってはいるが
それが日本の新聞で俳句に詠まれるとは驚きだった。
散り散りバラバラになったシリア難民は
世界中で不自由な生活を送っていて食料事情も列悪である。
ご存じのように日本は難民たちに冷たい国で
難民申請が認められるのはわずか0.2パーセント程度だと言う。
作者の宇田さんはNPOの支援活動か何かを通じて
シリアの子供たちを知ったのだろうか。
シリアに限らず難民の子供たちを見るといつも思う。
おそらく地獄を見たであろうにも関わらず
汚れのないあの澄んだ大きな瞳はいったいなぜなのだろうか。
あれは深い深い悲しみの色なのかもしれない。

  霧深き 森に隠そう シリアの子

さあ、みんな霧の森に隠れてなさい。
大人たちの愚かな戦争が終わるまで。
確かに地球的な共感を呼ぶ秀句である。
大人たちが勝手におっぱじめた戦争の犠牲になるのは
いつも子供たちである。