郷里から訃報が届いた。
昨日の早朝に叔父が亡くなったと言う。
葬儀に出なければならないが
あまりに急なことだったので間に合いそうもない。
叔父は医者だった。
大酒飲みで豪放磊落なタイプの医者だった。
鳥取大学の医学部を卒業後
長らく地元の労災病院の院長をつとめて来た。
腕のいい外科医だったと聞く。
法事などで郷里に帰るとよく酒席をともにしたものだった。
酔うと必ず「ポンコツを治しても仕方がない」と
自嘲的に言うのが口ぐせだった。
そのポンコツという言い方がおかしくていつも大笑いした。
確かに病気になった患者はポンコツばかり。
そのポンコツの修理を請け負う医者という職業に
根本的に疑問を持っているようなところがあったと思う。
十時間以上もの難しい手術を終えると
実際、心身ともにクタクタになるそうで
酒でも飲まないとやってられないと豪快に笑いながら
いつも浴びるように飲んでいた。
昔から医者の不養生とは言うけれど
結果的にその酒が命を縮めることになってしまったのか。
公園に咲くツワブキが手向けの花となった、
もう一度、酒杯を交わしながら
ポンコツ放送作家の身の処し方でも聞きたかった。
心からの冥福を祈りたい。