Kantele-Suomiho-Fuga

フィンランドと音楽(カンテレ、音楽療法)をキーワードに!

美味しい本

2007-09-03 21:06:47 | お勧めの・・・
最近読んだ本で、いちばん面白かった本。
『舌の記憶』 筒井ともみ著 新潮文庫




「絶対面白い」と薦められ、1ページ読んで本当にそのまま吸い込まれてしまった1冊。昭和30年代の季節の食べ物の味と匂いが、思い出とともに丁寧に書かれている。著者の素晴らしい舌の記憶は、読んでいる私も「そうそう、こんな味」と口の中がいっぱいになる。早読の私が1週間もかかった文庫本、それは短いエッセイだが美味しさがたくさんつまっていすぎて、ひと味ずつ味わわずにはいられなかったから。

本を読んだきっかけは「子どもの頃、苺はどうやって食べた?」の会話から。「ガラスの器に山盛り入れた苺をブツブツの苺スプーンでつぶして、牛乳かコンデンスミルクをかけて、最後は器に残った苺ミルクをのみほして・・・」、だいたい誰もがこうして食べたと思う。私は甘いコンデンスミルクより牛乳が好きだった。そういえば最近は「苺は丸ごとヘタつきでお皿にのせてそのまま食べる」にかわってきた。苺スプーンは今でも持っているが、苺用ではなくお料理道具として重宝している。こんな会話で盛り上がり、本を薦められた。著者の苺の食べ方は私と同じ牛乳派。《ストロベリーな春》を読みながら、こんなふうに著者と苺牛乳の思いを共有し味わっている、これではページが進まないわけ。

本の最後にはとっておきのレシピつき。例えば、著者が幼少の頃からこだわる白玉。大好きな男の子とのお別れに作って二人で食べた味は? と想像していたら、レシピのいちばん最後に載っていた。<母なる宇宙の始まりみたいにやさしく、深い味わいです>、なるほど・・・今度挑戦してみよう。

久しぶりに、濃~いお味の美味しい本だった。8月の新刊だからすぐ手に入るはず。是非お味見を!