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ブラジルの干ばつとベトナム製糖業

2014-02-21 23:08:20 | 農業・食品

昨日のブルームバーグ日本語版に「ブラジルの干ばつでコーヒー高騰-2日間上昇率、11年で最大」との記事があり、ブラジル東北部の干ばつを初めて知りました。前回ブルームバーグに載ったコーヒー価格の記事を読んだのは11月頃で、確かコーヒー価格が下落してポンド当たり100セントを割り込むか、という状況でコーヒー農家は大赤字というものでしたが、それから3ヶ月で今度は価格「高騰」の記事です。ニューヨーク市場では2月に入って140セント台に上昇した後、19,20の2日間で21%の高騰を見せて177.7セントとなり、きょうは160セント近くまで戻ったようです。

コーヒーのみならず砂糖や大豆価格もブラジルの干ばつの影響で上昇しつつあるとのことです。ブラジルの干ばつは1年以上にも及ぶものらしいのですが、大豆も砂糖も国際価格が上昇を始めたのは2月に入ってからです。砂糖の国際価格は2011年をピークに供給過剰によって下降し続け、ベトナムでは砂糖産業とサトウキビ農家の厳しい状況の記事が昨年は続いてました。

ベトナムの砂糖産業が厳しいのはタイの砂糖が密輸されるからでもありますが、たぶん国際価格が下落すると密輸が増える関係にあり、そもそもベトナムの製糖産業の原価率の高さが原因のようです。自営農が多いベトナムでは一戸当たりの作付け面積が小さく、農地の多いタイとは比較にならないようです。更にベトナムの砂糖国産化10年計画を始めたのは1995年頃で各省に一つというほどの製糖工場が乱立された経緯もあります。2015年からはアセアン域内からベトナムへの砂糖輸出関税はゼロとなる予定で厳しさは増します。実質的には密輸が合法化されるだけのことかも知れませんが。

カンボジアでゴムプランテーション投資を行っているベトナムのホアン・アイン・ザライ社はラタナキリ州で先住民との間で幾つもの係争事件を起こして「有名」ですが、ラオスでは砂糖生産も行い、ベトナムのビエンホア製糖社が精錬して中国へ再び輸出するとかでベトナム砂糖協会と対立していました。かつては中国からもベトナムに砂糖が密輸されてた時代もあったわけですが、農民から農地を奪い上げて工場建設を進める産業革命期の「農民追放」を思い出させる中国の現状はベトナム米の最大の輸出先ともなっています。

ベトナムのサトウキビ農家と製糖産業に明るい未来はあるのでしょうか?ブラジルのサトウキビ生産量を数値として見ると愕然とはしますが。しかもブラジルのサトウキビ生産の内製糖工場向けは45%程度で多くがエタノール生産のようです。そう言えばベトナムのビンフック省では伊藤忠だったかと合弁でバイオエタノール生産工場が建設されたもののエタノールの買い手が見つからず工場は閑散とした状況にある、との記事もありました。

今年になってベトナムの株価は回復を見せ、2月に入ってからは業績不振のラムソン製糖社(LSS)の株価すら上昇しています。これも砂糖価格の上昇を見込んでのことなのでしょうか?



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