たぶん20代の頃、新宿のヨドバシカメラに何かを探しに行った時のことです。前日に寝不足かなにかで不機嫌な日でした。冬の昼ごろ、まだ客が少ない店内を歩いていると前から古汚いコートを着た冴えない風貌の男が歩いて来ました。ぶつかりそうになったので右に寄ったら相手も同じ方向に動き、慌てて左に避けるとまた同じ方向に動きました。ムっとして睨みつけてようやくそれが自分の顔であることに気付きました。
ショックでした。まさか自分があんなみすぼらしく、嫌な顔をしているとは思っていませんでした。しかし間違いなくあんな不愉快な表情を他人に見せているわけです。さぞかし他人に嫌われているに違いない、と思いました。
などということを久しぶりに思いだしたのは、同じようなことをしている鳥を見たからです。止めておいたバイクの回りで鳥が飛び跳ねている姿には気付いていました。が、どうせ近付けば直ぐに飛び立ってしまうだろうから、と思っていたわけですが、鳥はまるで正気を逸したかのように同じ動作を繰り返しています。
この鳥にとっては、はじめての鏡との出会いだったのかも知れません。鏡の中の鳥が自分であるとは気付かず何度も攻撃を仕掛け、あるいは覗き込んでいました。
プノンペンや国道を走るバイクにはサイドミラーの付いているものが多いものの、田圃や畑の中となると余分なものが付いていないものばかりです。何しろ細い道のため自転車が主流ですが、それもブレーキなし。それでも泥濘への対応を心配する必要がないのは羨ましい限り。
トカゲや蛇に驚かされたり、鳥の姿を追いながら牛糞を踏んでしまったりでバードウォッチングもなかなかエキサンティングです。
このトカゲは皮膚がツルツルした日本でも多く見掛けるタイプ。魚と同じで他に皮膚が乾燥して鱗のような形状をした種類のトカゲがいました。
驚くほど粗末な家に花を売りに来た少女。鳥の写真を撮るためにバイクで埃を立て、傍らの家の洗濯物を汚してしまっている自分を恥る気持ちも少々。
草むらの夕暮れは蚊やブヨがワンサカ、という子供の頃の記憶があります。ここではワンサカいるのはトンボ。シャッターを切ったら3匹写ってました。
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